まず「即時償却」って何?

「即時償却」とは、資産の購入金額全額を経費にすることができることを言います。

通常、建物や機械装置などの資産は、何年にもわたり使うことができますので、購入金額を何年かに分割して経費にしていきます。

ところが、この「即時償却」は、その言葉の通り、「即時」(=使い始めたその期に)に全額を経費にすることができます。

いっぺんに大きな経費を作ることができますので、その期の税金を大きく下げる効果があります。

現在は(と言っても、今月平成29年3月使用開始分までですが)、「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」により、この即時償却を適用することができます。

そして、来月平成29年4月からは、即時償却の適用がある「中小企業経営強化税制」というものがスタートする予定です(平成29年度税制改正項目です)。

即時償却は損なの?

「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」も「中小企業経営強化税制」も、実は「即時償却」以外に特例的な節税が認められます。

それが「税額控除」です。

税額控除は、その言葉の通り、税額をダイレクトに控除してくれるのです。

即時償却は、通常であれば購入金額を何年かに渡り経費にするところを、その期に全額経費にするという側面を捉えると、「将来の経費の前取り」です。

その期に全額経費にできる分、翌期以降は1円も経費にできません。

それに対し、税額控除は、購入金額を何年かに渡り経費にしつつも、購入金額の何%かを税金から引いてくれるんです。

ですから、その期の税金を大きく下げる効果は即時償却の方がありますが、トータルでは税額控除の方がトクなんです。

壊滅的なダメージとは?

即時償却は、購入金額全額が経費になるため、節税になる=会社の損益がかなりマイナスになる、という結果になります。

利益トントンの会社が即時償却をしたり、利益トントンでなくても、大型の即時償却をすると、会社の利益は大きなマイナスになるでしょう。

そして、そのマイナスは9年間繰り越すことができます。

「全然ダメージ無いんじゃない?」ですって?

このマイナスがずっと続かなければいいんですが、マイナスがずっと続いて利益が出ない場合、新たに資産を購入しても、「税額控除」が使えないんです。

税額控除は1年間繰り越せます。

ですから、次の資産を購入した期に赤字であったとしても、その次の期に適用することができます。

でも、その次の期も利益がマイナスだと、税額控除は使えません。

せっかく税額控除が使えるのにも関わらず、控除しようにも税金が出なければ、税額控除ができないんです。

資金繰り的に、当期の利益を大幅に減らして税金を大きく下げたい、という場合以外は、「税額控除」を積極的に検討しましょう。

即時償却は「将来の経費の前取り」であることを忘れずに!