中小企業の株式は、株主を増やさず分散しない方がよい、と良く言われます。
では、株式を分散すると、会社の経営上、どのような影響が出てくるのでしょうか?
1株以上の株式を所有する株主に認められる権利
1株以上、ということですから、株主であれば認められる権利、ということです。
株主総会議事録閲覧謄写請求権
株主総会で話し合われた内容、決まった内容は、株主に隠すことはできません。
その株主が、株主総会の決議に直接参加しなかったとしても、後から決まった内容を教えろ、と言われれば、教えなければならない、ということです。
会社の営業時間であれば、いつでも請求することができることになっています。
株主総会の議事録ですから、株主に見せない訳にはいかないですよね。
各役員の役員報酬の金額をダイレクトに決めていると、株主にバレます。
取締役会議事録閲覧謄写請求権
取締役会議事録については、「株主の権利を行使するために必要があるとき」に限り、請求することができます。
取締役会は、株主総会に比べ、さらに会社の経営にとっての機密事項を決議している場合がありますから、悪意のある株主がいると、ライバル会社にその情報が渡ってしまいますからね。
また、監査役設置会社等の場合には、請求すること自体に裁判所の許可が必要です。
これは、株主がそんなにムキにならなくても、仕組み上、監査役がちゃんと経営内容をチェックしているから大丈夫なのだ、という制度の(建前上の)理屈によるものです。
会社法
(議事録等)
第三百七十一条 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条(取締役会の決議)第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
(省略)