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相続税対策は、①遺産分割対策・②納税資金対策・③節税対策を同時進行で考える!

メモ魔税理士のメモ
★相続税対策は、①遺産分割対策・②納税資金対策・③節税対策からなる。
★①②③のどれかから順に考えるということは賢明ではない。①②③を同時に考える必要がある。
★ただしファーストステップとしては、相続人全員が協力し合って遺産分けの話し合いをするという土台作りが必要(ある意味①)。


①遺産分割ができないと、「配偶者の税額軽減」や、「小規模宅地等の特例」などの各種特例の適用を受けることができないため、相続税が高くなります。

つまり、③節税に影響を及ぼします。

そして、①遺産分割ができないと、お亡くなりになった方の口座が凍結されたままなので、その預貯金を相続税の納税に充てることができません。

つまり、②納税に影響を及ぼします。

「だったら、何でもいいから①遺産分割だけ早めにしてしまえば、②納税も③節税もできていいのか」というと、そうではありません。

③節税の観点から考えると、「誰が相続するか」によって特例が受けられたり、受けられなかったりします。

どう分けるかが重要です。

②納税の観点から考えると、「相続した後に相続税が払えるのか」を検討する必要があります。

換金性のない財産ばかり取得した相続人は、相続税を払えないかもしれません。

納税まできちんと考えることが重要です。

このように、①遺産分割・②納税・③節税がすべてうまくいくように、話し合いを進めることが必要です。

もし、それが難しそうな場合には、遺言やその他の方法を検討しましょう。

「『現預金に相続課税』増加」の記事はこう読み取れ!地主層は計算に入っていない!

今回の結論
★地主層は、もはや相続税がかからない!

色々な種類の財産がある中で、相続財産に占める割合が大きいのは土地であり、その土地を何とかしましょう、といのが、従来の相続税対策のメインの考え方でした。

個別に見ると7国税局で土地よりも現預金の方が多い!

上記のTwitterを読むと、7国税局で、相続財産に占める現預金の割合が、土地の割合よりも高いと報じられています。

二極化が進んでいる!

これは、従来の地主の方の相続に加え、土地はあまり持っていないけれども、現預金をたくさん持っている方の相続が多くなってきた、という現状があります。

決して、従来の相続税のメインターゲットであった地主層が、財産を組み替えて現預金の割合を増やしている、と思ってはいけません。

相続税の基礎控除額(非課税枠)の引き下げにより、現預金だけで相続税がかかる人が新たに増えてきた、ということです。

土地をたくさん持っている方と、現預金をたくさん持っている方の、二極化です。

地主層の相続は相変わらず大変!

現預金をたくさん持っている方は、はっきり言って、相続税は心配ありません。

その現預金で相続税を支払えばいいからです。

今まで相続税がかからなかったのに、基礎控除額の引き下げでギリギリ相続税がかかる、なんて場合には、相続税も高額にはならないはずです。

それに対し、地主層の相続は、土地の流動性が低いため、やはり、きちんと対策をしておく必要があります。

アパートによる相続税対策がかなり進んでいる!

とは言え、平均すると、7国税局で土地よりも現預金の占める割合が高いのは事実です。

この背景には、地主層がアパート建築による相続税対策を積極的に進めていることが挙げられます。

アパート建築により銀行から多額の建築資金を借り入れた場合、相続税が全くかからなく(純財産の金額が、相続税の基礎控除額を大きく下回る)なります。

結果として、相続税の申告をしない(しなくて済む)ということになり、統計から除外される訳です。

遺産未分割でいったん申告した後に、もう一度申告しなくちゃいけないの?

今回の結論
★申告しなくてもいいけど、申告した方が得!


メモ魔税理士のメモ
未分割で期限後申告
○法定相続分で取得したものとして計算
○配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などは適用できない

(延滞税・過少申告加算税の課税有)

遺産分割協議により遺産分割確定
○法定相続分より財産を多く相続した相続人もいれば、少なく相続した相続人もいる

期限後申告で全財産の申告が終わっているのであれば、再申告(修正申告・更正の請求)は不要
○配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などが適用できる場合には、再申告すれば相続税の本税が安くなり、税金が還付される
○相続税の本税が安くならない場合でも、再申告した場合に
・法定相続分により財産を多く相続した相続人(実際相続した分よりも少なく相続税を納めている人)については、修正申告をしても過少申告加算税や延滞税の課税がない
・法定相続分により財産を少なく相続した相続人(実際相続した分よりも多く相続税を納めている人)については、更正の請求により無申告加算税と延滞税の還付を受けられる
(つまり相続人全体では還付の分だけ税負担が減る)


相続税対策は「土地の分類」から!

財産が多くても預貯金があれば、その方が万が一の時の相続税の納税に、苦労することはないでしょう。

でも、財産全体に占める土地の割合が高くて、預貯金があまりない、というケースも結構あります。

このような場合には、「土地を分類する」ことから相続税対策を考えましょう

手放す訳にはいかない土地

居宅や商売に使っている土地です。

今後の生活を守るためには、これらの土地は絶対に持ち続けなくてはいけませんよね。

また、これらの土地については、「小規模宅地等の特例」という特典により、相続税が安くなる場合がありますから、なおさらです。

相続人がみんな家を持っていたりして、その方の自宅にはもう誰も住まない、という場合には、手放すことを検討してもいいでしょう(寂しいかもしれませんが)。

手放さない方が得な土地

ロケーションが良く、貸すにしろ、売るにしろ、お金になる土地です。

このような土地は、持ち続けていただき、是非有効活用していただきたいものです。

ただし、価値がある分、相続税評価額が高い場合もあります。

相続税の負担も高くなりますから、納税資金が全然足りなそうな場合には、生前に売却することも考えましょう

ただし、譲渡所得税が長期間保有の場合でも、20.315%かかりますので注意してくださいね。

処分を今から進めるべき土地

ロケーションが悪く活用しづらい土地や、地代が低い貸地などです。

売り急ぐと、安く買い叩かれます。

余裕を持って、早めに処分を検討しましょう。

不動産屋さんに広告を出してもらったり、隣地の持ち主のところに買い取ってもらえないか、話をしに行ったりしてみましょう。

「財産を相続しない」のと「相続放棄」は全然違う!

今回の結論
★「相続放棄」は、「新たな相続人」を生み出す手続き!


転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

お母様が亡くなり、その相続人の方に呼ばれてご自宅にお伺いし、「前の相続(お父様の相続)の時にはどういう風に財産を分けたんですか?」と聞くと、「前の相続の時には、我々子供は相続を『放棄』したんですよ。」と言われることがあります。

「えっ?家庭裁判所で手続きしたんですか?」と聞くと、「そんなことはしていない。」とおっしゃいます。

「遺産分割協議書を作って、相続人の皆さんで判子を押しましたか?」と聞くと、「そうそう、やった。」とおっしゃいます。

真相は、「遺産分割協議書で遺産分けを行い、その協議の中で、お母様が全財産を相続した(子供は財産を相続しなかった)」ということなんですね。

でも、これと「相続放棄」は全く違います

「相続放棄」と言うのは、家庭裁判所で、亡くなった方の権利や義務を一切受け継がない、という手続きをすることです。

財産を相続しない、という点では、遺産分割協議書を作成した場合と確かに同じです。

しかし、「相続放棄」をすると、「次」の相続人に相続順位が移ります

「相続放棄」は、「新たな相続人」を生み出す手続きなんです。

相続人に誰がなるか、はその順番が決まっていて、配偶者は必ず相続人になるのですが、それ以外だと、
第1順位:子
第2順位:直系尊属(両親など)
第3順位:兄弟姉妹

という順番になります。

亡くなった方にお子さんがいらっしゃらなくて、親御さんも既に他界されている場合、ご兄弟が相続人になった、というケースを聞かれたことがあると思います。

それは、この第1順位・第2順位の相続人の方がいらっしゃらなかったので、第3順位になった、ということです。

「相続放棄」も、この流れを引きを超します。

子が相続放棄をして、親御さんが既に亡くなられている場合、ご兄弟が相続人になります。

単純に「自分は財産を相続しなくてもよい、他の相続人のみんなで財産を相続してくれ」という場合は、ご自分が財産を全く相続しない、という内容の遺産分割協議書に署名・押印すればよいのです。

そうすれば、他の相続人が財産を相続することになります。

そこで「相続放棄」をすると、新たな相続人(亡くなった方のご兄弟)が出現して、従来の他の相続人の相続分が減ってしまいますから、ご注意を!

名義預金と言われないためには?

今回の結論
★もらった方が「もらった」と認識していないと贈与は成立しない!


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相続税の税務調査で、相続人名義の預金が、「亡くなった方の相続財産なのではないか?(相続人の名義を借りた預金=名義預金なのではないか?)」と指摘を受けることがあります。

これは、財産の名義人=財産の所有者ではない、という税務上の考え方によるものです。

生前にお金を贈与する場合には、単にお金を振り込むだけではダメです。

もらった方が「お金をもらった」ということを認識している必要があります

ですから、お子さんの名義で通帳を作って、そこにお金を振り込むだけでは、贈与は成立しません

その通帳をお子さんが管理し、その通帳への入金を子供が認識していることが必要です。

お金を振り込むのであれば、お子さんが普段使っている口座に振り込みましょう。

入金があれば、すぐに分かります(認識できます)。

贈与専用口座の通帳を作成し、そこに毎年振り込めば、「今までこれだけお金を贈与したんだぞ」ということを子供に認識させることはできるかもしれませんが、名義預金と疑われる可能性が出てきますので、ご注意を!

土地だけ相続しても相続税は払えない!

今回の結論
★相続税の納税資金を考慮すること!
★土地を取得し保有することのコストやリスクも考慮してあげること!


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例えば遺言で長男に土地を相続させて、「ご先祖様からの代々の土地を持ち続けて守って欲しい」と思うのであれば、相続税の納税まで気を配りましょう。

土地だけもらっても、相続税が払えなければ、相続人はその土地を手放さなければ(売却しなければ)ならなくなります。

土地を相続すると、持っていない周囲の者からは「いいなあ」と言われるかもしれんが、、固定資産税や草刈代などの費用もかかるし、建物があれば修繕費もかかります。

それが賃貸不動産だと、入居者リスクも加わります。

また不動産は、取得や売却の際にも、登記費用や司法書士手数料などの費用がかかります。

そういったマイナスの面もきちんと考慮し、お金も一緒に相続させるなど、相続人が大変な目に遭わないようにするための配慮も必要ですよ!

未成年の相続人がいる場合に注意!

今回の結論
★相続人が未成年者である場合には、遺産分割協議に参加することはできない!
★その相続人の代わりに、「法定代理人」「特別代理人」が遺産分割協議に参加する!
★原則として未成年者に不利な遺産分けはできない!

(未成年者の法律行為)
民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

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未成年の相続人は、法律行為をすることができませんから、法定代理人がピンチヒッターとなって登場します。

法定代理人は、通常は親権者(親)なんですが、夫が亡くなって、相続人である子供が未成年である場合、その夫の妻が子供の法定代理人になれるかと言うと、なれません

子供の法定代理人(味方)と言いつつ、妻が自分に有利なように遺産分割協議を進める可能性があるからです。

子供の権利が守られない危険性があるということです。

このようなケースで子供が2人以上いる場合(例えば長男と次男)も、妻が両方の法定代理人(味方)になると言いつつ、長男に有利なように遺産分割協議を進め、次男にとって不利な遺産分割を進める可能性があります。

次男の権利が守らない危険性があるということです。

そこで、親の代わりに「特別代理人」を家庭裁判所に選任してもらうことになります。

特別代理人は、親族でも構いません(上のケースのように利害が対立する親族ではダメです)。

その際、遺産分割協議書の案を家庭裁判所に提出するんですが、その協議書が未成年者に不利な内容であると、家庭裁判所は原則としてその「特別代理人」を選任してくれません

未成年者に対しては、(その権利を守るために)法定相続分を取得させるような内容に落ち着くでしょう。

特別代理人が選任されないと、遺産分割協議ができませんから、親が法定代理人になれないような場合には、早めに特別代理人の選任を申し立てるましょう!

相続時精算課税制度による贈与財産は、相続税が課税されるが、相続により取得したものではない!

今回の結論
★遺産分けの方法として「代償分割」という便利な方法がある!
★相続時精算課税制度により取得した贈与財産は、相続税が課税されるが、あくまでも贈与により取得した財産であり、代償分割に結び付けることはできない!
★特別受益に該当することも想定される!


代償分割とは?

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代償分割とは、財産をたくさん相続した相続人が、「私が財産をたくさん相続して申し訳ないから、皆さんにお金を払います」と言って、他の相続人にお金などを交付することにより、相続割合を調整する遺産分けの方法です。

「他の相続人にお金を渡したら贈与になっちゃうんじゃないの?」と思うかもしれませんが、「代償分割」として、遺産分割協議書にも明記して、あくまでも相続財産の分配ということでお金を移動するのであれば、贈与税の課税対象とはならず、相続税の課税対象となります。

例えば、Aさんが1億円の土地を相続し、Bさんに4,000万円のお金(代償分割金)を渡した場合、AさんBさんは、
Aさん:1億円△4,000万円=6,000万円
Bさん:0円+4,000万円=4,000万円

の財産を相続したものとして、相続税が課税されます。

相続時精算課税制度による贈与財産は、代償分割金の原資になる?

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上記の例で、Aさんが1億円の土地を、相続時精算課税制度による贈与により取得し、Bさんに4,000万円のお金を渡した場合、上記と同じような取扱いになるかというと、なりません。

Aさんは相続財産1億円として相続税が課税され、Bさんは贈与財産4,000万円として贈与税が課税されてしまいます。

Bさんがもらった4,000万円は、代償分割金ではなく、Aさんからの単純な贈与ということです。

1億円の土地は、既に生前に贈与により移動が完了しているので、通常は、遺産分けの対象にならない、ということですね。

とは言っても、特別受益の話が出てくるかも!

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「通常は、遺産分けの対象にならない」と言いましたが、その相続時精算課税制度による贈与財産が、特別受益に該当する場合には、相続分の計算をする上で、持ち戻しの対象になる場合があるので、ご注意を!

遺産分割協議書は未分割の財産がないような記載に!

今回の結論
★遺産分割協議書を作成する際、財産を列挙するだけだと、後から財産が発見された時に再度分割協議をしなければならない!
★「残りは誰」という記載にする!


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亡くなった方の遺産をどのように分けるかを相続人間で話し合う場合には、「財産がこれだけある、それぞれの財産を誰がもらうか」という観点で協議が進むわけですが、本当に「これだけ」かは、実は誰にも分かりません。

亡くなった方が相続人に知らせていない財産だってあるかもしれません。

思わぬ財産が発見されて、またその財産について遺産分割協議をするのは大変です!

そこで、後からどんな財産が出てきても、「誰がもらうか」が決まるように遺産分割協議書を作成しておきましょう!

財産と取得者を列挙した後、「上記以外の財産は、○○が相続する」とするんです。

そうすれば、後から出てきた財産については、すべて○○が取得者ということになります。

亡くなった方に配偶者がいる場合には、○○をその配偶者にしておけば、相続税の負担が少なくなる場合があります。

配偶者が取得した場合には、「配偶者の税額の軽減」により、相続税の負担が少なくなるようになっているからです。

また、配偶者が取得する、ということにすれば、相続人間の話し合いもまとまりやすい、という側面もありますよね!

相続財産の申告もれを防ぐには?

今回の結論
★通帳の動きをチェックする!
★確定申告書をチェックする!
★交友関係をチェックする!
★金庫をチェックする!


通帳のどこに着目する?

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通帳に記載された取引内容や取引先を、「何か資産を持っていないか?」と推理しながら見てみましょう。

利息や配当などの入金があれば、定期預金(貯金)や公社債、株式や投資信託などを持っている可能性があるということです。

保険会社への支払や、保険会社からの入金があれば、保険契約があるかもしれない、ということです。

カードの支払があれば、亡くなった時点で決済されていない分については、「債務控除」と言って、財産の金額からそれを差し引いて相続税を計算することができるので、その分、相続税が安くなります。

カードの支払が多額であれば、何を買っているのかもチェックしましょう。

財産計上すべきものを買っているかもしれません。

借入や借入金の返済がないかチェックしましょう。

亡くなった時点で借入金があれば、債務控除の対象となります。

確定申告書のどこに着目する?

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例えば、不動産所得がある場合、未収家賃があれば、相続財産となります。

減価償却資産の明細(減価償却費の計算)を見れば、土地建物以外の事業用の減価償却資産の所有状況が分かります。

また、預り敷金や保証金があれば、債務控除の対象となります。

生命保険料控除や、地震保険料控除がある場合には、その保険の内容を確認しましょう。

契約内容によっては、相続財産に該当するものが出てくる可能性があります。

交友関係も相続税と関係あるの?

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年賀状や名刺ファイルなどに、金融機関などの名前が出てきた場合、そことの取引がなかったか、そこで購入した相続財産がないか、確認しましょう。

金庫にお金が入っていなければ大丈夫なの?

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財産性のあるものに係る重要書類が保管されている可能性があります。

税務調査でも金庫の中を確認されます。

また、自宅だけでなく、銀行などの貸金庫の有無も確認しましょう。

相続税を代わりに払ってもらって得したなんて思っちゃダメ!

メモ魔税理士のメモ
★自分の相続税は自分で納める。他の相続人(例えば母親)に相続税を納めてもらった場合には、母親からの贈与となり贈与税の課税対象。立替えてもらったのであれば、返済する必要がある。返済せずに母親が亡くなると、母親から子への貸付金が未回収であるものとして、母親の相続財産になってしまう!


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子供が払うべき相続税(例えば300万円)を母親が払えば、子供はその分、自分の財布から300万円を出さなくてもよくなり、懐が痛まない訳じゃから、その分だけ得をすることになります。

また、母親から300万円をもらって(その分が得)、その300万円で相続税を払ったのと同じとも言えます。

「300万円をもらった」のと同じなのですから、それに対する贈与税を納める必要がある、ということです。

「いや、贈与ではないんです、ちゃんと母親に返すんです、ちょっとお金がなかったので、母親に立替てもらっただけで、ちゃんと返すつもりでーす。」と言い訳しても、実際に返さずにいると、母親が亡くなった時には、その残高が母親から子供に対する貸付金として、相続財産となってしまいます。

その貸付金という相続財産を、その子供が相続すれば、
債権者「子供」→債務者「子供」
となり、自分が自分にお金を貸していることになるので、返済をする必要はなくなるのですが、相続税が課税されるので、結局は税負担を免れることはできないということです。

この場合、「遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税がかからず、結果的に税負担を免れることができるのでは?」とおっしゃる方がいるかもしれません。

そうなれば、確かに相続税はかからないかもしれませんが、「返済するつもりがなかったんだから、母親から子供への貸付(金)ではなくて、贈与だったのではないか?」という見方をされる危険性があります。

そう認定されると、贈与税の申告もれということで、無申告加算税その他の税金とともに期限後申告をしなければならなくなりますから、ご注意を!

農地を相続した人必見!やらなきゃダメなことがあるよ!

今回の結論
★農業しなくても、相続でなら許可なく農地を取得できる。
★農地を取得した場合には、届出が必要!


メモ魔税理士のメモ
農地の取得には農業委員会の許可が必要。でも相続の場合には話が別。相続財産を取得できるのは子や配偶者などの相続人に限定されているから(遺言があればそれ以外の人の取得も可)、農地を欲しくなくても、誰かが相続しなくちゃいけない。その場合には許可は不要。でも、実は「届出」が必要。

相続などにより農地を取得した場合には、遅滞なく、その農地が所在するところの農業委員会に「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を提出しなければならない。もし、この届出書を提出しなかったり、虚偽の届出書を提出した場合には、罰則(10万円以下の過料)があるので注意!


転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

農業をやる人が減ってきて、誰が農地を持っているのか、把握するのが難しくなってきたため、農地取得者からの届出制を敷くことにより、所有者を把握しようとするものです。

でも、強制力がないと、みんな届出なんて面倒くさくてしないから、罰則規定が設けられているんですね。

平成21年12月15日以降に取得した場合には、この届出が必要です。

相続時精算課税贈与の申告が間違っていたら?

今回の結論
★精算課税贈与の評価額は正しい金額で足し戻す!
★精算する贈与税の申告のやり直しには期限の問題がある!


税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

相続時精算課税制度を適用して贈与税の申告をしたら、その贈与財産は相続財産に加算されて相続税が課税されるそうですけど、もし、その贈与税の申告上の財産の評価額が正しくないことが発覚しても、贈与者が死亡した後の場合には、その間違った評価額で加算することになるんでしょうか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

いいえ。

間違った評価額を用いず、贈与時の評価額を正しく計算して加算することになります。

そして、その場合に問題となるのは、贈与税の方なんです。

相続税基本通達
(相続時精算課税の適用を受ける財産の価額)
21の15-2 法第21条の15第1項の規定により相続税の課税価格に加算される相続時精算課税の適用を受ける財産の価額は、相続開始時における当該財産の状態にかかわらず、当該財産に係る贈与の時における価額によるのであるから留意する。(平15課資2-1追加)

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ねっ!

「贈与税の申告で計算した金額を加算する」訳ではなく、「贈与時の(正しい)評価額で計算する」必要があるんです。

相続時精算課税制度を適用した場合には、贈与時に納めた贈与税を、相続税の申告上で「精算」します。

間違った評価額で申告していれば、贈与税も間違っています。

ですから、その贈与税の計算もやり直す必要があります。

もし、評価額が過大だった場合には、「更正の請求」をしましょう。

評価額が2,500万円を超えていて、20%の贈与税を納めている場合には、還付を受けることができます。

もし、評価額が過少だった場合には、「修正申告」をしましょう。

評価額が2,500万円を超える場合には、20%の贈与税を納めることになります。

上記「更正の請求」「修正申告」には、期限があります。

期限を経過すると、「更正の請求」「修正申告」ができなくなります。

その場合には、「精算」が正しい金額でできなくなりますので、ご注意を!

相続税基本通達
(「課せられた贈与税」の意義)
21の15-3 法第21条の15第3項に規定する「課せられた贈与税」には、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産に対して課されるべき贈与税(法第36条第1項及び第2項の規定による更正又は決定をすることができなくなった贈与税を除く。)も含まれるものとして取り扱うものとする。この場合において、当該贈与税については、速やかに課税手続をとることに留意する。(平15課資2-1追加)

相続税の2割増課税の対象者とは?

今回の結論
★子の子(孫)を養子にすると相続税が2割増になるけど、子の妻なら2割増にならない!


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相続税を計算する際に、財産の取得者によっては、計算された相続税の2割増(2割加算)で納税しなければないパターンがあったな。どんな場合だっけ?

メモ魔税理士のメモ
相続税額の2割加算
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される。


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そっか、財産を取得した方が、「一親等の血族と配偶者」以外の場合か。

この場合の「一親等の血族」は、子供や親だから、相続人になるパターンの「第1順位」「第2順位」な感じだ。

メモ魔税理士のメモ
相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になる。

○第1順位
・死亡した人の子供
※その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となる。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先する。

○第2順位
・死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
※父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先する。
※第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になる。

○第3順位
・死亡した人の兄弟姉妹
※その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となる。 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる。


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「的」と言うのは、「第2順位」に該当しても、祖父母の場合には、2割加算の対象になるから。

それと、第1順位の孫についても、注意が必要。

メモ魔税理士のメモ
被相続人の養子は、一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象とはならない。

ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫は、被相続続人の子が相続開始前に死亡したときや相続権を失ったためその孫が代襲して相続人となっているときを除き、相続税額の2割加算の対象になる。


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子供が生きている場合に、孫を養子にすると2割加算の対象者、ということ。

通常は「親→子→孫」と財産が移転するところを、「親→孫」と移転することになると、相続税がかかる回数が1回減ってしまうからだ。

これを別の読み方をすると、子供が生きている場合に、孫ではなく、子の妻を養子にした場合には、実は、2割加算の対象にはならないんだよね。

リビング・ニーズ特約に注意!

リビング・ニーズ特約って聞いたことありますか?

リビング・ニーズ特約って何かというと、「死亡した場合に受け取ることができる保険金を、前もって受け取ることができる」っていう特約なんですよね。

被保険者が余命6ヶ月以内と医師に診断された場合に、その生命保険金の一部又は全部を生前に受け取ることができるんです。

亡くなってからもらうより、生きている間にもらった方が、その人の為にいろいろしてあげられるし、治療などにお金がかかる場合には大変助かる、という訳です。

課税関係はどうなるの?

例えば、父親が自分を被保険者として保険に入り、保険金受取人を長男にした場合、長男がリビング・ニーズ特約で生前に保険金(「生前給付金」って言います)を受け取ったら、保険料負担者が父親で、保険金を受け取るのが長男で、生前の課税関係なので、「これは贈与になるのか?」とお思いになるかもしれません。

でも実は、このリビング・ニーズ特約の生前給付金は、「疾病により重度障害の状態になったことなどにより支払われる入院費給付金」に準ずるものとして、所得税法上「非課税」となっています。

つまり、お金を受け取っても、税金がかからないんですよね。

じゃあ全額、生前給付金でもらったら超節税?

生命保険金の全部を生前給付金で受け取ったら、その時点では「非課税」です。

そして、相続の時には、生命保険金の残がありませんから、課税どうこうよりも、保険金が支払われません。

ただし、死亡に伴う生命保険金が支払われない代わりに、生前に受け取って、手許に「現金」がある訳です。

この現金は、「相続財産」です。

どういう経緯でもらったのか、非課税の所得としてもらったリビング・ニーズ特約の生前給付金だろうが、関係ありません。

生前にお金をもらわない方が『相続税的』には有利

相続により生命保険金を受け取れば、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるため、その範囲であれば相続税がかかりません。

死亡後お金が手許にあってもです。

それに対し、リビング・ニーズ特約でもらった生前給付金は、手許にあると相続税がかかります。

相続税の課税対象になるかどうかを考えると、リビング・ニーズ特約を使わない方が、課税対象は減らせるのです。

リビング・ニーズ特約の生前給付金の請求は慎重に!

一度贈与して「ホッ」とすると失敗する相続時精算課税制度!

2,500万円の特別控除額は何年間も使えます!

「相続時精算課税制度」とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

この制度は、複数年にわたり利用できる特別控除額(2,500万円)があり、その特別控除額に達するまでは、贈与税がかかりません

ただし、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、年間110万円の非課税枠がある暦年課税へ変更することはできません

最初の贈与はみんな慎重にやるんですが・・・・・・。

相続時精算課税制度のメリットは、「一度に多額の財産を贈与しても、その時には贈与税がかからない」という点です。

ずっと、税金がかからない、という訳ではなく、2,500万円までは贈与税がかからない分、その贈与財産には相続税をかける(つまり相続時に課税が精算されるから「相続時精算課税」っていうんですね)ことになっています。

「せっかく相続時精算課税制度を使うんだから」といって、いっぺんに2,000万円から2,500万円ギリギリまで贈与される方が多いのではないでしょうか?

通常の暦年贈与であれば、2,500万円の贈与をすれば、800万円超の贈与税がかかります。

それが、かからなくて済む、という訳ですから、みんな慎重に申告書を作成し、提出するんですよね。

2,500万円の残りの枠を使う際にも期限内申告が必要!

相続時精算課税制度を選択した場合には、「(暦年贈与の)110万円の非課税枠はあきらめちゃったけど、2,500万円も非課税枠があるから、ある意味安心だよな」みたいな、ヘンな楽観論が生まれがちです。

ところが、ちょっとした贈与も、その相続時精算課税制度を選択した贈与者からの贈与であれば、すべて課税の対象です。

相続時精算課税制度を選択していない場合(暦年贈与の場合)の、「少額の資産をもらっても年間110万円以下だから全然平気!」ということがないのです。

そして、2,500万円の残り枠を使うためには、3/15までの期限内申告が必要です。

例えば、もし残りの枠が500万円あったとして、その贈与者から400万円の贈与を受け、申告しないでおくと、その500万円の残りの非課税枠が使えず、400万円×20%=80万円の贈与税が課税されます

残りの枠を使う際にも、最初の贈与と同じ気持ちで期限内にきちんと申告しましょう!

枠を使い切った後も注意が必要!

当然ですが、相続時精算課税制度による贈与財産は、その贈与者がお亡くなりになった時に、相続税の申告書に申告しなければなりません。

これを忘れたら大変です。

つまり、相続時精算課税制度を選択した場合には、ずっと気を付けなければならない、というわけですね。

不動産管理会社が預かっている敷金に注意!

アパートに入居するときには敷金が必要です

アパートや貸家などに入居する際、礼金や敷金を支払いますよね。

この礼金は「お礼のお金」なので、払ったら戻ってきません。

それに対し、敷金は、基本的には戻ってくる性質のものです。

ただし、入居している間に部屋が傷んだりした場合には、その修繕費に充てられたり、未払の家賃に充てられたりします。

それでもなお、残りがあれば、返ってくる、という訳ですね。

大家さんは敷金を「預かっている」のです

賃貸借期間中は、大家さんは、受け取った敷金を預かった状態になります。

「修繕費や未払家賃に充てられたりするかも」といっても、退居するまではどうなるか分かりません。

もし、修繕も必要なく、家賃の未払もなければ、全額返さなければならない訳ですから。

後で返さなければならない、ということは、あるいみ「借金」みたいなものですよね。

ですから、敷金についても、借入金その他の債務と同様、相続税の申告上「債務控除」の対象となります。

自分が預かっていない敷金もある!

「不動産賃貸業をやっている場合には入居者から敷金を預かっている」→「その敷金は債務控除の対象だ」
という理論展開だけだと、相続税の申告で失敗することがあります。

アパートの部屋数や貸家の戸数が多いと、入退去の手続きや、家賃の回収などの管理が大変になります。

それらを不動産管理会社に全部お任せした場合、この敷金についても、不動産管理会社の方で管理して、修繕費や未払家賃と相殺したのち、退居者に返還したりしてくれます。

このような場合に、単に敷金を債務控除してもいいと思いますか?

目に見えない不動産管理会社とのやり取りにも頭が回るかがポイント!

不動産管理会社に管理を委託した場合には、大家さんの手元には、敷金が来ません。

というよりは、実際には

入居者→①→大家さん→②→不動産管理会社

というお金の流れの①と②が相殺されているんです。

①が「預かっている」敷金です。

そして、②が「預けている」敷金です。

つまり、①を債務控除するのであれば、②をプラスの財産として申告しなければならない、ということです。

賃貸借契約書などの書類だけで相続税の申告書を作成してしまうと、①だけ計上して、②を忘れてしまう、ということがあります。

取引の実態をきちんと把握して申告書を作成しましょう。

3年以内に贈与された財産は相続財産?

「亡くなる前に贈与しちゃう!」の有効性は?

相続税の計算においては、「お亡くなりになった日前3年以内に、お亡くなりになった方から贈与により取得した財産については、相続財産に加えて相続税を計算し、そこで計算した相続税から、贈与の時に納めた贈与税を控除する」ということになっています。

お亡くなりになりそうだ、ということで、財産をどんどん贈与してしまうと、相続財産が減って、国に入る相続税がどんどん少なくなってしまいますから、3年縛りが設けられている、ということです。

相続税の節税を図り、贈与をするのはいいのですが、それがお亡くなりになる日前3年以内の贈与であると、相続税の節税には全くならないということです。

ですから、110万円の非課税枠を使った暦年贈与を毎年繰り返すことにより相続財産を減らそうとする場合には、早めの贈与着手が肝心、ということですね。

加算する元がなかったら加算しなくていい?

お亡くなりになる日前3年以内に贈与を受けていたとしても、相続の際に財産を取得しなかったとしたら、どうでしょうか?

「相続財産に加えて相続税を計算」しようにも、相続財産がない、という場合です。
「加えられないんだから、相続税の計算対象にして相続税をかけなくてもいいんじゃないの?」とお思いになるかもしれません。

正解です。

このような場合には、その贈与財産には、相続税がかかりません。

相続で財産を取得しなければ節税になるかも

3年以内に贈与を受けた財産に相続税がかかるのが嫌であれば、相続で財産を取得しなければいいのです。

そうすれば、贈与により取得した分だけ相続財産は減り、全体の相続税も減ります。

贈与税が返ってこない場合も

相続で財産を取得した方については、3年以内贈与財産も相続税の課税対象です。

もし、税金の問題よりも、財産を早期に移転したい、ということで、110万円の非課税枠を超えた財産を贈与し、贈与税を支払っている場合には、その贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算し、そこで計算した相続税から、贈与の時に納めた贈与税を控除するのですが、計算した相続税が100万円で、以前納めた贈与税が150万円だった場合、差額の50万円はどうなるのでしょうか?

「それは返してもらえるんでしょ!」とお思いになるかもしれませんが、実は返してもらえません

これが、相続時精算課税制度による贈与財産であれば、「相続時」に「精算」する制度なので、還付となります

一般的に(値上がり資産などでなければ)、相続時精算課税制度は節税にならない、と言われますが、早期に財産を移転できる、という贈与の有効な面を活かしつつ、最終的には贈与税がかからない、という点では、相続時精算課税制度を使った贈与も、有用な贈与方法であることが分かりますよね。

配偶者の税額軽減は、更正の請求でも可能?

節税インパクトが大きい「配偶者の税額軽減」

「配偶者の税額軽減」は、相続税を安くする特例としては、最も破壊力があるものだと思います。

なぜなら、配偶者が取得した財産については、

①1億6,000万円
②配偶者の法定相続分相当額

のいずれか多い金額まで、相続税がかからないという内容だからです。

適用を受けずに申告してしまったら、もう適用できない?

配偶者の税額軽減は、このように非常に節税効果がある特例なのですが、もし「このような特例があることを知らなかった!」又は「適用するのを忘れてしまい、適用を受けずに申告してしまった!」という場合、どうなるでしょうか?

実は、以前は「当初申告要件」というものがあり、「最初に適用して申告しなければ受けられないよ」となっていましたが、税制改正により、その「当初申告要件」が廃止されました。

ですから、配偶者の税額軽減を、更正請求書や期限後申告書、修正申告書で初めて受ける、というのは可能です。

今回の相続税が安くなればいいの?

配偶者が相続した分は、その配偶者がお亡くなりになった時に、相続財産となります。

例えば、夫が亡くなって、「配偶者の税額軽減」の適用を受けて妻が相続した財産は、今回は非課税で移転できたものの、そのままであれば、その妻に万が一のことがあった場合に、相続税の課税対象となります。

つまり、「『配偶者の税額軽減』は有利な制度だ!」といって多額の財産を配偶者が相続すると、今回の相続で相続税がかからなくても、次回の相続で相続税がかかる可能性があるのです。

ですから、配偶者に万が一のことがあったときの相続税も想定して(配偶者が元々持っている財産も勘案して)、遺産分けを行う必要があります。

また、スムーズな遺産分けを行う、という点では、最初の相続で、どんどん子供に分けておく、というのも争いを避けるという点では有効です。

子供だけで分けるより、親の目が光っているうちに分けた方が、子供がみんないうことを聞く場合もありますよね。

「配偶者の税額軽減」の適用をフルに受けることは、半面、課税や遺産分割の問題を先送りしている面もある、という点に注意しましょう。

契約者貸付金の取扱いは2通りある!

契約者貸付金って知ってますか?

あなたが保険に入っていたとします。

スゴくいい内容の保険です。

急に、お金が必要になってしまいました。

保険を解約すれば、お金を作ることができます。

でも、保険は解約したくない。

でも、お金は必要。

こんな場合、保険契約によっては、保険会社から「契約者貸付金」という名の、お金を借りることができる場合があります。

亡くなったらどうなるの?

「契約者貸付金」としてお金を借りたまま、被保険者がお亡くなりになったらどうなると思いますか?

例えば、契約により定められた保険金が500万円で、契約者貸付金が100万円だったとします。

保険会社としては、保険金受取人に、500万円支払う必要があります。

逆に、契約者から、100万円もらうことができます。

500万円支払って、100万円もらうのって、なんか面倒くさいですよね?

そこで、このような場合には、500万円から100万円を控除した、400万円が保険金受取人に支払われます。

お金を借りていたら債務じゃないの?

ここで、相続に詳しい方は「その契約者貸付金は、保険会社からの『借入金』なんだから、『債務控除』で申告しなければならないんじゃないの?」とお思いになるかもしれません。

スルドい!

通常、税法上は、取引は相殺しないで、総額で計上するのが原則ですからね。

でも、この場合には、相殺後の400万円という金額を使っていくんです。

でも、パターンが2つありますので、ご注意を。

お亡くなりになった方Aが保険契約者だったパターン

保険金受取人Bから見ると、保険料を払ってくれたAから、保険金を受け取る、そして、「借入金」の債務者であるAから、その債務を引き継いだ、そして、それらが相殺されて、相殺後のお金を受け取った、ということになります。

生命保険金の非課税枠を余らせられるので得!

そうなんです。

生命保険金には、500万円×法定相続人の数という、非課税枠があります。

500万円の保険金をもらったはずなのに、400万円で見てもらえる、ということは、その分、非課税枠を使わなくて済む、ということです。

得ですよね!

お亡くなりになった方が保険契約者じゃないパターン

Cが保険契約者だとしましょう。

この場合でも、保険金受取人Bには、400万円しか入ってきません。

残りの100万円部分の取扱いは、どうなると思いますか?

Cが返さなくてもよくなっちゃった、ということです。

だから、Cが100万円をもらった(もらって得した)ものとされますので、ご注意を。

生命保険金の税負担を軽くして納税資金を確保!

今回の結論
★相続税の非課税を使い切ったら、所得税の一時所得で攻める!


他の財産より優遇される生命保険金!

相続により生命保険金を受け取った場合には、他の財産をもらうのに比べ、税負担が軽くなるようになっています。

詳しく言うと、
[Aパターン]
(1)お亡くなりになった方が保険料を負担し(通常は契約者になります)
(2)お亡くなりになった自分本人に掛けている(被保険者がお亡くなりになった方)

場合の生命保険金です。

このような内容の生命保険金を取得した場合には、相続税の課税対象となります(通常の財産と違い、受取人が元々指定されるため遺産分割の対象外であり、「みなし相続財産」と言われます)。

どのように税負担が軽くなるかというと、
500万円×法定相続人の数
の非課税枠があるのです。

例えば、相続人が3人で、上記のような生命保険金が合計で2,000万円だった場合、
2,000万円△500万円×3=500万円
だけが、相続税の課税対象となります。

非課税枠を使い切っちゃったら?

「そうか!生命保険に入れば節税になるのか!」というと、そう単純ではありません。

上記の非課税枠の算式をご覧いただいても分かる通り、非課税枠を超えた分については、丸々相続税がかかります。

法定相続人の数が少ない場合には、非課税枠も小さくなります。

違う保険の契約の仕方「も」する!

上記のような保険で非課税枠を使い切ってしまう場合には、
[Bパターン]
(0)相続人がお亡くなりになる方から現預金の贈与を受け、
(1)その贈与を受けて自分のものになったお金で相続人の方が保険料を負担し(通常は契約者にもなります)
(2)お亡くなりになる方に掛けている(被保険者がお亡くなりになる方)

が有効です。

相続税と所得税では課税の方法が違う!

このような保険の内容の生命保険金を受け取った場合には、その生命保険金は、相続税の課税対象ではなく、所得税の課税対象(一時所得)になります。

相続税の課税対象になる[Aパターン]の場合には、1,000万円の生命保険金なら、その1,000万円が相続税の課税対象です(非課税枠を使い切っていることが前提)。

ところが、所得税の課税対象になる[Bパターン]の場合には、仮に生命保険料(掛金)がトータルで900万円だった場合、
(1,000万円△900万円)×1/2=50万円
が課税の対象になります。

同じ1,000万円でも、課税される金額が20分の1になります。

もちろん、相続税の税率と所得税の税率は違いますので、税金も20分の1になる訳ではありません。

また[Bパターン]の場合には、(0)に贈与税が課税されますので、その点も忘れずに税負担を考慮する必要がありますが、それでもかなり有利ですよね!

葬式費用の分だけ相続税が安くなる!

今回の結論
★何が控除できるか覚えるより、債務控除できない葬式費用を先に押さえましょう!

これは相続税の世界では「葬式費用」じゃないんです!

借金などの債務があれば、その分、相続税が安くなります。

同じように、葬式費用についても、債務と同様に相続人が負担しなければならないものであることから、プラスの財産から葬式費用の金額を控除して、相続税を計算することができます。

ただし、葬式費用についても、債務控除できないものがあります。

相続税法基本通達13-5(葬式費用でないもの)

次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないものとする。(昭和57直資2-177改正)
(1)香典返戻費用
(2)墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
(3)法会に要する費用
(4)医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

香典返戻費用

いただいたご霊前に対してお渡しするお返しに係る費用です。

このご霊前の課税関係を考えると、例えば、お通夜の参列者の方が持参された「ご霊前」の場合、「参列者」→「遺族」の贈与になります。

お亡くなりになった方は、もうこの世にはいらっしゃらないので、課税関係の当事者にはなり得ません。

そして、この香典については、贈与税の非課税財産に位置付けられています

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。(相続税法基本通達21の3-9)

ですから、そのお返しの費用も、債務控除の対象とはなりません

墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料

債務控除できない、というと、驚かれるのがこれです。

亡くなったら通常、必要になるものですからね。

でもよくよく考えてみれば、お葬式とは関係ありませんから、債務控除することはできないんです。

法会に係る費用

仏式の場合を例にとると、お通夜・告別式があり、その後に、初七日、四十九日、一周忌と続きます。

お亡くなりになったら必要になる費用だから、となんでも認めてしまうと、歯止めがかからなくなってしまいます。

相続税の計算で債務控除できるのは、通常「葬式」と言われるお通夜・告別式の分までで、その後の初七日や四十九日以降の法会にかかった費用は、債務控除することはできません。

医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

実は、ご遺体の捜索費用や運搬費用は、債務控除できます。

しかし、ご遺体の解剖に係る費用は、債務控除できないことになっています。

借金がいっぱいあっても相続税を払うの?

今回の結論
★日本国内に住所を有しない相続人に注意!
★非課税財産をツケで買うのは意味なし!

相続するのはうれしい財産だけじゃない!

相続税は、「相続して、たくさん財産が手元にあるんだから、その中から払ってね」というものです。

でも実際には、お亡くなりになった方が、土地や預貯金などの財産を残しただけでなく、借金を残している場合もあります。

このような場合には、相続の放棄等をしない限り、相続人の方が、その借金を返済していくことになります。

そうなると、その借金返済の原資に、相続した預貯金を充てたり、相続した土地を売却して、その売却代金を充てたりするわけです。

単純に土地や預貯金に相続税を課税してしまうと、借金返済に支障をきたす場合が想定されますよね。

そこで、相続税を計算する場合には、土地や預貯金などのプラスの財産にそのまま税率をかけるのではなく、そのプラスの財産から、借金などの債務を控除して(これを「債務控除」と言います)、相続税を計算します

どのようなものが債務控除できるのか?

基本的には、お亡くなりになった方の債務で、お亡くなりになった時点で実際にあったものは、債務控除の対象となります。

ただし、制限納税義務者(日本国内に住所を有しない一定の方)というものに該当する場合には、取得した財産に係る税金などの債務のみが債務控除の対象です。

したがって、実は、借金などの債務以外に、葬式費用も債務控除の対象となるのですが、制限納税義務者については、葬式費用は債務控除の対象になりません。

つまり、制限納税義務者の方が葬式費用の額を負担されても、相続税の計算上、控除することができません

トータルで相続税を安くすることを考えるのであれば、制限納税義務者の方が負担しない方が賢明です。

先に控除できないものを見てみると…。

実は、墓地や墓石には、相続税がかかりません。

そうすると、頭のいい人は、「100万円のお墓を買って、代金を未払にしておいて、お亡くなりになった後に払おう」とします。

そうすれば、「お墓に相続税がかからず、未払の100万円分を、他の財産から控除できる」という訳です。

そこで、そうはさせない、ということで、お墓を買った際の未払金は、債務控除できないことになっています。

他の人の分の相続税も納めなければならない?

今回の結論
★自分にお鉢が回ってこないように、他の相続人の納税資金も考えて遺産分割すること!

自分が相続した財産の分だけ相続税を納めるのが本来だけど・・・

相続税の計算は、財産を相続した人につき、それぞれ別々に計算する訳ではありません。

まず、「誰が相続したか」は関係なく、お亡くなりになった方の相続財産を合計して、その合計額に対しての相続税額を計算します。

そして、その全体の財産に対する相続税額を、財産を取得した比率で按分して、各相続人が負担する相続税額を計算します。

遺産分けによって、現金をたくさん相続した相続人Aさんは、その現金の中から相続税を払えばいいので楽チンです。

でも、山林をたくさん相続した相続人Bさんは、自己資金がないと相続税が払えないかもしれません。

通常、どの相続人がどの財産を相続するかは、相続人間で協議し(話し合い)、その話し合いの結果を元に決められます。

ですから、もし相続人Bさんが相続税を納められなかったとしたら、相続人Aさんにも、その責任がないとは言えませんよね。

そこで、相続税においては、相続人相互間において、お互いに「連帯納付義務」というものを負わせることとしています。

連帯納付義務がない場合

とは言え、どんな場合でも連帯納付義務が生じる訳ではありません。

上記の例で言えば、相続人Bさんが相続税を納められないでいると、税務署は相続人Bさんに督促状を送ります。

そして、その督促状を発した日から1ヶ月を経過する日までに相続人Bさんによって相続税が納められないと、税務署から相続人Aさんに、連帯納付義務の適用がある旨の「納付通知書」が届きます。

この通知書が、申告書の提出期限から5年を経過する日までに発送されなければ、相続人Aさんは連帯納付義務は負いません。

また、相続人Bさんが延納の許可を受けた場合や、相続税の納税猶予の適用を受けた場合の、その相続税については、相続人Aさんは連帯納付義務は負いません

「お互いに」じゃなく「一方的に」連帯納付義務を負う場合も!

上記の例で、相続人Bさんが、相続した山林をCさんに贈与した場合、Cさんは相続人Bさんが納めるべき相続税について、連帯納付義務を負います

別の設定ですが、例えば、父aさんが亡くなり、母bさん・長男cさん・次男dさんが相続人の場合で、母bさんが、相続税を納める前にお亡くなりになってしまった場合には、母bさんが負担すべき相続税については、長男cさん・次男dさんが連帯納付義務を負うことになります

納税まで見据えた遺産分けを!

相続税の納税資金が足りない場合はどうすればいいの?

今回の結論
★どうしても納期限までに現金が用意できなければ、延納か物納で納付することになります!

相続税っていつまでに納める必要があるの?

相続税は「金銭一括納付」が原則です。

相続税の「提出期限」がイコール相続税の「納期限」となります。

「2月4日にお亡くなりになった場合には、12月4日が申告期限」とお話しました。

この場合、例えば、相続税の申告書を12月1日に提出した場合、相続税の納期限も12月1日になるのか、というと、そうではありません。

あくまでも、提出期限=納期限ですから、12月4日が納期限となります。

納期限までに納付が間に合わなそうであれば、「納付方法」をチェンジ!

相続財産の構成について考えてみましょう。

相続財産が100%現金や預貯金だったとしたら、納税は大変でしょうか?

大変じゃないですよね。

財産の金額以上に相続税を納めることはありませんから、もらった相続財産の一部をそのまま納税に充てればいいんですもの。

では、相続財産が100%山林だったとしたら、納税は大変でしょうか?

大変ですよね!

山林を欲しがる人はそんなにいませんから、売ってお金に変えるのも困難です。

そうなると、まずは、相続人が自分の貯金の中から、又は、毎月の給与などの収入の中から、納税資金を絞り出すしかありません。

「でも、手元にあるお金も、毎月の収入も、使い道が決まっているので、納税に充てられないよ!」という場合もあるでしょう。

このような場合には、どうすればいいのでしょうか?

突然、換金性の乏しい財産を相続することになってしまい、相続税の納税を迫られる。

すぐに納められないからといって、相続人が悪いとはいえませんよね。

そこで、このような場合には、2つの納税方法が用意されています。

それは、「延納」「物納」です。

「延納」は「相続税の分割払」です。

「物納」は「相続税をお金ではなく、モノで払う(もらった相続財産をそのまま税務署に持っていってもらう)」というものです。

相続税の延納は、誰でもできる訳ではない!

今回の結論
★「金銭納付を困難とする理由書」が書けないと(納税資金にゆとりがあると)、延納はできません!

税務署側に立って考えてみると?

相続税の納税資金が足りず、相続税の納期限までに現金一括納付ができない場合には、「延納」や「物納」に納付方法をチェンジすることを検討しましょう。

「延納」や「物納」にチェンジする、といっても、税務署は、納められた相続税を歳出(国の支出)に充てようとしている訳ですから、「財政も厳しいので出来るだけ早く税金を納めて欲しい」「モノを換金するのは手間がかかるので出来れば現金で納めて欲しい」と思っています。

どんな場合でも「延納」や「物納」を認めてくれる訳ではありません。

延納ができる場合とは?

延納が認められるのは、下記の要件を満たした場合です。

①相続税額が10万円超であること
②本当に相続税の納期限までに現金一括納付ができない状態であること
「金銭納付を困難とする理由書」というものに、手持ちの現金から生活費、さらには、配偶者その他の親族の収入などまで書いた上で判定します。
③担保を提供できること
※担保の種類は、「国債・地方債」「社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの」「土地」「建物で保険に付したもの」などの一定のものに限られます。担保は相続財産以外のもの(相続人が元々持っていたものや、第三者が所有しているもの)でも提供できます。
※延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には、担保提供は不要です。
④相続税の納期限までに「担保提供関係書類」を添付して「延納申請書」を提出すること

「分割払」なので「利息」が付きますよ!

納付を待ってもらうということは、その間はお金を借りているのと同じです。

ですから、その期間に対応する利息を国に支払わなければなりません。

「どれくらい納付を待ってもらえるか」「期間をどれくらい伸ばせるか」というのは、良く考えてみると、一律には決められませんよね。

納付の一番のネックは、「不動産」です。

不動産の特徴は、財産価値があるとはいえ、個別性も強いために、いつでも思うような値段で売れるとは限らない点です。

この「『不動産』が財産に占める割合が高ければ、納付もより難しくなる(分割納付するにしても長い期間かかってしまってもしょうがない)」と言えます。

そこで、認められる延納の期間(「延納期間」)と、利息(利子税)は、不動産の割合によって変わってきます

当たり前だけど、物納はスゴく大変!

今回の結論
★物納するんだったら、のんびり申告書作ってちゃダメ!

「延納」でも納付できない場合には?

「納期限までに現金一括納付」ができず、「延納」でも対応できない場合には、「物納」で納付することになります。

モノでもっていってもらうけど、結構お金がかかります!

1,000万円の相続税を物納で、と考えた場合、ちょうど1,000万円の物納できる土地があればよいのですが、1,500万円の物納できる土地しかなければ、その土地を分筆(土地を切るということですね)して、1,000万円分の土地を用意しなければなりません。

その際の測量や境界に印を付けるための費用、分筆に係る登記費用や、専門家に支払う手数料などは、自分で払わなければなりません。

順番が決められている!

物納できる財産は、その種類が決まっています。

また、物納に充てる順番も次のように決まっています。

〔第1順位〕
国債、地方債、不動産、船舶
〔第2順位〕
社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
〔第3順位〕
動産

また、この中でも、「不動産」や「株式」については、「物納劣後財産」という括り(くくり)があります。

「納劣後財産」しかなければ、それを物納してもいいよ、でも、「物納劣後財産」に該当しないものがあれば、そっちを先に物納しなくちゃダメだよ、というものです。

例えば、「法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地」とか、「劇場、工場、浴場その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地」などは、「物納劣後財産」に該当します。

税務署も、物納してもらった後、それをお金に換えて、国庫に入れなくちゃいけない訳ですから、出来るだけ換金しやすいものを物納してね、ということです。

物納はいつまでに申請すればいいの?

物納をしようとする場合には、相続税の申告期限までに、物納申請書その他一定の書類を提出する必要があります。

先ほどお話したように、土地については分筆や登記が必要になったりして、物納財産として整備するのに時間がかかる場合がありますから、早めの着手が不可欠です。

そのためにも、遺産分割協議、相続税額の確定を、出来るだけ早めに完了させましょう。

相続税が還付される場合とは?

今回の結論
★相続時精算課税制度により納付した贈与税は、相続税の「前払」なので、精算により「納め過ぎ」ということになれば、その分が還付されます!


ズバリ、相続時精算課税制度を適用して、贈与税を納めている場合です。

相続時精算課税制度により贈与を受けた財産は、相続税の課税対象として、通常の相続財産と一緒に、相続税が課税されます。

相続時精算課税制度によりもらった財産と、通常の相続によりもらった財産の合計に対応する相続税から、相続時精算課税制度を適用した際に納めた贈与税を差し引いた金額を、最終的な相続税として納めることになります。

「何で贈与税を差し引くの?」と疑問に思われるかもしれませんが、相続時精算課税制度により支払った贈与税というのは、相続税の「前払」的な性質を持っているんですね。

2,500万円という非課税枠を超えた部分については一律20%の贈与税を納めなければならないんですが、それは「相続時」に「精算」しましょう、という仕組みになっているので、計算した相続税よりも「前払」した贈与税が多い場合には、その差額を「精算」して還付してもらえるんですね。

ここが通常の贈与による贈与税と違うところです。

「贈与税が返ってくる場合なんて、そんなにないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、相続時精算課税制度により財産を大きく動かしている(多額の贈与をしている)にもかかわらず、相続財産の総額が比較的小さい場合にはあり得ますね。

例えば、相続時精算課税制度により、3,000万円の財産の贈与を受けた場合、
贈与税は、(3,000万円△2,500万円)×20%=100万円
です。

3,000万円に対して100万円ですから、税負担率は3.3%ですね。

相続時精算課税制度による贈与財産を含めた相続財産の総額が6,000万円で、相続人が子供3人の場合、相続税の総額が120万円で、
贈与財産3,000万円に対応する相続税は、60万円
です。

3,000万円に対して60万円ですから、税負担率は2%ですね。

このように、相続税の税負担率の方が低くなるような場合には、還付が発生する可能性が高くなります

この場合、60万円△100万円=△40万円が還付されます。

相続税の申告書はどこの税務署に提出するの?

今回の結論
★基本は、お亡くなりになった方の住所地の税務署に提出します。
★お亡くなりになった方の住所地が海外にあった場合には、相続人の住所地などになります。


お亡くなりになった方と、その方の相続人が近くに住んでいるとは限りません。

そうなると、「お亡くなりになった方が住んでいた地域を管轄する税務署と、相続人の方が住んでいる地域を管轄する税務署の、どちらの税務署に申告書を提出するの?」という疑問が出てきますね。

多くの場合はお亡くなりになった方の住所地の税務署

お亡くなりになった方の死亡時の住所地が日本国内である場合には、その住所地を所轄する税務署に提出することになります。

例えば、お亡くなりになった方が大田原市に住所があり、相続人の方が、宇都宮市や足利市に住所がある場合、相続人の方がご自分の毎年の確定申告書を提出している地元の宇都宮税務署や足利税務署に相続税の申告書を提出するのではなく、大田原税務署に相続税の申告書を提出することになります。

この場合、相続人個々に1通ずつ申告書を作成し提出することもできますが、相続人が共同で1通の申告書を作成し提出することも可能です。

「可能です」と言いましたが、この「みんなで一緒に提出する」というのが通常のパターンです。

ただし、遺産分割がまとまらずに相続人同士がけんかしていて、共同歩調を取れないような場合には、個々に提出することになったりしますね。

お亡くなりになった方の住所が海外の場合は?

お亡くなりになった方の死亡時の住所が日本国内にない場合には、相続税の申告書の提出先がケースにより変わります。

相続人の方の住所地が日本国内にあるケース

お亡くなりになった方の死亡時の住所が日本国内になく、相続人の方の住所地が日本国内になる場合、その相続人の方の住所地を所轄する税務署に提出することになります。

上記の例で言えば、宇都宮税務署や足利税務署に提出することになります。

相続人の方の住所地も日本国内にないケース

みーんな外国に住所があるケースですね。

この場合には、相続人の方が自分で提出する税務署を決めることになります。

さらに、相続税の申告をしないでいると、国税庁長官がどの税務署に提出するかを指定することになっています。

相続税の申告はいつまでにやらなければならないの?

今回の結論
★原則は10ヶ月以内ですが、それよりも短くなる場合もあれば、長くなる場合もあります。


相続税の申告をしなければならない場合、いつまでにしなければならないのでしょうか?

原則は10ヶ月以内

通常は、お亡くなりになってから10ヶ月以内、ということになっています。

厳密に言うと、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

通常は、お亡くなりになった日に、相続人の方はすぐご存知になられますので、10ヶ月以内とお考えいただければ、と思います。

この10ヶ月以内、具体的な日にちでご説明すると、

2月4日にお亡くなりになった場合
→12月4日が申告期限となります。

死亡日から見て10か月後の応当日(同じ日)ということですね。

4月30日にお亡くなりになった場合
→翌年の2月28日になります。

また、そのように計算した応当日が休日だった場合、平日に延長されますので、例えばその2月28日が日曜日だった場合、その翌日の3月1日が申告期限となります。   

出国する場合に注意!

相続税の申告をすべき方が、申告期限までに日本に住所及び居所を有しないこととなるとき(出国するとき)は、その出国の日が申告書の提出期限となります。

「そんなの無理!」という場合には、「納税管理人届出書」というものを、出国の日までに提出すれば、原則の「10ヶ月以内」が適用されます。

例外的な取扱いも有ります!

「どうやっても10ヶ月以内に申告書を提出できない!」ということもあります。

下記に該当する場合には、申告期限が特例的に延長されることがあります。

①災害その他やむを得ない理由が生じたとき
②認知や相続人の排除等により、相続人が変わったとき
③遺留分の減殺請求があったとき
④遺言書が発見されたり、遺贈の放棄があったとき
⑤財産の帰属に関する訴えについての判決があったとき
⑥相続人の失踪宣告があったとき
⑦胎児がいるとき、又は胎児が生まれたとき
⑧死亡退職手当金が確定したとき 等

①については、税務署長等の職権により延長されることもありますが、基本的には、延長するためには相続人等の申請が必要です。

配偶者の特典を受ける場合にも相続税の申告が必要!

今回の結論
★目の前の税金を安くすることも大事ですが、次の相続(二次相続)のことも考えましょう!

相続税0でも申告が必要なのは「小規模宅地等の特例」だけじゃない!

自宅敷地などを安く評価できる「小規模宅地等の特例」は、それを適用する場合には、たとえ適用したことにより相続税が0になったとしても、相続税の申告が必要です。同じように、相続税が出なくても、それを適用した場合には相続税の申告が必要なものとして代表的な特例があります。

それは、「配偶者の税額の軽減」です。

この「配偶者の税額の軽減」、メチャクチャな節税効果があるんです。

「配偶者の税額の軽減」は、最強の超大型非課税特例!

なんと、
①法定相続分まで非課税
②1億6,000万円まで非課税

なんです。

例えば、旦那様がお亡くなりになり、相続財産の合計額が2億円で、相続人が奥様と子供の場合の例で見てみます。

この場合、奥様の法定相続分は1/2となりますので、①を適用すると、

2億円×1/2=1億円までが非課税となります。

つまり、奥様が1億2,000万円の財産を相続した場合、1億円を超える2,000万円部分の相続税を納めればよい、ということになります。

でも、実際はもっと相続税の金額が下がります。

②があるからです。

1億6,000万円までは非課税ですから、奥様が相続したのが1億2,000万円であれば、全く相続税を支払わなくてもいい、ということになります。

この①②は、どちらか大きい方の数字を使っていい、ということになっています。

ですから、相続人の構成がどうであれ、配偶者が相続する場合には、1億6,000万円までは相続税がかからない、ということになります。

配偶者の税額の軽減を適用する場合には、二次相続に注意!

だからといって、「1億6,000万円部分まで相続税を課税しないなんて、なんて素晴らしいことでしょう!」と感動していてはいけません。

なぜなら、この規定の適用して、配偶者が多額の相続財産を相続した場合、その配偶者がお亡くなりになった時には、たくさん相続した分、たくさんの相続税が課税されるからです。

ですから、この特例の適用を受ける場合には、税金が0でも申告が必要、ということに加え、次の相続(二次相続)が大変にならないか、の検討も重要だ、ということですね。

具体的には、その配偶者が相続財産以外に、どれだけ財産を持っているか、ということです。

相続税の税率は、財産の金額が大きければ大きいほど税率も高くなる、超過累進税率を採用しています。

相続税がかかっても、今回の相続で子供がもらっておいた方が、トータルの税金が安くなる、といこともありますから、ご注意を。

広い土地は安く評価できる!

今回の結論
★土地もあまりに広過ぎると、使い勝手が悪くなり価値(単価)が下がるため、それを評価に織り込みます。


あなたが土地を相続するとします。

財産は多いほどいいと、普通は思います。

土地を持っているのであれば、広ければ広いほど、例えば売ろうとしたときに、高く売れるんだから、価値がある、と考えます。

しかし、実際はそうではありません。

正方形の80坪の土地を10ヶ所持っているのと、正方形の800坪の土地を1ヶ所持っている場合、その財産の価値は同じでしょうか?

80坪の土地であれば、そのまま住宅を建てるための土地として、売ることができるでしょう。

しかし、800坪の土地は、800坪×3.3㎡=2,640㎡です、こんな広い土地を買って、家を建てようとする人は皆無でしょうね。

また、工場の敷地として使いたい、というような理由で欲しい、という人が現れても、広い面積を買うんだから、負けてよ、と言われます。

分譲地ベースの単価で買ってくれることは、まずないでしょう。

ですから、このような土地の場合、土地をいくつかに分けて(「分筆」と言います)、それぞれの土地を、別々の方に売るのが、一番合理的(高く売れる)です。

ところが、800坪の正方形の土地です。

この土地を、単純に10等分したら、家を建てられるでしょうか?

家を建てるための土地です。

道に面するように分筆しなければなりません。

すべての土地が道に面するように。

それが難しい場合には、土地の中に道を作るしかありません。

つまり、広すぎることにより、宅地にできない部分(道に供しなければならない土地)が生じてしまいます

住宅地として整備するために土地を分筆する場合、面積が広いと、自治体の許可が必要です。

その際に、一定の面積の公園や緑地、広場を設置することが義務付けられます

そうなってくると、さらに宅地にできる面積が減ることになります。

このように、広い土地については、1㎡当たりの財産価値が下がる傾向にあります。

ところが、相続財産として土地を評価する場合、例えば、路線価方式であれば、
路線価×面積
で計算しますので、土地が広ければ広いほど単純にどんどん高くなってしまいます。

これでは、広い土地を持っている人がかわいそうですよね。

そこで、広過ぎる土地については、安く評価する方法が用意されています

それが「地積規模の大きな宅地の評価」です。

「地積規模の大きな宅地の評価」の検討を忘れずに!

伯母さんから相続時精算課税制度で財産の贈与を受けられるか?!

今回の結論
★「推定相続人」に該当しても、「直系卑属」(子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族、養子を含む)に該当しなければ、相続時精算課税制度は適用できません!


タイトルのようなご相談がありました。

A様のお父様が既にお亡くなりになっているんですが、そのお父様のお姉様(A様から見れば伯母様)から、財産の贈与を受けたい、それも、相続時精算課税制度を使って、贈与税の課税を受けずに。

「ん?『伯母さん』からの贈与じゃ、相続時精算課税制度の要件を満たさないんじゃないの?財産をあげる人は、60歳以上の「父母」又は「祖父母」に限定されているから。」

そうです。

『伯母さん』は「父母」でもなく、「祖父母」でもありません。

普通は「適用できない」って考えますよね。

でも、専門書に、こんな風に書かれているんです。

相続時精算課税制度の受贈者(財産をもらう人)の要件…「あげた人の推定相続人及びひ孫のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者」

推定相続人…その贈与をした日現在において、その贈与をした者の最先順位の相続権(代襲相続権を含みます)を有する者をいう

今回の事例の場合、伯母様には旦那さん及びお子様がいらっしゃいません。

もし、伯母様に万が一のことがあったら、相続人の第一順位であるお子様がいないので、第二順位である父母や祖父母(直系尊属)が相続人になれるのですが、これらの方も既に死亡されています。

そうなると、相続人は第三順位の兄弟姉妹になります。

今回の事例で言えば、A様のお父様は、この第三順位の「弟」になります。

その上で、このA様のお父様がお亡くなりになっているので、A様が代わりの相続人(代襲相続人)となります。

上記の引用部分を読むと、何だか要件を満たしているような感じがしませんか?

結論を言うと、できません。

相続税法第21条の9(相続時精算課税の選択)の出だしがこうなっています。

贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において20歳以上であるものに限る)

なぜ専門書には、このカッコ書きがなかったんでしょうね?

相続税の申告の際に気を付けたい「亡くなった後に気付いた相続人名義の預金」の取扱い

今回の結論
★財産の所有者=財産の名義人ではない!
★贈与により所有権が移転するためには、双方の意思が必要!知らない間に所有権は移転しない!

相続税の申告の前に知って欲しい「贈与」の話

税理士として、相続税の申告のために、お客様のところにお伺いすると、例えば、お父様が亡くなって、奥様やお子様たちが、相続税の申告が必要か確認しようと、お父様の財産を調べてみたら、自分たち相続人名義の預金が出てきた、なんていうお話を聞くことがあります。

「自分たちのためにお金を積んでおいてくれたんだなあ」という感謝の気持ちが出てくるでしょう。

でも、これは一番危険なパターンです。

相続人が知らない間に、相続人に贈与する、ということは、できないのです。

「贈与」は、まず、あげる人が、「財産をあげますよ(贈与しますよ)」と伝え、もらう人が、「財産をもらいますよ(贈与を受けますよ)」と伝えることにより、成立します。

ですから、「内緒で贈与する」ということはあり得ないのです(内緒にするのは、生きているうちにあげることにより、無駄遣いされてしまうことを避けたい、という配慮もあるのでしょうが)。

「いや、あげる方が『あげる』って言ってるんだから、それでいいんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それで贈与が成立してしまうとすると、例えば、もらう方が欲しくないようなものでも、あげる方が「あげる」と言えば、その財産をもらう人に押し付けることができちゃいますからね。

そんなの嫌でしょ。

相続税の申告する前に気を付けたい税務調査の想定問答

最初の話の相続人の名義の預金の件ですが、相続税の税務調査があれば、下記の点について指摘されます。

①口座を開設する際の書類の記載(筆跡)はお父様ではないか?
②その時に使った印鑑は、お父様が持っているものと同じものではないか?
③預金があることを相続人が生前に知っていたか?いつ、どのように知ったか?
④通帳は誰が保管していたのか?

相続人の知らないところでお父様が全部やっている、ということであれば、これは、お父様の財産です。

例え、暦年贈与の非課税枠である年間110万円以内で、毎年お金を移転していたとしても、贈与が成立しなければ、そのお金はお父様のもの、ということになり、相続税が課税されます。

もし、相続税を節税するために、生前に預金の贈与をするのであれば、きちんと贈与の証拠を残すことが必要です。

贈与契約書を作成するのも一法です。契約書がないと、絶対に贈与が認められない、という訳ではありませんけどね。

相続税の申告と税務調査対策としての「確定日付」

また、契約書があっても、「それは後から作ったのでは?」と言われる可能性もあります。

そこで、公証役場で「確定日付」を付けてもらう方法もあります。

日付の入った判子を公証人に押してもらうことにより、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。

「贈与を成立させる」という意識が大切です。

生命保険が相続対策・相続税対策になる理由とは?

今回の結論
★生命保険金は「取得者」が決められます!
★生命保険金には「非課税枠」があります!

生命保険って、「相続対策」にもなるし、「相続税対策」にもなるんです

まず、「相続」対策の方ですが、生命保険金が他の相続財産と決定的に違う点っていうのは、受取人を指定することができるっていうこと。

例えば、お父さんが自宅の土地を長男に引き継がせたい、と思ったら、遺言を書かなければならないんだけど、生命保険金については、生前に契約した時点で、受取人を長男にしておけばいいだけ。

さらに、長男が相続放棄をした場合であっても、その生命保険金は長男が受け取れます。

生命保険金って、「みなし相続財産」と言って、普通の財産と扱いが違うんですよね。

次に、「相続税」対策ですが、生命保険金には、非課税枠があるんです。

この非課税枠は、相続人の数によって変わってきます。

「500万円×法定相続人の数」で計算します。

ですから、相続人が3人の場合、「500万円×3人=1,500万円」までが非課税です。

相続税対策としては、この1,500万円の枠を使い切ることをまず考えましょう。

相続人の手元に、1,500万円の現金が入る。

それが、生命保険金として入った場合には、全額非課税。

預金を解約して入った場合には、全額課税(預金の非課税枠なんてないですからね)。

手元に1,500万円の預金があり、生命保険には全く入っていない、という場合、一時払終身保険などにより、預金を生命保険金に変身させましょう。

相続放棄した場合には、税負担増に注意!

生命保険金については、相続放棄してももらえる、と言いましたが、生命保険金の非課税金額の適用を受けることはできません。

でも、法定相続人であることには変わりありませんから、非課税金額を計算する上での人数にはカウントされます。

「500万円×3人=1,500万円」はそのままに、自分がもらった生命保険金については非課税枠が使えない→他の相続人が使うということになります。

ですから、相続放棄をすると、しなかった場合に比べ、非課税枠が使えない分、相続税がかかりやすくなる、という側面があります。

放棄をした方が相続税がかかるっていうのも、何だか変な感じがしますけどね!

はあ?相続時精算課税制度で相続税対策ですって?!

「相続税対策しようかな」っていうと、「相続が起きる前に財産を動かしてしまえ!」ということで、みんな贈与を考えるんですね。

でも、税務署も甘くないから、贈与にも税金(贈与税)をかける訳ですよね。

それも、相続税よりも税負担率が高い仕組みになっています。

相続税の場合には、税金がかからない非課税枠(相続税の基礎控除額)が
3,000万円+600万円×法定相続人の数
ありますから、例えば、法定相続人の数が3人であれば、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
となり、4,800万円を超えた部分に、税率を乗じていきます。

それに対して、通常の贈与税の非課税枠は、何と1年当たり110万円

これはもらった人ベースです。

例えば、父親と母親から贈与を受けたとしても、110万円×2人=220万円の非課税枠となる訳ではなく、何人から財産をもらおうが、受け取る人ベースで110万円です。

ちなみに、贈与により、相続が起きる前に早く財産を減らしたい人は、受け取る人を増やせばいいんですね。

贈与税がかからない範囲で贈与をしたい場合、非課税枠は110万円ですが、これはもらった人ベースですから、もらう人が増えれば増えるほど、財産を早く移転できるということになる。

非課税の範囲で長男にだけ贈与するとなると110万円までですが、次男にも贈与すれば+110万円で220万円となる。

でも、財産を減らせれば、誰にあげてもいいという訳じゃないですよね。

「相続税の課税を受けながら相続で渡すのが嫌だから、贈与税がかからない範囲で贈与で渡したい」ということで、当然、自分の家族、子や孫に限定されることになります。

子供の配偶者(夫や妻)に渡す、というのはいいですよね。

財布が一緒みたいなところがありますから。

だからといって、非課税枠も1人分になっちゃうという事もなく、子供夫婦で110万円×2人=220万円でOKです。

とはいっても、「あげる人もそんな多くいないなあ、非課税枠の範囲で贈与をしていると、財産を減らすのに何年もかかるなあ」とある人が悩んでいたら、相続時精算課税制度というものがあるのを知りました。

「2,500万円までは贈与税がかからない」だって?!よしっ!やるぞ!ということで、相続時精算課税制度を適用するのは正しいと思いますか?

答えは「ブーッ(不正解)」です。

相続時精算課税制度により贈与した財産は、贈与税は課税されませんが、相続税が課税されます。

だから「相続時精算」っていうんです。

贈与しても相続対象から除かれません。

はっきり言います。

単純に贈与しただけでは、相続時精算課税制度は、相続「税」の対策にはなりません。

申告すべき預貯金は亡くなった方名義の口座だけではない!

メモ魔税理士のメモ
相続財産=その亡くなった方の「名義」の財産、ではありません。亡くなった方がお子さんやお孫さんの名義で「積んであげた」預貯金や、奥様が旦那さんの預金を引き出して開設した自分名義の預貯金などは、形式的には亡くなった方の財産ではなくても、相続財産に該当する可能性が大いにあります。


亡くなってから、申し訳なかったと思うこととは?!

病気になり、そしてお亡くなりになったというケースの場合、ご遺族は「生前にあの方に会っておいてもらえばよかったなあ」と後悔することがあります。

特に、亡くなった旨の連絡をする際に、「申し訳ないことをしたなあ」という気持ちが強まります。

病気の治療をしている時に、「お見舞いに行きたいのですが」と言われても、「このような弱っている姿を見られたくないなあ」とか、「もうちょっと良くなってから来ていただいた方がいいなあ」と思ったり、また、実際に体調が悪く応対に自信がないため、お申し出をお断りしてしまうこともあるかもしれません。

また、お申し出がなくても、「これだけ今まで親しくしていただいているのだから、お声がけして、生前に会っておいていただいた方がいい」という方もいらっしゃるかもしれません。

本当に無理な場合を除いては、生前にこれらの方に会っておくことをお勧めします。

後で強く後悔しないためには。

後悔するのは、お亡くなりになった後だけではありません。

症状がどんどん悪くなると、さらに会わせづらくなります。

「最初にお声がけいただいた時に会っていただいておけばよかったなあ」と後悔してしまうのです。

ですから、お見舞いはできるだけお受けするようにしましょう。

ご足労いただくことに、申し訳ないと思う気持ちは分かりますが。

もし、体力的に自信がないのであれば、その旨を率直に伝えて、何分ぐらいにして欲しい、とあらかじめ言っておくようにしましょう。

お亡くなりになってからでは、話ができませんからね。

亡くなった後、遺族が最初に目にする書類とは?!

人がなくなると、短期間にいろいろな手続きをしなければならない、と言われます。

手続きをするということは、書類のやり取りがある、ということですよね。

ご家族がお亡くなりになり、ご遺族が最初に目にすることになるのが、「死亡診断書」です。

医師がお亡くなりになったことを確認して、死亡の原因などを記載し、署名(又は記名)と押印をしてくれます。

この死亡診断書に遺族の方が何か記載する、ということはありません。

死亡診断書は、A3用紙に「死亡届」と並んで印刷されています。

この死亡届を記載して、それと一緒に火葬許可申請書を市区町村に提出し、火葬許可証を受取り、火葬場に火葬許可証を提出し、火葬後、埋葬許可証を受取り……、という流れになるのですが、実際のところは、これらの手続きのすべてを葬儀会社でやってくれます。

ですから、遺族がこれらの手続きを行う必要はありません。

一点だけご注意いただきたいのは、その後の手続きで、死亡診断書のコピーが必要になる場合がある、ということです。

具体的には、お亡くなりになった方が年金を受給していて、遺族厚生年金が発生するような場合には、死亡診断書のコピーの提出が求められます。

また、金融機関での手続きの際、提出を求められる場合もあるようです。
郵便局から「死亡診断書の写し」を持ってくるように言われました。(鹿児島地方法務局)

ただし、この死亡診断書のコピーも、葬儀会社の方がやってくれます(もしかしたら、やってくれない会社もあるかもしれません)。

仮に、ご遺族も、葬儀会社の方も、死亡診断書のコピーを撮るのを忘れてしまったとしても、ご安心を。

市区町村(一定期間を経過すると法務局)で、死亡診断書のコピーの代わりとなる「死亡届の記載事項証明書」を発行してもらえます。

子と配偶者が相続人である場合の法定相続分は?

メモ魔税理士のメモ
子と配偶者が相続人である場合の各相続人の法定相続分は、
①配偶者が1/2
②子全体で1/2、それを子の人数で等分に分けたもの
となる。
「子」であれば、法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子も、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子も、同等の法定相続分(平成25年最高裁)。


最高裁判所は平成25年9月4日、嫡出でない子(婚外子)の相続分を嫡出子(婚内子)の相続分の1/2とする旧民法の規定について、法の下の平等を定める憲法に違反していたとの決定をし、同年12月5日に、民法の一部を改正する法律が成立しました。

配偶者と直系尊属が相続人である場合の法定相続分は?

メモ魔税理士のメモ
配偶者と直系尊属が相続人である場合の各相続人の法定相続分は、
①配偶者が2/3
②直系尊属全体で1/3、それを直系尊属の人数で等分に分けたもの
となる。
「直系尊属」であれば、実父母も、養父母も、同等の法定相続分。


例えば、実父が死亡していて、実母・養父・養母がいる場合には、直系尊属全体の法定相続分1/3を3人で等分に分けるので、各親御さんの法定相続分は「1/3×1/3=1/9」となります。
実親側と養親側で1/2ずつ、という考え方はありません。

配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合の法定相続分は?

メモ魔税理士のメモ
配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合の各相続人の法定相続分は、
①配偶者が3/4
②兄弟姉妹全体で1/4、それを兄弟姉妹で分けるが、その際、亡くなった方と、父母の一方のみが同じ(半血)兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方を同じくする(全血)兄弟姉妹の法定相続分の1/2
となる。


亡くなったAさんはBさんと二人兄弟。
AさんとBさんはお父さんの再婚の子で、お父さんと初婚の奥様との間に子Cさんがいる。

この場合、BさんとCさんの法定相続分は、
B 1/4×2/(2+1)=1/6
C 1/4×1/(2+1)=1/12
となります。

もし、お父さんと初婚の奥様との間に子Cさんと子Dさんがいる場合には、
B 1/4×2/(2+1+1)=1/8
C 1/4×1/(2+1+1)=1/16
D 1/4×1/(2+1+1)=1/16
となります。

半血兄弟姉妹と似ていて、取扱いが異なるのが、養父母を介した兄弟姉妹です。
亡くなったAさんがEさんFさん夫婦の養子になっている場合、EさんFさん夫婦の実子(実際の子)Gさんと、Bさんの法定相続分は、
B 1/4×1/(1+1)=1/8
G 1/4×1/(1+1)=1/8
となります。
差は付きません。

これとちょっと似ていて取扱いが異なるのが、(実父母ではなく)実母に養子Hさんがいる場合です。
この場合、BさんとHさんの法定相続分は、
B 1/4×2/(2+1)=1/6
H 1/4×1/(2+1)=1/12
となります。
養子Hさんは、実父母の養子ではなく、実母のみの養子なので、半血兄弟姉妹扱いです。

子供が死んだので孫を養子にしている場合の法定相続分に注意!

メモ魔税理士のメモ
身分関係が2人分ある場合には、法定相続分も2人分。
子供が死んだので、その孫を養子にした場合、その孫は、「子の代襲相続人」としての立場と、「養子」としての立場を有する。
その孫の法定相続分は、「子の代襲相続人」としての法定相続分+「養子」としての法定相続分。


こんな場合には、こんな割合(相続分)になります

○亡くなったAさんには、奥さんと長男Bさん・次男Cさんがいた
○長男Bさんが亡くなってしまったので、その一人息子の(Aさんから見た孫の)Dさんを養子にしていた
と仮定すると、各相続人の法定相続分は、
奥さん 1/2
Cさん 1/2×1/(1+1+1)=1/6
Dさん 1/2×1/(1+1+1)+1/2×1/(1+1+1)=1/3
となります。

1人で2人分の財産の相続!

Dさんは、通常(と言ったらヘンかもしれませんが)の子供である次男Cさんよりも、法定相続分が多くなってしまう、次男Cさんの2倍の法定相続分になるということです。

AさんがDさんを養子にした時には、そこまで考えていないでしょうね。

非課税枠内の生前贈与

メモ魔税理士のメモ
「生前贈与を実行する場合には、非課税枠の110万円にこだわらない方がよい」のだが、贈与税の申告をするのが面倒くさいし、贈与税を払うのはやっぱり嫌だ、という人は、「贈与回数(実際上は年数)」と「もらう人の人数」を増やすことを考えること。早めの贈与着手が肝心。


更地を避ける

メモ魔税理士のメモ
土地は、更地だと評価額が高いまま。土地を貸して建物を建ててもらったり(貸地)、建物を建てて貸したり(貸家建付地)、自宅を建てたり自分の事業又は同族会社の事業の建物を建てたり(小規模宅地等の特例による特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等)、とその上に建物がある状態にもっていく。ただ土地を貸して更地のままになっているのではダメ。原っぱの状態のままで、駐車場として貸しても、評価額は下がらない。また、貸す場合には、地代をきちんともらうこと。もらわないと、貸していないのと同じ取扱いになってしまう。


物納や延納

メモ魔税理士のメモ
相続税を現金一括納付できない場合、物納(物で納付)や延納(分割払いで納付)で納付する。この場合、「金銭納付を困難とする理由書」により、現金一括納付ができないことを税務署に説明する必要がある。現金一括納付できそうにない場合には、生前にこの書類を書いて試算してみる。


養子縁組

メモ魔税理士のメモ
相続税の計算上、「基礎控除額」「生命保険金の非課税枠」「死亡退職金の非課税枠」「相続税の総額」は、法定相続人の数が多い方が有利(相続税が少なくなる)。養子縁組することにより法定相続人の数を増やすことができるが、カウントできる人数には制限がある。お亡くなりになった方に実の子供がいる場合→1人まで
お亡くなりになった方に実の子供がいない場合→2人まで
ただし、お亡くなりになった方との特別養子縁組により養子となっている人や、お亡くなりになった方の配偶者の実の子供で養子となっている人は、全員カウントされる。


死亡退職金と生命保険

メモ魔税理士のメモ
同族会社からの死亡退職金は、非課税枠の有効活用や、純資産価額方式における株価の引き下げ効果もあるが、納税資金対策としても有効。ただし、会社に資金がない場合には、計画的に準備する必要がある。そのために、会社で生命保険に加入するのがオーソドックスな手法。


土地分割

メモ魔税理士のメモ
南と東の2本の道路に面する路線価地域の土地を東西に分割、北側の土地は南の道路の路線価の影響を受けなくなり評価額が下がる。ただし土地を分割しても、その分割が不合理であると認められる場合や、利用状況によっては、全体を1つの土地として評価しなければならない場合があるので注意。


同族会社賃貸

メモ魔税理士のメモ
自分の土地の上に建物を建てて同族会社に貸すと、アパート建築による相続税対策以上の効果がある。それぞれの貸家建付地に対する小規模宅地等の特例は、アパートが200㎡まで50%の減額なのに対し、同族会社であれば400㎡まで80%の減額になる。


生前売却

メモ魔税理士のメモ
相続税の土地の評価方法は画一的。簡略化すると、倍率地域なら「固定資産税評価額×倍率」、路線価地域なら「路線価×面積」。実際にその評価額=値段で売れるかというと、売れない場合がほとんど。でも、相続税はその評価額を基準に課税。本当に使わないのであれば、生前に売却するのも手。


自社株買い取り

メモ魔税理士のメモ
非上場会社の株式は、過去の利益の蓄積が多かったりすると、予想以上の高い相続税評価額になることがある。相続税が心配な場合には、会社が資金調達しておけば、相続の際には、会社がその株式(自社株)を買い取ることにより、相続人に納税資金を売却代金として渡すことができる。


役員報酬

メモ魔税理士のメモ
後継者の相続税の納税が心配な場合には、後継者の役員報酬を高めに設定し、相続税の納税資金を貯金しておいてもらうのも手。給与としてのお金の移転になると、源泉所得税などが課税され、手取りはその分減ってしまう点に注意。ただし、高過ぎる役員報酬は経費にならない場合があるので注意。


弔慰金

メモ魔税理士のメモ
死亡退職金については「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある。相続人が3人なら、500万円×3人=1,500万円が非課税。死亡退職時の非課税枠は、これだけではない。「弔慰金」というものがある。弔慰金は、業務上以外の死亡であれば、死亡当時の普通給与の半年分が非課税。


相続税対策として使える小規模企業共済!

相続税における非課税枠

相続税は、正味財産の合計額が基礎控除額以下であればかからない、つまり、基礎控除額は相続税の非課税枠としての意味合いを持っている。

生命保険金の非課税枠

生命保険金の非課税枠は比較的使いやすい。非課税枠は500万円×法定相続人の数。
相続人が2人なら500万円×2人=1,000万円。
現金1,000万円があり、それで一時払終身保険に入り、死亡時に1,000万円の生命保険金を受け取った場合について考えてみる。

現金が1,000万円減って、現金の代わりに生命保険金が相続人(受取人)に振り込まれる。△1,000万円+1,000万円=(相続財産を減らす効果)0円ではない。非課税枠内のため+1,000万円はカウントされないので、相続財産を1,000万円減らす効果がある。

死亡退職金の非課税枠

死亡退職金についても同じ効果がある。相続人が受け取った時に非課税枠内であれば相続財産としてカウントされない。一般的には、死亡退職金をもらうには、会社の役員や従業員でなければならない。個人事業者は退職金をもらえない。自分が自分に退職金を払うのはおかしいから。

そうなると、相続税対策として、会社を設立しなければ死亡退職金の非課税枠の恩恵が受けられないのか、というと、実は違う。小規模企業共済制度を使えば、個人事業者でも「死亡退職金」を受け取ることができる。小規模企業共済は、自営業者等のための退職金積立制度。

所得税におけるメリット

毎月千円から7万円の範囲で共済掛金を支払う。
この支払った共済掛金は、確定申告で全額経費になる(所得控除)。年間70,000円×12ヶ月=84万円支払った場合、全額経費になるので、実効税率50%の人であれば84万円×50%=42万円の節税効果がある。

受け取った時に非課税枠内であれば相続税がかからないのは生命保険金と同じであるが、それに加えて、共済掛金を支払った時の全額経費による所得税の「節税効果」がある。財産を相続税の対象から除外するだけではなく、節税分だけ現金が新たに増えるという嬉しい効果がある。

できることなら、お通夜と告別式は急がない!

ご家族がお亡くなり、お通夜・告別式の日程を決める際、その経験がないご遺族は、結構タイトな日程を組んでしまいがちです。

実際には、お通夜・告別式までにやるべきことは結構多く、また、それらのこともなかなか思い通りに進まない、という場合があります。

亡くなった旨の連絡

親族や、友人、仕事関係の方に連絡をします。

メールで一斉送信する訳にはいかないですからね。

当然、1人1人電話をすることになります。

仕事の電話なら、要件を言ってすぐに話が終わるのですが、内容が内容だけに、そんな簡単には話が終わりません。

電話を受けた方も、どうしてなくなったのか尋ねてこられますし、お悔みの言葉をかけてくださいます。

きちんとご説明する必要がありますし、そうすぐには電話は切れません。

なかなか連絡がつかない場合もあります。

その際、留守番電話に内容を入れる、というのもなかなかできないですよね。

思った以上に時間がかかります。

新聞のお悔み欄への掲載

メールで一斉送信することはできませんが、新聞のお悔み欄で多くの方にお伝えすることはできます。

葬儀会社の方が手続きしてくれ、確認の電話が直接ご遺族のもとに来ます。

もちろん、載せないこともできます。

新聞のお悔み欄をチェックしている人は、結構います。

亡くなったことを連絡しなくても、新聞を見て弔問に駆けつけてくださる方もいます。

お悔み欄への掲載は重要です。

仮に、今日お亡くなりになって、明日、お通夜という日程の場合、お通夜当日に新聞でお亡くなりになった事実を知ったのでは、お通夜に行きたくても行けない、ということが起こってしまいます。

ある程度、余裕を持って掲載したいものです。

お寺での戒名についての相談

お通夜・告別式のアポが取れても、それだけではご住職は来てくれません。

戒名の書かれた仮位牌を持参するからです。

戒名を決めなければなりません。

具体的には、お亡くなりになった方が生前どのような方だったのか、ご遺族としてどんな戒名を希望するのか、などを聞いて、戒名を付けてくれます。

ですから一度、お寺まで行って、そのような相談をしてこなければなりません。

弔問客の応対

亡くなった旨の連絡を受けて、または、新聞のお悔み欄を見て、自宅に弔問に訪れる方もいらっしゃいます。

遠方から来られた方、久しぶりに会った方は、話も膨らみ、応対にそれ相当の時間がかかります。

1人の弔問客と半日お話する、ということも普通にあります。

葬儀会社との打ち合わせ

葬儀の内容について、具体的に決めていく必要があります。

祭壇や食事、お返しなど、決めることがいっぱいあります。

葬儀会社の方が自宅に来て、カタログ等を見ながら、お通夜・告別式にお見えになる方の人数を予想して注文します。

とはいうものの、お通夜・告別式の日程は、「斎場」「火葬場」「ご住職」の都合によりますので、やむを得ず、早めの日程になることもあるかもしれません。

その際にも、できるだけ余裕を持って日程を組まれることをお勧めします。

いろいろな事情があるかもしれませんが、故人とできるだけ長くご自宅で一緒にいてあげたいですよね。

また、日程に余裕を持つと、それだけご遺体に無理が生じます。

日程を遅らせれば、それだけドライアイスの料金が追加になります。

ドライアイスだけでなく、冷房の力も借りるようにしましょう。

また、「エンバーミング」という方法もあります。

ドライアイスの追加料金と比較すると、それほど高くない場合もありますので、特に夏場などの場合には、ご検討されることをお勧めします。

葬儀(通夜・告別式)に関する喪主の挨拶の例と注意点

葬儀があった場合、喪主は遺族の代表として、挨拶をする場面がいくつかあります。

その挨拶の例文をご紹介します。

ご紹介する例文は、仏式を前提としています。

他に、神式やキリスト教式、無宗教などの場合もあります。

文章は凝ったものではなく、必要最小限のものとなっています。

故人との思い出などを盛り込むと、いい挨拶になるのは間違いありませんので、追加していただけたら、と思います。

ただし、人前で話すのが苦手な方は、いろいろ盛り込むと、全体としてのまとまりがなくなってしまったり、挨拶が長くなってしまい、特に暗記してしゃべる場合には、難易度が高くなってしまいますので、ご注意ください。

例文は、たくさん「、」で区切られています。

挨拶の時には緊張してしまい、早口になってしまいがちですので、練習の時から、1つ1つ区切って、ゆっくり読むようにしましょう。

ゆっくりでもちゃんと読めれば、印象がかなり良くなります。

人前で話すのに慣れている方は、区切らなくて結構です。

また、①②…と文に番号を付けてあります。「①でお礼の挨拶して、②で…」と流れを意識しながら、練習してください。

なお、ここでいう「挨拶」とは、複数の方を目の前にした儀礼的な挨拶です。

この他にも、相手との1対1の挨拶の場面も出てきますからね。

挨拶する場面としては、
1 お通夜の中での挨拶
2 通夜ぶるまい開始時の挨拶
3 通夜ぶるまい終了時の挨拶
4 告別式の中での挨拶
5 精進落とし開始時の挨拶
6 精進落とし終了時の挨拶
7 告別式の翌日以後の町内会や会社での挨拶
が挙げられます。

暗唱する場合、1・4はご住職の読経の最中に、最後の復習をしておきましょう。

胸ポケットに小さく印刷したカンニングペーパーをしのばせておきます。

2・3の「通夜ぶるまい」は、通夜の後の会食のことです。

5・6の「精進落とし」は、告別式の後の会食のことです。

今回ご紹介する挨拶は、「お通夜」と「通夜ぶるまい」を明確に分けています。

「1 お通夜の中での挨拶」では、「通夜ぶるまい」について触れていません。

触れる挨拶もよくあります。

「別室にお食事のご用意をしましたので、故人の思い出話をお聞かせください」的なフレーズが入ったものです。

ここが難しいところなのですが、通夜ぶるまいの食事は、前もって人数を決めて葬儀会社に注文します。

多少前後してもいいように、オードブル形式にすることが多いでしょう。

通常、親族は通夜ぶるまいに出席すると思います。

この部分は人数の読み違いは起こり得ません。

起こるとすれば、遠い親戚(例えば姻戚等)が気を遣って早く帰る場合です。

減ることはあっても、増えることはあまりありませんから、食事が足りなくなることはありません。

問題は、一般の弔問客です。

「別室にお食事のご用意をしましたので、故人の思い出話をお聞かせください」というような挨拶をした場合、何人出席することになるか予想がつきません。

そもそも、お通夜に来ていただく人数すらまず正確に予想できません。

それでも、通夜ぶるまいに出席していただくのはありがたいことなので、予想が外れても大丈夫なように、多めに、お通夜の出席者全員分の食事を用意する、という方法も有です。

ただし、弔問客側でも、通夜の後に会社に戻らなければならないかもしれませんし、用事があったりして早く帰りたいかもしれない、自分と故人の関係は通夜ぶるまいに出席するほどでもない、と考えていらっしゃる場合もあります。

そういう方々が通夜ぶるまいに立ち寄らずに帰ってしまうと、出席者全員分の食事を用意していた場合、通夜ぶるまいの食事がかなり余ってしまい、空席も目立つ寂しいものとなってしまいます。

ですから、間違いなく通夜に来てくださると思われる方の中から、遺族として「通夜ぶるまいに出席して欲しい、通夜ぶるまいにお誘いしないと無礼に当たると思われる、生前の故人との関係から通夜ぶるまいに出席してくださると予想される」方をリストアップし、その方のお食事を用意する」というのが、現実的な方法かと思われます。

そして、その方達には、「是非、通夜ぶるまいにもお立ち寄りください」と個別にお話をします。

お話をするタイミングは、ご焼香後、又は通夜式終了時に退出される際に、親族が挨拶する時です。

また2・5がない場合もあります。

席に座った方から順番にお食事をお召し上がりいただく、というスタイルの場合です。

3・6も同様で、お食事のお済の方から、又は、お時間が来た方から順に自然に帰っていただく、という場合には、挨拶が不要になる場合があります。

この辺りは、どういった流れ、雰囲気でやるのか、葬儀会社の方に確認しておきましょう。

また、葬儀の時の挨拶ではないのですが、喪主(又は喪主以外の遺族)が、お通夜や告別式に来てくださった団体関係の方の前で、来てくださった事に対するお礼をいう場合があると思います。それが7です。

お通夜の中での挨拶

①本日は、お忙しい中を、○(例「父」)、○○○○(故人の名前)のために、ご参列くださいまして、まことに、ありがとう、ございます。

②○(例「父」)も、このように、皆様方に、お集まりをいただき、大変、喜んでいることと、思います。

③また、生前、賜りました、ご厚情に、故人に代わり、深く、御礼申し上げます。

④○(例「父」)は、○○(「今週」など)○曜日の○○日、○○(亡くなった原因、病名など)のため、○○(亡くなった場所)にて、静かに、息を引き取りました。○○歳でした。

⑤○(例「父」)が、穏やかな、最期を、迎えることができたのも、皆様方からの、温かい、お励ましの、おかげと、存じます。

⑥改めて、感謝、申し上げますとともに、今後共、変わらぬ、ご支援を、賜りますよう、お願い申しあげます。

⑦簡単では、ございますが、わたくしの、御礼のご挨拶と、させて、いただきます。

⑧本日の、ご弔問、まことに、ありがとう、ございました。

※通夜ぶるまいの案内を入れない場合には、⑤⑥で感謝の気持ちをお伝えして、⑦⑧で終わらせるという流れにすると、挨拶が締まります。

お亡くなりになった原因によっては、上記の文章では対応できない場合もあるでしょうが、この流れを意識すれば、挨拶がまとまると思います。

④の亡くなった時の年齢については、満年齢(通常の数え方による年齢)を使ってもいいですし、「享年」を使ってもいいです(「享年、○○歳でした。」)。

この「享年」は、数え方にいくつか方法があります。

お経を唱えていただくご住職に確認しておきましょう。

通常は、戒名を決める相談をする際に、お話が出ると思います。

通夜ぶるまい開始時の挨拶

①本日は、お忙しい中、ご弔問いただき、誠に、ありがとう、ございました。

②ささやかながら、お食事の、ご用意を、させて、いただきました。

③限られた、時間では、ございますが、お召し上がりになりまして、○(例「父」)を、偲んで、いただけたらと、存じます。

④本日は、誠に、ありがとう、ございました。

通夜ぶるまい終了時の挨拶

①本日は、○(例「父」)、○○(故人の名前)のために、足を、お運びいただきまして、誠に、ありがとう、ございました。

②おかげさまで、通夜を、滞りなく、済ませることが、できました。

③お話は、尽きませんが、だいぶ、夜も更けて、まいりましたので、本日は、このあたりで、お開きに、させて、いただきます。

④どうぞ、お気をつけて、お帰り下さい。

⑤改めまして、本日は、誠に、ありがとう、ございました。

告別式の中での挨拶

①遺族を、代表いたしまして、皆様方に、ご挨拶、申し上げます。

②本日は、ご多用中にも、かかわらず、ご会葬、ご焼香たまわり、おかげさまを、もちまして、告別式も、滞りなく、相すみ、これより、出棺の、運びと、なりました。

③故人、生前中は、ひとかたならぬ、ご厚情をたまわり、又、ここに、最後までの、お見送りまで、頂戴、いたしまして、故人も、さぞかし、皆様方の、ご厚情に、感謝いたしていることと、存じます。

④尚、残された遺族に対しましても、今後共、ご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申しあげまして、ご挨拶を、終わらせていただきます。

⑤本日は、誠に、ありがとう、ございました。

精進落とし開始時の挨拶

①本日は、お疲れ様で、ございました。

②おかげさまで、葬儀いっさいを、滞りなく、すませることが、できました。

③心から、厚く、御礼、申し上げます。

④ささやかながら、お食事の、ご用意を、させて、いただきました。

⑤しばし、おくつろぎ、ください。

⑥本日は、誠に、ありがとう、ございました。

精進落とし終了時の挨拶

①本日は、お疲れのところを、最後まで、お付き合いくださいまして、誠に、ありがとう、ございました。

②あまり、お引き留めするのも、かえって、ご迷惑かと、存じますので、そろそろ、お開きと、させて、いただきます。

③本日は、誠に、ありがとう、ございました。

告別式の翌日以後の町内会や会社での挨拶

①○○(例「おはようございます」)。

②先日は、○(例「父」)の通夜並びに告別式にご弔問、ご会葬いただき、また、ご丁寧なお心遣いを賜りまして、誠にありがとうございました。

③おかげさまをもちまして、葬儀一切を、滞りなく、済ませることが、できました。

④改めて、感謝、申し上げます。誠に、ありがとう、ございました。

葬儀会社の友の会に入会する本当のメリット

家族がお亡くなりになり、遺族が葬儀会社に初めて連絡をして、そこで初めて会った担当者の人に葬儀をお願いするとなると、まずその人とうまくコミュニケーションをとる努力が必要になります。

その担当者がどんな人なのかを探りながら。

先日のテレビ番組でもやっていましたが、人と初めて会う場合には、相手がどんな人であろうと、自律神経が乱れます。

葬儀を行うこと自体が初めてだというのに、これは大変なプレッシャーになります。

「それは家を買うときとかだって同じでしょ」とおっしゃるかもしれません。

でも、付き合う時間が全く違います。

家を買う場合には、数日のうちに決めるということはないでしょうし、家自体も数日のうちには建ちません。

途中で変更や追加の工事をすることも可能です。

それに対して、葬儀は数日のうちに様々なことを決めなければなりませんし、葬儀自体が数日のうちに終わります。

ある意味、やり直し(変更)が効きません。

葬儀会社の友の会は、葬儀費用を前もって積み立てることができ、料金の割引を受けられることが入会の特典と考えられているかもしれませんが、最も大きなポイントは、自分の家の葬儀を担当してもらう人をあらかじめ決めておき、その人とコミュニケーションを取っておけることです。

ですから、お亡くなりになる前から、ふらっと寄って立ち話ができるくらいの関係になっておくことをお勧めします。

話す内容はどうでもいいのです。

気軽に話ができる「旧知の間柄」になっておくことが大事なのです。

そのような努力は、決して縁起が悪いことでも何でもありません。

葬儀は短期決戦です。

そこで自分が納得のいく動きができるための、今できる重要な準備です。

ですから、引け目を感じることなく、夫婦二人で葬儀会社を訪れて入会してもいいですし、相続が近いと思ったら、その方に内緒で家族の方が入会してもいいのです。

いい葬儀をしようと思ったら、前もって葬儀会社の方とコミュニケーションを取れるようにしておかないと、言いたいことも言えないですよ!

保険事故が発生してない生命保険契約に注意!

メモ魔税理士のメモ
お亡くなりになった方がご自分に掛けていた生命保険契約は、被保険者の死亡により保険金が支払われ、相続税の対象となるのは良く分かる

それに対し、お亡くなりになった方がご家族に掛けていた生命保険契約は、被保険者が死亡していないので、保険金は支払われない

それでも、その「生命保険契約」自体が相続税の対象となる

その保険をお亡くなりになった日に仮に解約したとした場合に受け取ることができる解約返戻金相当額に対し相続税が課税される

保険事故が発生していなくても、換金(解約)してお金になるのであれば、財産的価値があるため

細かい話をすると、前納保険料や剰余金の分配金等を加算し、源泉所得税額を減産した金額で評価


相続税の2割加算の対象者

メモ魔税理士のメモ
相続した方がお亡くなりになった方の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される

別の言い方をすると
①お亡くなりになった方の配偶者、父母、子ではない方(兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった方)
②お亡くなりになった方の養子として相続人となった方で、そのお亡くなりになった方の孫でもある方のうち、代襲相続人にはなっていない方
が2割加算の対象者


生命保険金とともに前納保険料や契約者配当金が支払われた場合

メモ魔税理士のメモ
生命保険金を取得する場合に、前納保険料や契約者配当金が一緒に支払われることがある

これはそもそも生命保険金ではないが、相続税の計算上は生命保険金として考える

生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある

「前納保険料」や「契約者配当金」部分にもこの非課税枠が使える


契約者貸付金が控除されて生命保険金が支払われた場合

メモ魔税理士のメモ
生命保険の契約者は、保険会社から解約返戻金の金額(保険契約の時価)の範囲内でお金を借りることができる

契約者がお亡くなりになって相続人に保険金が支払われる場合、契約者貸付金の金額が控除されて入金となる

相続税の計算上はこの控除後の金額を生命保険金の金額として考える

①控除前の満額の生命保険金(みなし相続財産)

②保険会社からの借入金(債務)
の両建てとして申告してはダメ


団信(団体信用生命保険)なので楽勝、と気を抜いている『あなた』へ!

住宅ローンを組む場合に、団信(団体信用生命保険)というものに入る場合が多いと思います。

これは、ローンを組んだ方が万が一お亡くなりになった場合などに、保険が下りて、ローンを返済してくれる、というものです。

実は、この団信、相続税対策を目的として、借入金でアパートを建築した場合にも、入れる場合があります。

アパート建築による相続税対策は、債務(マイナスの財産)である借入金の金額(残高)が資産(プラスの財産)の評価額を上回り、その超えたマイナス分を他の財産から控除できる点がポイントです(土地の評価額も下がります)。

ところが、団信に入っていると、その保険金で借入金が返済されるため、アパート(及びその敷地)だけが財産として残ることとなります。

結果として、相続税対策により、アパートの敷地になったことにより土地の評価額は若干下がるものの、アパートの評価額(固定資産税評価額×70%)が財産にプラスされるため、逆に相続税が増えるケースがあります。

実際には、借入金を今後返済する必要がなく、無借金のアパートを相続することができるので、資金的には楽になるのですが、相続税は納めなければなりません。

団信に入っているかどうかをきちんと確認し、入っている場合には、納税資金対策をきちんと考えましょう。

今回財産を相続する遠い相続人の『あなた』へ!

①お子さんが相続する場合
②配偶者(夫・妻)が相続する場合
③お子さんがいらっしゃらないため、父母が相続する場合

と違い、

④孫が相続する場合(孫が、亡くなった親の代わりに相続する場合を除きます)
⑤祖父母が相続する場合
⑥兄弟姉妹が相続する場合

には、相続税が2割増しとなります。

「祖父→(相続)→父→(相続)→子」ではなく、
「祖父→<遺言>→子」と父を通り越して財産を移転し、
相続税が2回かかるのを免れても、相続税が2割増しでかかってしまうのです。

①の「お子さん」には、養子の方も含まれます。

「それなら子を祖父の養子にすれば2割増しを回避できる!」と思った方。

そうはうまくいきません。

この場合の「孫養子」も2割増しの対象となりますので、ご注意を。

国税庁HPの「相続税の申告要否判定コーナー」を使ってみたい『あなた』へ!

今年(平成27年)の相続から、相続税の非課税枠(基礎控除額)が縮小されたため、相続税がかかる家が増えるだろうと言われています。新聞やテレビ、雑誌などでも、相続税が取り上げられる機会が増えましたよね。

「我が家は大丈夫だろうか?」と心配している方も多いのではないでしょうか?

そのような国民感情を察知してか、つい先日、国税庁のHPに『相続税の申告要否判定コーナー』というものができました(「国税庁ホームページ」のトップ画面から「相続税の申告要否判定コーナー」バナーをクリック)。

税理士としては、正直「あまりスゴい物を作られると、仕事が減っちゃうよなぁ」という気もするところでして、どんなものだかチェックしてみたくなりました。

チェックしてみて、まずご興味を持たれた方にお伝えしなくては、と思ったのは……。

「相続税の申告が必要かどうか、の大雑把な判断をするためのシステムであり、相続税の金額を計算することは到底できない」ということ。

このシステムは、以下のように計算をしていきます

①基礎控除額(「この金額を下回れば相続税はかかりませんよ」という非課税枠)を計算するための法定相続人を入力

②土地などの財産(プラスの財産)の相続税評価額を大まかに計算する

③お葬式費用の費用や未払医療費など、プラスの財産から引けるもの(マイナスの財産)を大まかに計算する

④上記①②を相殺した後の純額の財産の金額から、基礎控除額を引いて、プラスになるのなら相続税が出るかもしれない、と警告する。

⑤ただし、基礎控除額を引いてプラスになっても、特例を受ければ相続税がかからないかもよ!

という流れです。

あくまでも大まかな計算ですので、相続税がかかる場合にはこれぐらいになります、とまではあえて言わないスタンスです。

財産の評価額が大まかなものだとしても、その大まかな評価額を基に、相続税を計算しようとすればできるんですけどね。

かかるかどうかも大事ですけれども、どれぐらいかかるか(「実際、相続税が払えるのか」)という不安もありますよね。

そこまでの不安解消はしてくれないという訳です。

「とりあえず大雑把に計算してみましょうか」という感覚です。

「相続税がかかるかどうかをどうやって判断すればいいか分からない」というのよりはマシでしょ!という感じです。

このシステムによって、基礎控除額を引いたら大きなマイナスになる、ということであれば、まあとりあえずは一安心かな、というのは言えるでしょう。

まず、細かな計算をしていない(大まかな計算)ので、相続税評価額が高めになります。

土地を例にとると、このシステムでは路線価方式であれば、路線価に面積を掛けるだけとなっています。実際の相続税の計算では、土地の形状等により、「路線価×面積」に各種補正率等を掛けて、「路線価×面積」よりも評価額を引き下げます。

でも、そこまでちゃんと計算しなくても、要は高めの評価額でも基礎控除額を引いたらマイナスになるんだから、ちゃんと計算したらもっとマイナスが大きくなって、さらに相続税がかかる確率が減るはずだ、という考え方です。

これは理解できます。

でも実際には、そもそも「何が相続財産なのか」というところが難しかったりする訳です。

「いやぁ、俺はちゃんと国税庁のシステムで計算して、相続税が出ないって計算できたぜ。ちゃんとそのデータも保存してあるぜ。」(計算結果は保存できるようになっています)と言っても、そもそも計算からもれている財産があれば、相続税の申告は必要なのかもしれません。

ですから、あくまでも大まかな計算でしかないんです。

次に、このシステムで「もれてしまいそうな相続財産」を挙げてみたいと思います。

1つ目は「生命保険契約に関する権利」です。

難しそうな名前ですが、一言で言うと「お亡くなりになった方が、ご家族の方に掛けていた保険」です。

通常、相続財産としての生命保険は、そのお亡くなりになった方が、ご自分にかけていた保険です。

その方がお亡くなりになることにより、相続人の方が生命保険を受取りますよね。

この「生命保険契約に関する権利」は、お亡くなりになった方が「ご家族の方に掛けていた保険」、つまり「被保険者」が「ご家族の方」であり、まだ「被保険者」がお亡くなりになっていませんので、保険金はおりません。

「保険金がおりないのなら、相続税は課税されないんじゃないの?」と思われるかも知れませんが、保険契約には、「保険金を受取る」という側面以外にも「財産性」があるのです。

保険金支払事由が発生しなくても、保険を「解約」することにより、「解約返戻金を受取る」ことができるのです。

この「解約返戻金を受取れる」という「財産性」を評価額として計算します。

どう評価するかというと、簡単です。解約したときに受取ることができる「解約返戻金」の金額を評価額として申告します。

ですから、この「解約返戻金」がいくらになるかを調べなければなりません。

と言っても、何も難しいことはありません。

「この度、保険契約者であるAが死亡したのですが、この生命保険の契約を、Aが死亡した日に解約すると、解約返戻金はいくらもらえますか?」と保険会社に聞けばいいのです。

保険会社(今は、保険を売っているところは保険会社だけではなく、銀行などの金融機関もありますから、これからは「金融機関」と書きます)もこの辺りは分かっているので、「証明書」を発行してくれるところもあります。できればこのような、きちんとした書類で回答をもらいたいところです。

上記のように金融機関に聞くときに注意することがあります。

「仮に解約した場合に」という点をきちんと強調して伝えるということです。

ただ単に「解約返戻金をいくらもらえますか?」と聞くと、「ああ、この方はお金が必要なのだな。それなりに解約返戻金の金額が大きいと、保険を解約されてしまうな」と「警戒」されてしまいます。

証明書の発行もスムーズにいかない可能性が出てきます。

「実際には解約しないのですが、相続税の計算をする上で必要なので教えてください」というスタンスで聞いてください。

この「生命保険契約に関する権利」(ご家族の方に掛けていた保険)ですが、より厳密に言うと、「お亡くなりになった方が保険料を負担していた保険」です。

通常は、「保険の契約者」と「保険料の負担者」は同一人物になるのですが、保険料はお亡くなりになった方が負担してはいるものの、保険の契約者はご家族になっている、という場合もあります。

「相続財産はどれくらいあるかな?とりあえずタンスの中を見てみよう。」と言って保険証券を見つけた時に、保険証券の「保険契約者」「被保険者」の欄にお亡くなりになった方の名前がないからといって、スルーしてはいけないということです。

保険料を負担していたのが誰かが一番重要なのです。

それに比べると、保険契約者が誰かというのはあまり重要ではありません(ただし、保険契約者がお亡くなりになった方かどうかで、保険契約という財産が、「本来の相続財産」に該当するのか、「みなし相続財産」に該当するのかの違いが出てきます。「本来の相続財産」に該当すれば、遺産分割協議の対象になりますが、「みなし相続財産」に該当すれば、遺産分割協議の対象外(保険解約者が受取人)ということになるため、遺産分けという観点からは重要です)。

この生命保険契約に関する権利について、注意していただきたい点がまだあります。

今までのお話は、「保険料負担者が被相続人であるため、相続財産になる」という前提で進んでいます。

それでは、保険料相当額をお亡くなりになった方が、ご家族の方に「贈与」して、その贈与されたお金で「ご家族の方」が保険を契約したらどうなるでしょうか?

この場合、元をたどればお亡くなりになった方からもらったお金とはいえ、「もらって自分のものになったお金」で保険料を支払ってご家族の方が契約した保険であれば、お亡くなりになった方は関係ありませんので、この保険契約は相続財産とはなりません。

ただし、あくまでも「保険料相当額の現金の贈与を受けた」ということが前提となります。

この部分がアヤフヤだと、前半でお話しした「お亡くなりになった方が保険料を負担している『相続財産』となる『生命保険契約に関する権利』」とみなされてしまう可能性がありますので、ご注意ください。

具体的には、贈与の事実をきちんと残すことです。

お金を贈与した側の「お亡くなりになった方」が、その保険契約について、確定申告で生命保険料控除を受けている、などということがないように!

養子縁組による相続税対策の注意点

「相続税の非課税枠」である「相続税の基礎控除額」が、税制改正により平成27年以後引き下げられ、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
となりました。

「相続財産のうち、この金額までは相続税は課税しない」という訳ですから、この金額が多ければ多いだけ、相続税がかかりにくくなるということになります。

上記の算式を見て、「基礎控除額を増やすには、相続人を増やせばいいのか!」と考えて、養子縁組(えんぐみ)(養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」がありますが、以下、「普通養子縁組」に話を限定します)を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれませんが、注意が必要です。

相続税の基礎控除額を計算する場合の法定相続人の数は、下記のように養子の方の人数に制限が設けられています。

〇実子が方がいらっしゃる場合には1人のみカウント
〇実子の方がいらっしゃらない場合には2人のみカウント

5人の方と養子縁組をしたからといって、600万円×5人=3,000万円分だけ基礎控除額が多くなる、ということはないということです。

遺産分けのポイント(相続税評価額と時価の乖離に注意する)

相続税は、「相続税評価額」を基に計算します。

この「相続税評価額」は、あくまでも相続税を課税するために計算されるものであって、その相続財産にそれだけの価値がある、という金額ではないのです。

相続税評価額と時価は同じではありません。

建前上は、時価よりも相続税評価額の方が安いことになっているのですが、例えば土地の場合には、路線価などにより評価した相続税評価額ではなかなか売れないというのが現実でしょう(つまり、「時価」<「相続税評価額」)。

預貯金1,000万円と相続税評価額1,000万円の土地は、それらに対応して払う相続税の金額は同じでも、時価は同じではないのです。

遺産分けをする際には、相続税の負担を考慮する必要があるので相続税の計算の基礎となる相続税評価額をベースに考えがちですが、財産の実際の価値(時価)にも目を向けるようにしましょう。

遺産分けのポイント(相続でもらうのは損か?)

「できるだけたくさん財産を相続したいが、相続すればその分相続税がかかるから大変だ」とおっしゃる方がいます。

確かに遺産の正味の金額が基礎控除額を超えるような相続の場合で、配偶者以外の方が相続した場合には、相続する財産が増えれば増えるほど、相続税も増えることになります。

しかし、かなりの資産家の相続の場合は別ですが、通常の相続の場合には、相続税の実質負担率は、実はそんなに高くありません。

相続税を、財産を取得するコストと考えた場合には、売買や贈与よりも相続で取得した方が断然お得です。

相続税評価額と時価が同じ2,000万円の財産があるとした場合、相続税の実質負担率が10%だとすると、200万円の相続税を支払ってその財産を取得することになります。

でも、購入する場合には、2,000万円を用意しなければなりません。

そう考えると、相続税を支払ってでも、財産をもらっておいた方が得ともいえます。

相続税がかからない人こそ「相続時精算課税制度」を活用しましょう!

テレビや新聞、雑誌などで見たり、読んだことがあるかも知れない「相続時精算課税制度」(以下「精算課税」)。

これは相続の時に精算(合計)するのなら、2,500万円まで贈与を非課税にするよ、というものです。

いいですか。あくまでも「贈与」が非課税です。

1億円の財産を持っている人が、精算課税で2,500万円を贈与してお亡くなりになった場合、お亡くなりになった時点では、財産は7,500万円(=1億円-2,500万円)ですが、 精算課税の分を合計するので、7,500万円+2,500万円=1億円に相続税がかかります。

何だ!「非課税」と言っても相続税がかかるんじゃん!

その通りです。

でも、得になる場合もあります。

2,500万円の財産が5,000万円に値上がりしていた場合です。

この場合には、7,500万円+5,000万円=1億2,500万円に相続税がかかるのではなく、贈与した時の「2,500万円」を使って、7,500万円+2,500万円=1億円と計算します。

合計する時には、贈与時の時価を使う、というのが、この精算課税のポイントです。

ということは、逆に1,000万円に値下がりしていたら…。

値上がりしていた場合と同じように、7,500万円+2,500万円=1億円と計算します。

精算課税を使わなければ、全財産が相続の時の時価で計算されるので、7,500万円+1,000万円=8,500万円だったんですけどね。

このように、精算課税は「やって良かった!」となるかどうかは分かりません。

でも、絶対にやった方が良い場合があります。

それは、精算課税を合計されても相続税がかからない人です。

合計されても相続税がかからないのなら、贈与の時にも税金がかからず、相続の時にも税金がかかりません。

2,500万円までのお金や土地などを、相続の時よりも早く動かすことができます。

住宅用の土地や住宅建築資金などは、早めにもらった方が喜ばれると思いませんか?

超過物納は、その後に注意!

相続税を払うお金がない場合には、一定の要件に該当すれば、相続税をお金で納めるのではなく、相続した財産で納めることができます。

1,000万円の相続税を納められず、1,050万円の土地を物納した場合、50万円余計に国に納めていることになるため、50万円が還付されます。

「あー、良かった。相続税も納められて、その上、お金までもらえた。」と思って、そのままにしてはいけません。

50万円部分は、国に土地を売ったことになるため、確定申告が必要になりますので、ご注意を。

この場合の確定申告では、相続税の一部が経費になります。

遺産分けのポイント(土地を相続する場合には使途や対処を明確にする)

「土地を相続すると、固定資産税をずっと支払わなければならない」とおっしゃる方がいます。

確かにその通りです。

でもそれだけではありません。

夏になったら草刈りもしなければなりません。

草刈りをしないと近所から苦情が来ます。

それだけではありません。

土地については、固定資産税や管理コストの他に、売却する場合にも様々なコストがかかります。

お金に変えようとして、土地を売却すると、さらにコストがかかります。

仲介業者が絡む場合には、仲介手数料がかかります。

譲渡所得税も課税されます(※)。

※ただし、相続した土地等を売却した場合には、譲渡所得税が安くなる特例があります。

所有するのにも、換金するのにもお金がかかります。

土地を相続する場合には、安易に相続せず、取得後の使途や対処を明確にすることが肝心です。

死因贈与って何?

贈与は贈与でも、今すぐあげるのではなく、亡くなったらあげる、という贈与を「死因贈与」といいます。

亡くなったらあげる、というと、遺言であげる「遺贈」を思い浮かべるかもしれませんが、「遺言」は、贈与する側が贈与される側に了解を得ずとも作成できるのに対し、「死因贈与」はあくまでも「贈与契約」の一種であり、「あげます」「もらいます」という、両者の合意のもとに成立します。

したがって、契約書に、贈与する側・贈与される側の署名・押印が必要です。

話がこんがらがりそうなのを承知の上で話を進めると、死因贈与は、法律的には贈与なのですが、民法上は、遺贈に関する規定に従うことになっており、相続税法上も、遺贈扱いということから、相続税の対象となります。

まずは、相続税が「かかる」か「かからない」かの確認を

相続を考える際には、まず相続税が「かかる」か「かからない」かがポイントとなります。

正味財産が相続税の基礎控除額以下であれば、基本的にはどう分けても相続税はかかりません(「基本的には」の意味は、以前の記事をご覧いただければお分かりいただけます)。

この場合、相続税を意識することなく遺産分けの話し合いを進めることができます。

それに対し、正味財産が相続税の基礎控除額を超え、相続税がかかる場合には、まず特例の適用を考えましょう。

代表的なものが、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」です。

これらにより、相続税を0にすることができるかもしれません。

ただし、これらの適用を受けるためには、「相続税の申告」と「全体の財産の遺産分け」が必要です。

「特例の適用により計算すれば相続税が0になる」と言って、放っておいたら相続税がかかりますので、ご注意を。

配偶者の方が障害者の場合の相続税に注意!

以前の記事でも書いた通り、配偶者の方が相続した場合には、「配偶者の税額軽減」という減税が受けられるため、相続税がかからない場合が結構あります(最低1億6,000万円まで非課税ですから)。

相続人の方が85歳未満で障害者のときには、「障害者の税額控除」という減税が受けられます。

相続税の計算上は、①「配偶者の税額軽減」→②「障害者の税額控除」という順番です。

上述した通り、①の段階で相続税が0(かからない)となる場合が多いのですが、そうなると、配偶者は②の適用を受けようにも、受けることができません。

この場合には、その適用を受けられない減税額を、その障害者の扶養義務者(配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者)の相続税額から差し引くことができます。

扶養義務者における減税の適用を忘れないように、ご注意を。

保険金の支払がなくても相続財産

お亡くなりになった方(Aさんとします)が、ご家族の方に掛けていた保険があるとします。

この保険は、ご家族の方がお亡くなりになった時に保険金が支払われるので、Aさんがお亡くなりになっても、保険金は支払われません。

それでも、この保険は相続税の課税対象になります。

なぜでしょうか?

この保険を解約すれば、解約返戻金を受取ることができます。

保険金は支払われなくても、その解約返戻金相当額の価値があるのです。

相続税においては、この解約返戻金の金額でこの保険を申告します。

相続の時に保険金の支払いがない保険についてもご注意を。

10ヶ月以内に遺産分けができない場合のデメリット

相続税は、お亡くなりになったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告しなければなりません。

万が一、申告期限までに遺産分けの話し合いがまとまらなかった場合には、法定相続分等で遺産分けをしたものと仮定して、相続税を計算することになります。

未分割(遺産分けができない状態)で申告する場合には、次の代表的な減税が受けられないため、相続税が高めになります。

①配偶者の税額軽減…取得した財産のうち、「法定相続分(例えば相続人が妻と子であれば財産全体の2分の1)相当額」又は「1億6,000万円」のうちいずれか「多い」金額に対応する相続税が非課税

②小規模宅地等の特例…自宅等の敷地のうち、一定の面積まで8割引き又は5割引きで評価

やむを得ず未分割で申告する場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出します。

3年以内に遺産分けができれば、①②の適用を受けることができます。

適用を受けることにより、相続税が安くなった場合には、「更正の請求」により最初に納めた相続税との差額を還付してもらいます。

遺産分けにより、結果として最初の申告の法定相続分等よりも多く財産を取得した場合には、「修正申告」により不足分の相続税を納付します。

※3年以内に遺産分けができない場合でも、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出して承認を受けることができれば、一定の要件の下、①②の適用を受けることができます。

※上記の他、未分割のデメリットとして、物納や納税猶予の適用が受けられないことなどが挙げられます。

会社が保険料を負担していた生命保険金を受取ったら遺族の給与?

会社が従業員を被保険者、妻を受取人として、生命保険に入り、保険料を負担してくれていたとします。

万が一、従業員の方がお亡くなりになった場合、契約通り、生命保険金は妻が受け取ることになりますが、さて、この場合の生命保険金は、税金の取扱い上、どうなるのでしょうか?

実は、会社が負担した保険料は、従業員が負担していたものとして取扱うこととなっているため、相続財産(みなし相続財産)となります。

したがって、500万円×法定相続人の数の非課税の適用もあります。

ただし、会社がその保険金を、従業員の方の退職手当金等として支給することとしている場合には、死亡退職手当金等として取り扱うこととなっており、この場合でも、相続財産(みなし相続財産)となり、500万円×法定相続人の数の非課税の適用を受けることができます。

相続放棄しても生命保険金はもらえる?!

お亡くなりになった方に多額の借入金があり、その借入金を引き継がないようにするため、相続人の方が家庭裁判所での手続きを経て、「相続放棄」することがあります。

相続放棄をしても、受取人が自分に指定されている生命保険金は、受け取ることができます。

相続放棄した場合の注意点として、生命保険金に認められている「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が、相続放棄した方の生命保険金には認められないことが挙げられますが、非課税枠を使えなくても、お亡くなりになった方の相続財産の合計が基礎控除(「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」)以下であれば、相続税はかかりません。

判子を押した「相続放棄」の場合には話が違ってきますので、ご注意を。

「私は財産いらないから」と言って、「相続分なきことの証明書」や、相続財産全体が網羅されていないような「遺産分割協議書」に判子を押したような場合です。こういう場合にも「相続放棄」という言葉が使われています。

この場合にも、生命保険金を受け取ることができます。

この場合には、生命保険金の非課税枠を使うことができます。

この場合には、借入金の引き継ぎが免除されません。

お墓の代金は未払にしてはダメ!

墓地や墓石、仏壇、仏具には、相続税がかかりません(「非課税財産」です)。

相続税の知識がある方は、これらのものを借金して買えば、財産は0円評価で、借金だけが計上されることにより、その借金の分だけ全体の財産から「債務控除」(※)ができることにより、相続税が安くなる、とお考えになるかもしれませんが、残念ながら、そううまくはいきません。

「非課税財産に関する債務」は、「債務控除」できませんので、ご注意を。

※相続税の計算においては、借入金などの債務を、財産からマイナスして計算することができます。

修正申告をすると、財産が増えていなくても相続税が増えます!

Aさんがお亡くなりになり、子供のBさんとCさんが相続税を納めました。

Bさんが相続した財産に申告もれがあったため、修正申告をし、Bさんは追加の相続税を支払いました。

この場合、Cさんが相続した財産に変動がなくても、Cさんも追加の相続税を支払うことになります。

なぜでしょうか?

相続税は、まず相続財産全体で計算し、その全体に対する相続税を、もらった財産の比で各相続人に按分します。

(当初申告)
Bさんの相続財産:5,000万円
Cさんの相続財産:5,000万円
相続財産全体:1億円→相続税全体350万円
Bさんの相続税:350万円×5,000万円/1億円=175万円
Cさんの相続税:350万円×5,000万円/1億円=175万円

(修正申告)
Bさんの相続財産:5,000万円+1,000万円=6,000万円
Cさんの相続財産:5,000万円
相続財産全体:1.1億円→相続税全体500万円
Bさんの相続税:500万円×6,000万円/1.1億円=273万円
Cさんの相続税:500万円×5,000万円/1.1億円=227万円(52万円アップ!)

申告漏れがないよう、十分にご注意を。

申告期限後に遺産分けが決まったら速攻で更正の請求を!

今回の結論
★還付申告だからって油断しちゃダメ!相続税の更正の請求は期限が短い!


メモ魔税理士のメモ
相続税は、相続財産全体に対して相続税が計算され、財産を取得した割合に応じて各相続人の相続税が計算されるのが通常のパターン

遺産分割が決まらない場合には、財産を取得した割合が決まっていないので、通常のパターンでは計算できない

できないと言っても、法人税のように申告期限を延長してもらうような制度がないので、遺産が分割されていようがなかろうが、通常のパターンと同じように亡くなってから10ケ月以内に申告・納付をしなければならない

その場合には、法定相続分で分割されたものとして、全体の相続税を各相続人で按分して、申告・納付する

その後、遺産分割が成立したら、未分割の申告では適用できなかった、配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例を適用して、かつ、法定相続分ではなく、財産の取得割合に応じて計算した相続税を申告・納付する

その際の納付は、例えば実際の財産の取得割合に応じて計算した相続税が100万円の場合、未分割の申告で70万円納付している相続人の場合には、修正申告により差額分(不足分)の30万円を納付する

未分割の申告で140万円納付している場合には、更正の請求により差額分(過払分)の40万円を還付してもらう

この更正の請求には期限がある

未分割遺産が相続人により分割された場合には、それにより、結果的に相続税が納め過ぎになったことを知った日の翌日から4ヶ月以内にしなければならない

これは、相続税法の規定に基づく更正の請求の場合である

ちなみに、同じ相続税の更正の請求でも、国税通則法の規定に基づく場合には、
○法定申告期限から5年以内
とか
○裁判等の後発的事由が生じた日の翌日から2ヶ月以内
などの場合もある

分割されたらすぐに更正の請求をすること!


土地売買の最終決済前に相続が発生したら?申告の方法はいろいろあるよ!

1,000万円の土地の売買があり、契約時に手付金100万円を受領後、相続が発生し、その後、残金900万円の決済をして、土地の名義を変えた場合のお話です。

売主が亡くなった場合の相続税

売主の相続税申告では、何が相続財産になると思いますか?

まずは、100万円の現金です。

手付金としてもらったもの。

これは使っていなければ手元に当然あります。

返すものでもありません。

次に、土地は申告するのでしょうか?

土地の名義は、まだ売主のままです。

でも、既に売買契約が締結されていますから、土地は売主のものではありません

土地の代わりに、売買契約が締結されていることから、残金900万円は、売主がもらえるはずだったものです。

これが相続財産(「未収入金」と言います)となります。

買主が亡くなった場合の相続税

売主のときと同じように、売買契約が締結されていることを考えると、土地が買主の相続財産になります。

この場合、売買金額(売り買いで動く金額)と相続税評価額(相続税の課税対象となる金額)は違います

路線価をベースとした金額や、固定資産税評価額に倍率を乗じた金額で、相続税法上は土地が評価されます。

その評価額で申告することになります。

売買金額でないところにご注意ください。

売主はタダで土地をもらえる訳ではありません。

お金を払うんですよね。

売買代金のうち、100万円は手付金として既に支払ってあります。

残りの900万円が未払です。

これは、債務(マイナスの財産)として申告できます

ですから、土地の相続税評価額△未払金900万円が相続税の課税対象となります。

ここでお話は終わりではなくて、実は、土地は申告しなくてもいいんです。

その場合には、代わりに1,000万円の引渡請求権を申告する必要があります

「1,000万円で売買する、ということは、買主は、1,000万円の価値があるものを得られるんでしょ。」ということです。

土地で申告しようが、引渡請求権で申告しようが、どちらでもOKです。

金額が低い方で申告していいのです。

ですが、土地で申告する場合には、要件を満たせば、土地ならではの特例(小規模宅地等の特例)の適用を受けることができます

売主の所得税に注意!

土地を売って儲けが出たら、申告しなければなりません。

亡くなった売主で申告するパターン

相続の発生前に売買契約が締結されていることから、亡くなった方が土地を譲渡した、として申告することができます。

と言っても、売主はもう亡くなっているので、相続人が代わりに申告します(「準確定申告」と言います)

この場合には、住民税がかかりません

5年超の長期譲渡所得に対する税率は、15.315%+5%なんですが、この5%が非課税です。

また、土地の譲渡については特例があり、要件を満たせば、さらに税金が安くなります。

そしてさらに、この所得税は相続人が売主の代わりに「払わなければならない」ものなので、相続税の申告上、債務(マイナスの財産)として計上し、相続税を減らすことができます

亡くなった売主の相続人で申告するパターン

「引渡し(名義変更)が行われた時=譲渡があった時」とすることもできます。

そうすると、引渡し時には、売主は亡くなっているので、相続人が売った、ということになる訳です。

この場合、「相続人が相続財産を売った」のは、「相続税を納めるために、わざわざ相続財産を売ってくれたんだ。ありがとう。」ということで、所得税の申告をする時に、相続税の一部を経費にする特例(「相続税の取得費加算の特例」と言います)の適用を受けることができます

賃貸不動産の相続は付随する細かな財産や債務があるので注意!

今回の結論
★賃貸不動産の相続は土地と建物の相続だけではない!


転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

アパートや貸家などの賃貸不動産を相続した場合、今度はその相続人が家賃収入を申告することになります。

その不動産収入の元となるのは、アパートなどの敷地や家屋だけではありません!

忘れてはいけないプラスの財産

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その建物に火災保険や地震保険を掛けていれば、その保険契約も相続財産です。

いくらで評価するのかって?

亡くなった時点で仮に解約したとした場合に受け取ることができる解約返戻金相当額で申告します。

実際に解約すれば、その金額の入金がある訳ですから、それだけの財産価値がある、ということです。

未回収分の家賃があれば、それも財産です。

さらに、アスファルトや駐輪場、フェンスなどの外構(構築物)も財産です。

それらは市町村発行の課税明細や評価証明書には載っていません。

どこを見るのかって?

亡くなった方の確定申告を見てみましょう。

減価償却資産として申告されているはずです。

忘れてはいけないマイナスの財産

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今まで話してきた財産は、それがあれば相続税が増えることになるものですが、見つかれば相続税が安くなる財産もあります。

例えば、借入金です。

不動産投資は多額の費用がかかるため、銀行などからの借入金がある場合がほとんどです。

あれば、プラスの財産から控除して相続税を計算することになるので、相続税が安くなります。

通帳などで返済を確認しましょう。

また、入居者からの預り敷金もあるかもしれません。

賃貸時の契約書を確認しましょう。

その他にも、賃貸不動産には修繕費などの経費がかかるのですが、これらが未払になっていれば、それもマイナスの財産です。

また、建設協力金方式の場合には、預り保証金があるはずなので、もれなく計上しましょう!

奥様が契約上の受取人である入院給付金は相続税非課税!

今回の結論
★奥様が契約上の受取人として入院給付金を受け取れば、亡くなった後にもらうものであっても、相続財産に該当しないし、「身体の障害に基因して支払を受けるもの」として所得税も非課税!


メモ魔税理士のメモ
亡くなった方が受取人となっていた入院給付金を、亡くなった後に相続人の方が受け取った場合には、相続財産(「未収入金」)として申告しなければならないが、契約上、奥様が受取人となっている場合には、亡くなった人の財産でもないし、なおかつ、所得税の非課税規定により、奥様の所得にもならない。


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お亡くなりになった時点で未収だった(つまり、お亡くなりになった後にもらった)入院給付金は、通常は「未収入金」として相続財産に該当します。

待っていればお金が振り込まれてくる訳ですから、「お金をもらう権利」みたいな財産ですね。

ところが、これはお亡くなりになった方が受取人になっていたものを、その方がお亡くなりになってしまったので、相続人の方などが代わりに受け取ったときの話

(法第3条第1項第1号に規定する保険金)
相続税法基本通達3-7の注意書き
(注)被保険者の傷害、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故として被保険者に支払われる保険金又は給付金が、当該被保険者の死亡後に支払われた場合には、当該被保険者たる被相続人の本来の相続財産になるのであるから留意する。

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亡くなった人の代わりに「お金をもらう権利」として相続税が課税される、ということですね。

でも、生きている人がもらった場合には、その入院給付金の性質が重要になってきます。

入院給付金の性質が、「病気を治すためにもらったお金なんだから、課税したらカワイソウ」というものなので、受け取っても非課税なんです。

「それは、保険料を払った人(通常は契約者)と入院給付金の受取人が同じ場合でしょ?」という声が聞こえてきそうですが、同じじゃなくても非課税なんです。

(身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等)
所得税法基本通達9-20
令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

だから、例えば、旦那さんが契約者(保険料負担者)かつ被保険者で、入院給付金の受取人が奥様の場合には、これに該当して、所得税が非課税、そして、亡くなった人の代わりに「お金をもらう権利」によってお金をもらったわけではないので、相続税も非課税、となるんですね!

お亡くなりになった方の国民年金が死亡後に振り込まれたら?

今回の結論
★相続財産(未収入金)として申告する必要はない。
★遺族が確定申告(一時所得)しなければならない!


メモ魔税理士のメモ
亡くなった後にその方がもらうべきだった家賃や給与、入院給付金を受け取った場合、相続財産(「未収入金」)として申告しなければならない場合があるが、未支給年金は相続財産に該当しない。また亡くなった方の所得にも該当しない。その年金の支給を受けた遺族の一時所得になる。


転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

年金は、2ヶ月分がその翌月に振り込まれます。

例えば、3月にお亡くなりになった場合には、その方の2月分・3月分の年金が、4月に振り込まれます。

鋭い方は「この死亡後に振り込まれた年金は、お亡くなりになった時点で未収の状態だから、相続財産なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、最高裁判決(平成7年11月7日)により、相続財産には該当しない、ということが明らかになっています。

それだけではなく、お亡くなりになった方の分の年金であるにもかかわらず、その方の所得にもなりません

誰の所得になるかというと、その未支給年金を受け取った遺族の方の所得になります

通常、年金は「雑所得」の区分になるのですが、この場合には、「一時所得」になるので、ご注意を!

亡くなった人の医療費と医療費控除と相続税の関係

今回の結論
★いつの治療の分か?ではなく、いつ支払ったかが重要!
★医療費控除は支払った医療費が自分の分じゃなくても適用可の場合がある!
★医療費控除の対象にならなくても、債務控除の対象になるものもある!


メモ魔税理士のメモ
亡くなった方の医療費を生前その方の財布から支払った場合は、その方の準確定申告で医療費控除を適用。生計一親族が支払った場合は、その親族の確定申告で適用。亡くなった後に支払った医療費は、生計一親族が支払った場合はその親族の確定申告で適用。相続人が支払った場合は、相続税申告で債務控除。


転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

医療費控除は、未払では適用できません

平成28年中の治療だったとしても、その支払を平成29年にしたのであれば、平成28年分の確定申告では医療費控除の適用を受けることはできません。

適用が受けられるのは、平成29年分の確定申告です。

医療費控除は、「自分の医療費」又は「自分と生計を一にする親族の医療費」が対象です。

所得税は(超過)累進税率です。

所得が多い人ほど税率も高くなります。

ということは、「医療費控除の適用を受ける」→「所得が少なくなる」→「税率が下がる」→「税金が減る」という節税効果は、税率が高い人の方が一般的には大きいと言えます。

「債務控除」とは、相続税を計算する際、土地や預貯金などの「プラスの財産」から、相続人が亡くなった方の代わりに負担すべき借入金や未払金等の債務や、葬式費用などの言わば「マイナスの財産」を差し引くことを言います。

差し引いた分だけ、財産の金額が減りますので、相続税も減ることになります。

お亡くなりになった時点で「未払」の医療費も、この「債務」に該当します。

しかし、この「債務」は、未払であればよいので、病院に支払うものでも「医療費控除」の対象とならない「差額ベッド代」も、「債務」として「債務控除」の対象となります

また、同じく「医療費控除」の対象とならない「死亡診断書代」も、「葬式費用」として「債務控除」の対象となります

相続時精算課税による贈与は、課税のタイミングが引っ繰り返る贈与!

メモ魔税理士のメモ
一般的な暦年課税による贈与であれば、通常は贈与時に贈与税の課税対象、(贈与により財産が移転し死亡した方の物ではなくなっているので)相続時に相続税が非課税。相続時精算課税による贈与は、何とこの逆パターン!贈与時に2,500万円まで非課税だが、その代わりに相続時に相続税の課税対象。


暦年課税による贈与を活用した相続税対策としては、もちろん非課税枠(110万円)の範囲内で贈与をすることも有効です。

110万円以内に抑えれば、贈与税は非課税で、相続税も非課税です(死亡日前3年以内に贈与した財産は相続税の課税対象です)。

ですが、110万円にこだわっていると、財産の移転スピードが遅くなってしまいます。

そのような場合には、相続時の実質税負担率に比べて低い贈与税負担率であれば、贈与税を負担してでも財産を移転した方が節税になります。

このような思考法は、相続時精算課税制度を選択する場合には通用しません。

なぜなら「必ず相続税の課税対象」になるからです。

生命保険による納税資金対策

メモ魔税理士のメモ
相続税の納税資金対策としての、生命保険の活用方法としては、
①対策の対象となる本人が自分に掛けて契約
②相続人に現金を贈与し、相続人が本人に掛けて契約
③同族会社が役員としての本人に掛けて契約、保険金が下りたら、死亡退職金として相続人に支払う
方法がある。


財産の売却

メモ魔税理士のメモ
立地のいいピカピカの土地は、価値があるので相続後もずっと持っていたいと相続人の方は考えがちだが、そういう土地の方が、売却して納税資金を簡単に得ることができる。納税資金に余裕がなく、納税期限までに余裕がない場合には、売却を前向きに考えることも必要。


相続時精算課税制度

メモ魔税理士のメモ
相続時精算課税制度は、非課税で贈与しても、相続財産に加算されるため、相続税対策としての生前贈与には、基本的には馴染まない。ただし、「贈与時の評価額で相続財産に加算される」というところに大きなメリットがある。値上がりする前に相続時精算課税制度による贈与をし、その後の値上がり分を課税対象外とする。相続の時に5,000万円になる株式でも、2,000万円の時に贈与すれば、2,000万円で相続税を計算。相続税の税率は、贈与税の税率に比べて低く設定されている。低い時の評価額で金額確定し、低い方(相続税)の税率で税金を計算できる!


相続税対策の種類

メモ魔税理士のメモ
相続税の「納税資金対策」と「節税対策」は、きちんと分けて考える必要がある。立地のいい場所にあるピカピカの土地を、(売却して現金に変えるために)更地のままにしておくのは、「納税資金対策」、(評価額を下げるために)アパートを建てるのは、「節税対策」。


同族会社への売却

メモ魔税理士のメモ
同族会社に資金的余裕があると、相続税対策に非常に有利。相続時の自社株の買い取りだけでなく、その他の財産についても、会社で購入して有効活用できるようなもの(例えば会社の敷地の隣の土地)であれば、会社に買い取ってもらう。ただし、同族間の取引は、その値段設定に大変注意が必要。


テーマの設定

メモ魔税理士のメモ
法人の節税対策と同じで、個人の相続税対策も、税金を安くすることばかりを追い求めてしまうと、税金が安くなったのはいいが、意味もなく財産が減ってしまった、ということになりかねないので注意。「含み損を実現させる」「時価と相続税評価額の差を利用する」など、テーマを持ってやる。


アパートの収益性

メモ魔税理士のメモ
アパート経営による節税は、アパートの収益性が非常に重要。建物の評価額が建築金額よりもかなり低かったり、貸家評価で七掛けになるところがミソだが、売却しようとすると、さらに値段が下がる。だから、建てたら売却せずに、賃貸収入で値下がり分を回収していかないと、単純な損になる。


相続税の試算

メモ魔税理士のメモ
相続対策は、まずは相続税の試算から。どれぐらいの相続税がかかるかにより、打つべき手は変わってくる。また、相続税の総額に注目するだけではダメで、財産の内訳と、それを踏まえた遺産分けのシミュレーションが重要。そこで問題点に気づけば、生前に対処できることが可能な場合もある。


相続税がかからない人ほど、大きなお金や土地を動かしたい時には検討すべき相続時精算課税制度

メモ魔税理士のメモ
相続時精算課税制度は、相続税がかかる人の為だけのものではなく、相続税がかからない人にも大きなメリット有。2,500万円の贈与をすれば、通常は800万円強の贈与税がかかるが、この制度を使えば、贈与時に贈与税がかからず、相続時に相続税がかからないので、無税で早期に財産移転が可。


相続まで待たずに贈与により財産の移転を受けるメリットは、
①相続でもめそうな場合に、贈与により先に財産を移転することにより、財産の取得を確定することができる(遺留分減殺請求の対象になる場合もありますが)
②早期に財産の移転を受けることにより、子供が親の財産を早期に活用することができる
点が挙げられます。

「先にもらってしまえば安心」ですし、「家を建てるお金をもらうのなら、相続の時にもらうよりも、今もらった方が、今から家を建てられるから嬉しい」という訳ですよね。

それならばということで、贈与により財産をどんどんもらいたいところなのですが、通常の暦年課税贈与の場合、非課税枠の110万円を超えると贈与税が課税されてしまいます。

ところが、相続時精算課税贈与の場合、2,500万円までであれば、贈与税がかかりません。

その上、相続時に相続税がかからなければ(全体の財産が相続税の基礎控除額以下であれば)、相続税もかかりません。

つまり、「無税」で「早期」に財産の移転を図ることができます。

「贈与税の特例なんて、お金持ちのためにあるんでしょ」なんて言ってると、損しちゃいますよ!

お亡くなりになった日時点で納付期限が来ていない税金は債務控除できるのか?

メモ魔税理士のメモ
相続税を計算する際には、土地や預貯金などのプラスの財産から、借入金や葬式費用などのマイナスの財産を引いてから税率を掛ける

お亡くなりになった日時点で納付期限が来ているにもかかわらずお亡くなりになった方が払っていなかった税金については、役場から催促されて代わりに相続人が払うことになるので、借入金のようなマイナスの財産として引ける気がする

ただし、お亡くなりになった日時点で納付期限が来ていないものについては、その時点で督促されることはないのでプラスの財産から引くと税務調査で否認されるのではないかと心配が出てくる

(結論)
納付期限が来ていないものであっても、納付義務が確定しているものは引いても良い

良く考えたら当たり前

借入金だってお亡くなりになった時点では払わなくても良くても、いずれ返済期日がくれば相続人が代わりに払わなければならない

それと同じ


父の死亡後、遺産分割前に母が死亡した場合の配偶者の税額軽減の適用は?

メモ魔税理士のメモ
相続税には、「配偶者の税額軽減」というものがある

配偶者が相続した財産については、1億6千万円か、配偶者の法定相続分(通常は1/2)のいずれか多い金額までが相続税が非課税となる

父死亡(第1次相続)後、遺産分割前に母が死亡(第2次相続)した場合、まず父の遺産分割を行う

その際、相続人である母が亡くなっているため、母は遺産分割協議書に署名押印できない

代わりに、その子供が署名押印することになる

子供だけで自由に第1次相続と第2次相続の遺産分割の内容を決めることができる

第1次相続分の遺産分割については、「配偶者の税額軽減」の適用を受けるために、母がその限度ギリギリまで相続したことにできるか?

できる
相続税基本通達19の2-5(配偶者が財産の分割前に死亡している場合)

ただし、第1次相続で母の取得分を増やすと、母の相続(第2次相続)での相続財産が増えてしまうので、第1次相続と第2次相続のトータルでの試算が必要である


タワーマンションはなぜ節税になるのか?

メモ魔税理士のメモ
相続の時に現金1億円があると、その1億円に相続税がかかる

その1億円で、タワーマンションを購入する

相続税の財産評価は、買値ではない、また時価でもない

税法で決められた評価方法によって評価する

タワーマンションは土地(敷地権)+建物

土地については、100戸のタワーマンションならその敷地の1/100だけが相続対象

一等地で単価が高くても、一戸建の家に比べれば土地の面積は1/100されてメチャクチャ小さくなるので全体の評価額は低くなる

建物については、市区町村が値付けした固定資産税評価額がそのまま評価額

ブランド力が評価額に結びつくことはない

タワーマンションの場合、眺望が良い高層階の方が値段が高くなるが、上記のような評価方法により、最高階と1階の相続税評価額は同じ

つまり、高層階を購入した方が、実際の価値(時価)と相続税評価額の差が大きくなる

その差額に節税効果が生じる

相続税評価額が3,000万円だと、7,000万円の財産圧縮節税効果


相続の際、預金の所有者が誰だか分からない『あなた』へ!

相続税の税務調査の際、親御さんが積んだお子さん名義の預金が出てくることが良くあります。

「名義=所有者」ではありません。

税務上は形式ではなく、実態を見ます。

お子さん名義の預金がお子さんのものであるためには、親御さんからお子さんへ贈与があって、お子さんがその預金をご自分で管理している必要があります。

ですから、お子さんが「そんな預金知らない」と言ったら、即、相続財産となります。

相続税の税務調査は自宅でやってもアウェイです

税務調査を自宅でやるからといってリラックスしてできる訳ではない!

相続税の税務調査は、通常、亡くなった方のご自宅か、相続人の方のご自宅で行われます。

野球やサッカーなどのスポーツで言うところの「ホーム」での戦いのはずなのですが、実際の感覚としては、「アウェイ」な感じになります。

なぜでしょう?

相続人よりも亡くなった方のことを知っている?

調査官は、亡くなった方に会ったことがありません。

相続人は、ずっと一緒に過ごしてきました。

でも、家族だからといって、亡くなった方の生前の財産の状況や、お金の動きについて、きちんと把握しているかといえば、そんなことはないはずです。

それに対し、調査官は、銀行等への調査権を有しているため、網羅的に亡くなった方の財産の動きを把握することが可能です。

相続人にとっては「初試合」

税務調査という「試合」は、一般の方はなかなか経験することができません

2回経験する、ということは本当にまれでしょう。

まず、相続があった場合に、相続税がかかる人はごく少数で、その中で、税務調査があるのは、さらに少数です。

考えられるとすれば、旦那さんがかなりの財産家で、奥様が大部分の財産を相続した、なんていう場合には、旦那さん、奥様のどちらの相続も財産のスケールが大きいので、調査になるかもしれません。

また、ご夫婦が役員となって、大きな会社を経営されていたりする場合にも、それぞれの財産のスケールが大きくなりがちなので、やはり調査の確率は高まります。

調査官は毎日のように仕事で調査をやっています!

銀行等への調査権以外に、調査官が税務調査において優位になる要因は、「場数」です。

調査官は毎日のように税務調査をしています。

相続人に対して、どのように質問をすれば、優位に調査が進められるか、経験的に知っています

1つ挙げるとすれば、「回答の整合性」です。

緊張した雰囲気の中、相続人の方はいろいろな質問をされ、隠さなくてもいいようなことでも、つい隠そうとしてしまったりして、事実と異なることを回答してしまうようなことがあります。

「問題がないように答えよう」と意識すると、「無難な結論」を口にしてしまいます。

「無難な結論」が間違っていたら大変!

その回答だけが事実と異なるのなら、調査官だって亡くなった方の財産の全体を把握している訳ではないので、すぐに間違いを指摘されることはないのですが、いろいろな方向から質問された場合、「さっきと言っていることが違う」という状況が生まれます。

調査官は、確認したいポイントを事前に整理してきていています。

しかし、それをダイレクトに聞いてくることはありません。

警戒されると、正しい情報が引き出せない、と思うからです。

ですから、最初はソフトな感じで会話が始まります。

ただし、「さっきと言っていることが違う」という場合には、容赦なく質問を重ねてくるでしょう。

大事なのは「慌てないこと」

そのような状況になったとしても、慌てることはありません。

税理士が立ち会っていれば、フォローが入るでしょうから、それを機に気持ちを立て直しましょう。

相続税の税務調査を受けるときの心構えとは?

今回の結論
★自分が話したことをきちんと覚えておくこと!

税務調査1日目午前中の雑談の重要性

相続税の税務調査は、通常、例えば、お父様がお亡くなりになった場合には、そのお父様のご自宅で行われます。

法人税や所得税の税務調査でもそうですが、調査官が来て、いきなり書類などのチェックをし出す、ということはありません。

調査官も人間です。

スムーズに税務調査を行いたいですから、世間話から始まります。

そして、ある程度、話をしやすくなった状態で、生前のお父様の様々なことについて、質問をされます。

死因や、お亡くなりになるに至るまでのお体やご病気の状況などについても、詳しく聞かれます。

病状などについてのヒアリングの意味とは?

例えば、ご病気の進行等により、体の自由が利かない、というような時期に、預貯金から多額の引き出しがあったとしたら、どうでしょうか?

その引き出しについて、調査官から、「この引き出したお金は、何に使ったのですか?」という質問があった場合、「それは、父でないと分かりません」という回答は、当然通用しません。

相続人の方が、お父様に言われて引き出したか、もしくは、医療費などに充てるために、お父様に言わずに、引き出したのかもしれません。

いずれにしろ、相続人の方など、親族の方が引き出して、その使途などは知っているはずです。

認知症を患っていらっしゃった場合も同様です。

その時期に、お金の引き出しがあった場合、やはり相続人の誰かが引き出しているはずです。

誰が引き出したのか、そして、そのお金を何に使ったのか、という質問には答えらるはず、ということになります。

相続税の税務調査を受けるときの心構え

隠そうとすると、必ずボロが出ます。

調査官は調査のプロです。

それに対して、これが法人税や所得税の税務調査なら、経営規模や利益が大きい法人の社長や事業主の方であれば、数年に一度などの割合で、税務調査を経験しているでしょうから、慣れっこになっていることでしょう。

しかし、相続税の税務調査は、調査官が月に何件も税務調査事案を抱えているのに対し、一生のうちに何度も経験する、ということはありません。

それに加えて、調査官は、事前に銀行等に照会することで、相続人以上に、お金の動きを把握してきている場合もあります(申告した方は、いくら相続人とはいえ、お父様の生前のことについては、分からないことも多いというのに!)。

ですから、相続税の税務調査は、税務署に有利な進行になります。

大事なのは、よく考えて回答することです

安易に質問に乗せられる感じで回答してはいけません。

そして、自分がどう回答したか、きちんと覚えておくことも非常に大切です。

なぜなら、前に答えた内容とその後の回答との間にズレがあると、そこを突かれて形勢が悪くなる場合が多いからです。

調査官の質問の裏の意図には気付けなくても、上記の点を頭に入れて、回答してください。

とはいえ、かなり緊張して調査に臨むことになるでしょう。

調査の前に、きちんと立会税理士と打ち合わせをして、心の準備をしておきましょう。

税務調査で香典帳を見る理由が分からない『あなた』へ!

相続税の計算においては、葬儀費用を相続財産からマイナスして税率をかけます。

葬儀費用があれば、その分相続税は安くなります。

ただし、香典返しの費用は相続財産からマイナスすることができないことになっています。

その代わり、香典収入には相続税はかかりません。

それでも税務調査の時には、税務署は香典帳を確認します。

なぜでしょうか?

香典帳を見れば、お通夜や告別式に来てくださった方が分かります。

お通夜にA証券会社の方が来ています。

この場合、税務署はA証券会社の金融商品が相続財産として申告されているかどうかを確認します。

申告がなければ、相続財産が除外されているのではないか、と考えるでしょう。

証券会社が、以前取引はあったけれども、その後取引がなくなった、今度は息子さんと取引して欲しいのでお通夜に来た、とか、息子さんと取引があるので、そのお父さんのお通夜に来た、という場合もあるでしょう。

このような場合にはA証券会社の金融商品が相続財産として申告されていなくても、当然問題ありません。

相続税の税務調査を控えている『あなた』へ!

相続税の税務調査で焦点となるのは「お金の流れ」です。

お亡くなりになった方の預貯金から多額の出金がある場合、そのお金がどうなったのか、どこに行っているのか、という話になります。

そのお金で何か資産を買ったのなら、その資産が申告書に載っているかどうかを確認されます(当然ですね)。

そのお金が相続人の手に渡っているのに、そのお金が申告書に載っていなかったらどうなると思いますか?

もしそのお金の移転が贈与ということになると、贈与税の申告もれということになります。

贈与税の税率は相続税の税率よりも高くなる場合がほとんどですのでご注意を。

多額の出金があるが、そのお金がどこへ行ったか分からない、という場合は厄介です。

そのお金を申告したとしても、税務署はそう簡単には許してくれないでしょう。お金の行き先を徹底的に追及されます。

なぜでしょうか?

例えば「Aさんがお亡くなりになり、Aさんの口座から多額の出金がありました。次にAさんの相続人のBさんがお亡くなりになりました。」というケースを想像してください。

出金されたお金がBさんの手に渡っていたとすれば、その多額の出金はAさんの相続財産であるだけでなく、Bさんの相続財産にもなります。

(Aさんの相続の時に)お金の行き先をアヤフヤなままにしておくと、次の相続の時(Bさんの相続の時)に相続財産から除外されてしまうのではないか、と税務署は心配しているようです。

お亡くなりになった時の残高証明書の「残高」よりも、生前の通帳の「動き」にご注意を。

会社を財布化!社長の相続税の納税資金準備は会社でやる!

相続税の納税資金を準備するとそれにも相続税がかかる!

中小企業の社長が亡くなった場合の相続では、会社の株式が全体の財産に占める割合が大変高くなります。

他人に譲渡できない(譲渡しちゃったら経営権が奪われてしまいますし、経営権に興味がなければ、配当もしない会社の株式なんて誰も欲しがりません)ので、実際には換金できませんが、思った以上に高い評価額が付いたりします。

「相続税が大変だ!」ということで、納税資金としてお金を残そうとすると、その納税資金も相続財産に変わりありませんので、相続税が課税されます

相続後に会社に株式を買い取ってもらう!

社長が亡くなった後に、後継者が会社の株式を相続します。

その際に、納税資金が足りなければ、株式の一部を会社に買い取ってもらいます

会社の社名がA社だとすると、A社株式をA社に買い取ってもらうのです。

そして、A社から受け取った買取資金を相続税の納税に充てるのです。

そのために、会社に現金を準備しておきましょう!

「それなら亡くなる前に会社に買い取ってもらおう!」と早まっちゃダメ!

「社長が亡くなる前にA社株式をA社に売っちゃって、納税資金を準備してもらっちゃえばいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、気を付けなければならない点があります。

配当部分は高税率!

A社の株主である社長がA社に株式を買い取ってもらい、A社からその株式に基因するお金(売却代金)を受け取る訳ですが、そのお金の中には、理論上、「配当」が含まれる場合があります。

昔、1,000万円で出資したのに、株式の価値が3,000万円になっている(だから3,000万円で売買)とすれば、差額の2,000万円は、会社が儲けを株主である社長に今まで配当してこず、今になって配当した、とみなされます。

「配当」は所得税の計算上、「配当所得」となり、所得税の税率が最高で45%となります。

住民税も含めると、半分以上が税金で持っていかれる可能性があります。

亡くなった後に売却するメリットは?

亡くなった後に売却した場合のメリットは、次の通りです。

理論上の配当を認識しなくて良い

相続人がA社株式を相続し、その後、A社に譲渡した場合、理論上の配当があっても、全体に対しての税率は、20.315%で良いことになっています。

税金を払っても、8割近くが残ります。

相続税が経費になる!

「相続税を払うために株式を売却したんですね。それは大変でしたね。それでは株式の売却に係る所得税を安くしてあげましょう。」という趣旨から、所得税を計算する際、相続税の一部を経費にすることができます

甘く考えていたら大変なことになるよ!事業承継対策に着手する前に「名義株」を解決すること!

今回のテーマ
子供に会社を引き継がせるためには、相続税の負担を減らすことなんかも考えなくちゃいけないんですが、その前にやるべきことについてのお話です。


今回の結論
★「名義株」を0にすること!


「名義株」って何?

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「名義株」とは、「数合わせのために他の人の名義を借りて出資した株式」です。

旧商法の時代は、株式会社を設立する際、発起人=株主が7人以上必要でした。

7人確保するのは大変で、足りなければ、「名前を貸してね。株主になって欲しいんだ。お金はこっちで出すから。」と言って、形式的にだけ株主になってもらうんです。

「名義株」の怖さ

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このような場合、お金も出していない訳ですから、その名義株の形式的な持ち主は、株主として会社の経営に口出しをしたりは通常しません。

その持ち主がお亡くなりになったとします。

そうすると、その持ち主の相続人が、その株式を相続することになります。

相続人に、「この株式は、実は名前だけあなたのお父さんに借りていたもので…。」という話をしても、その相続人が、会社の業績が良いのが分かると、「この株式は、結構価値があるな。」と気付き、「いや、そのようなことは父から聞いていません。父の名義になっているんですから、父の財産です。もし経営に口出しをされたくなければ、この株式を今の適正な時価で買い取ってください。」なんて話になってしまうのです。

「名義株」への対応策

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その持ち主ときちんと話し合いをし、確認書を作成し、「真の」所有者に名義を変えます。

ゴネられたら、実際にこちらがお金を出した証拠を見せて、納得してもらいます。

持ち主が亡くなっている場合には、その相続人との話し合いです。

所有の事実関係を明確にして相続人の方々に相続税がかからないようにしたい、という気持ちを伝えましょう。

簡単には売れないものなのに、税金計算上の評価額が高く、相続税・贈与税の負担が大きいのが同族株式の特徴です。

後継者には迷惑なものでしかない!

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後継者は、ただでさえ、事業承継に不安を抱えているのに、「名義株」なんかがあったら、もっと不安になってしまいます。

出来るだけ早く解決しましょう!

遅くなればなるほど、解決が難しくなりますからね!

従業員数5人未満の会社には朗報!自社株の相続税が一部猶予される事業承継税制の雇用維持要件が緩和されるよ!

今回の結論
★事業承継税制における雇用要件充足は従業員数5人未満の会社については4人→3人・3人→2人・2人→1人と1人減っただけでもダメだったのが平成29年度税制改正でOKに。
この機会にチェックしたいのが現在の従業員の年齢構成。
高年齢者が多い会社は雇用維持に難があることが多いので要注意。
今後の従業員数の推移を予想すること。


転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

「深刻な人手不足なので小規模な会社は雇用を守るのも大変でしょう」という趣旨の下、「雇用8割以上維持」計算時の1人未満の端数の計算が変わりました

事業承継税制の相続税の納税猶予を検討されている方には朗報ですね!

従業員の人数、年齢構成を確認し、「雇用8割以上維持」が可能か再検討してみましょう!

高い税金を払わずに会社から相続税の納税資金を引っ張るには?

今回の結論
★株主が亡くなった後に、その相続人が相続財産である株式を、その発行会社に買い取ってもらう場合には、「みなし配当課税」の適用を受けない!
★また、この場合には、譲渡に係る税金を計算する際、相続税の一部を経費にすることができる!


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生前に発行会社に株を売って相続税の納税資金を確保する戦法を取ると、「みなし配当課税」が生じてしまいます。

そうではなく、「相続が起きた後に、つまり株主が亡くなって、10ヶ月以内に相続税を納めなければならない本当にすぐに納税資金が必要な、財産を引き継いだ相続人」が相続税の納税資金を確保するために、相続から3年10ヶ月以内に、発行会社にその株式を買い取ってもらう場合には、「みなし配当課税」の適用をせず、全額「譲渡所得」として20.315%の所得税を払えばよい、ということになっています。

また、この場合には「その株式を手に入れるために、相続税を払いました」ということになっておるので、株式購入費用としての相続税を経費として所得税を計算することができるんです!

このように、相続が起きてから会社に買い取ってもらった方が税負担は低くなりますからね!

中小企業の事業承継の現実……。選択肢は3つしかない!

今回の結論
★後継者は、できれば親族に!
★考えるのを後回しにしないこと!

中小企業には中小企業独自の強みがある!

中小企業って、基本「社長と株主が一緒」なんですね。

大企業なんかの場合、社長(経営陣)と株主は全く別ですから、株主はその立場上「配当をいっぱい出せ!」って要求するんです。

投資したんだから、儲けた分を配当で還元しろと。

株主からの配当要求が強いですから、大企業は早期に利益を出して、配当をし、株主にとって魅力的な会社になろうとします。

そうしないと、株価も下がり、会社の信用力も低下します。

それに対して、中小企業は配当なんてしません。

社長が配当するって決めて、払うのはいいんですけど、もらう株主は、その社長です。

会社からお金をもらうんだったら、配当としてもらうよりも、役員報酬でもらった方が、概算経費(給与所得控除)が認められる分だけ得です(給与収入が年間1,200万円を超えると給与所得控除は230万円で頭打ちとなってしまいますので、1,200万円以下の場合ですね)。

また、会社側も役員報酬として支払えば経費になります(一定の要件があります)が、配当として支払うと、経費になりません。

中小企業は配当をせず、短期的な利益を追求されることもないので、配当しなかった分の利益を、長期的な投資に充てることができます。

これは中小企業の強みですね。

中小企業の事業承継には相続などの個人的な側面が強く絡んでくる!

社長が株主である、ということは、会社の株式を持っている、ということです。

この会社の株式は個人の財産ですから、社長に相続が発生した場合には、通常はその相続人(奥さんや子供)が新たな株の所有者(=株主)となります。

そうすると、社長も相続人(例えば長男)に引き継いだ方が、中小企業の強みを活かし続けられる、ということになります。

対取引先的にも、また、社内的にも、息子さんが相続する、という方が通りがいいでしょう。

父と息子であれば、まあつながっています(一心同体です)から、経営の継続性も担保されるだろうということで。

また、中小企業の場合、借入金について個人保証していたり、個人資産を担保に入れているケースもあります。

このような場合には、対金融機関的には、相続人である息子さんなどが相続するのが一番でしょう。

ですから、事業承継の基本パターンは、親族内承継です。

息子などの親族に引き継ぐ、ということですね。

第1希望の親族内承継のデメリット

難しいのは、その後継者に経営ができるかどうかです。

社長の息子だからといって、必ず社長ができる、という訳ではありませんもんね。

また、子供の中に次期社長候補者が複数いる場合、誰を社長にするか、というのも難しい。

兄弟で仲良くやってもらうのも結構難しい。

親族承継が難しければ、第2希望は親族外承継!でも、これも難しい!

親族に次期社長候補者がいない場合には、社員の中から探す、ということになりますね。

社長の片腕のような方がいれば、その方に社長を引き継げば、会社はきちんと回るはずです。

このパターンを親族外承継と言います。

この親族外承継、現実にはなかなか難しいところがあります。

まず、親族承継のところでも触れた、個人保証や担保の問題です。

果たして新社長がこれらを引き継いでくれるのか?(普通は嫌がりますよね)。

また先ほど、社長=株主であることが中小企業の強みにつながると言いましたが、そういった面では、経営権だけでなく、株式も引き継いだ方がいい訳です。

他人である次期社長候補の社員に株式を引き継がせるには、基本的には売買か贈与ということになります。

そうなると、次期社長候補は、株式の購入代金か贈与税相当額を用意しなければなりません

業績が良かったり、過去の利益の蓄積が多い会社の場合には、株価も高くなりがちなので、金額もかなり張ることでしょう。

一般の社員にそれだけの蓄えがないケースが多いのではないでしょうか?

最後の砦はM&A!でも、これまた難しい!

親族外承継も難しい場合には、M&Aですね。

本当の第三者に経営権も、株式も譲る、ということです。

ただし、これは相手を見つけることがまず難しい。

M&A仲介専門会社に買い手を探してもらい、売買の仲介をしてもらうことになると思いますが、見つかるか分かりませんし、譲れたとしても、うまくやらないと、会社が売られた、という悪いイメージが付いて、不安になった社員が辞めていってしまう恐れもあります。

また、仲介に対する報酬の支払いも頭に入れておく必要があります

考えるのを後回しにしないこと!

中小企業の事業承継は、検討すべき課題がいろいろあります。

後回しにせず、早期に着手しましょう!

自社株対策(類似業種比準価額)

一般的な中小企業の株式の評価額の引下げ例として、類似業種比準価額の計算要素(「比準要素」と言います)である「配当」「利益」「純資産」のうち、中でも「利益(1株当たりの年利益)」を下げるのが有効であると書いたことがあります。

その対策例として、役員退職金の支払を上げましたが、それ以外でも、生命保険により経費を増やしたり、値段が高い時に買った土地や株式を適正な金額(時価)で売却することにより売却損を計上する方法など、方法はいろいろと考えられます。

「配当」については、配当の金額を下げることにより、評価額の引下げにつながるのですが、「配当」「利益」「純資産」の比準要素のうち、2つが0になってしまうと、「比準要素数1の会社」というカテゴリーに分類されてしまい、純資産価額で計算するか、純資産価額×75%+類似業種比準価額×25%で計算することになってしまいます。

つまり、「赤字で配当なし」が続くと、財政状態の良い会社については、安い類似業種比準価額の使用割合が減り、金額の高い純資産価額の使用割合が増えることにより、評価額が高くなってしまいますので、ご注意を。

「純資産」についてですが、これは税法上の「資本金等の額」と「利益積立金額」の合計額のことを指します。

「資本金等の額」を減らすのは、信用の問題にも絡んできますので、なかなか減らしにくいと思います。

「利益積立金額」を減らすには、利益を減らせばよいのです。

つまり、比準要素「利益」について書いた、役員退職金の支払や、生命保険の保険料の経費化、資産の売却損の計上は、「利益」だけでなく「純資産」を減らすことにもつながるのです。

自社株対策(グループ法人税制を利用した大会社化)

「大会社」に区分されることにより、一般的な中小企業の株式の評価額を下げることが期待できるため、その1つの方法として、借入や増資による設備投資により、会社の総資産価額を増加させる方法について書いたことがあります。

ただし、借入や増資は、その後の返済資金や出資財源の調達が必要になる点がネックとなります。

もし、法人による完全支配関係を有する関係会社があり、その関係会社が資産を所有している場合には、グループ法人税制を適用して、その資産の寄附を受けるという方法もあります。

寄附であれば、資金調達の必要はありません。

そして、グループ法人税制が適用されれば、タダでもらう(寄附を受ける)ことによる受贈益に対しての課税もありません(他の記事をご参照ください)。

ただし、以下の点などが注意すべき点として挙げられます。

イ 株式の評価額を下げるためだけに移転した場合には、大会社として評価することはできません。

ロ 移転する資産が不動産の場合には、登録免許税や不動産取得税がかかります。

ハ 時価取引が前提です。

ニ 法人税の申告において、下記のようなグループ法人税制の適用に係る税務調整が必要です。

<例>時価2.5億円・簿価2億円の土地の寄附を受けた場合

(寄附を受けた側)
・仕訳
土地2.5億円/受贈益2.5億円
・税務調整
受贈益の益金不算入額2.5億円
(この税務調整により、2.5億円の受贈益はないものとして法人税の計算をすることができます)

(寄附をした側)
・仕訳
①現金2.5億円/土地2億円・譲渡益0.5億円
②寄附金2.5億円/現金2.5億円
(①いったん時価で売って、②入ってきたお金を寄附した、という考え方になります)
・税務調整
①損益の減算調整額0.5億円
(この税務調整により、譲渡益0.5億円はないものとして法人税の計算をすることができます)
②寄附金の損金不算入額2.5億円
(この税務調整により、寄附金2.5億円は法人税の計算上、経費にならなくなります)

自社株評価(「配当還元方式」)

「非支配株主」の「特例的な評価」は、「配当還元方式」というものです。

投資の利回りが10%(100円の「投資額」で、その10%の10円が儲かる)と仮定すると、50円の配当があったのであれば、 500円の投資をしたはずだ、という考え方で評価額を計算します。

株式を「もらった」場合には、お金を払っていませんので、その「投資額」は 分かりませんが、このように投資の利回り(10%)を元に配当額から計算する方式であれば、理論値の「投資額」を求めることができます。

「配当還元方式」では、この「理論値の投資額」を「配当還元価額」として株式の評価に採用します。

自社株評価(「支配株主」「非支配株主」)

一般的な中小企業の株式の評価については、いろいろなパターン別に細かく計算方法が定められています。

1つ目の大きなパターン分けは、株式をもらった後に、その株主が、その会社に対して影響力を持つことになるかどうかで区分します。

影響力を持つ株主を「支配株主」、影響力を持たない株主を「非支配株主」と呼び、「支配株主」については「原則的な評価」を、 「非支配株主」については、「特例的な評価」をすることになっています。

自社株評価(「配当還元価額」)

「配当還元価額」は、具体的には下記のような算式で計算します。

配当還元価額=①配当金額/②10%×③1株当たりの資本金等の額/50円

①は、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数で総配当金額を割った金額です。

単純な1株当たりの配当金額ではありません。

②は、利回り10%で計算するということです。

「利回り10%で計算するのは高過ぎるのでは?」とお思いになるかもしれませんが、同感です。

③の、「資本金等の額」は、通常は「資本金」の金額です(そうでない場合もあります)。

資本金等の額と資本金の額が同じという前提で例を挙げると、
○資本金等の額(=資本金):5,000,000円
○発行済株式数:100株
つまり、1株50,000円の払込みで設立された会社で、
○総配当金額:700,000円
○発行済株式1株当たりの配当:700,000円÷100株=7,000円(A)
の場合には、

1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数は
資本金5,000,000円÷50円=100,000株
ですので、最初の分子は
700,000円÷100,000株=7円
となります。

1株当たりの資本金等の額は、最初に払い込んだ50,000円と同じですので、

この場合、配当還元価額は、
7円/10%×50,000円/50円=70,000円(B)
となります。

7,000円(A)の配当をもらったのなら、利回り10%の前提で計算するので70,000円(B)ということです。

買った時には50,000円しか払っていませんが、配当還元方式の考え方を採用すると、この場合にはそれを上回る評価になる、ということです。

ま、通常はこんなに配当を出さないので、配当還元価額は安いのが一般的ですが。

ただし、「特例的な評価」は、基本的には「配当還元方式」なのですが、「原則的な評価」による評価額の方が安ければ、それを選択することもできますので、ご注意を。

株を贈与する、相続させるということは、「経営」上の問題なのです

贈与税の110万円の「非課税枠」は、正確に言うと「1年間」「もらう人1人当たり」の金額です。

110万円は「1年間」の金額ですので、無税で贈与したい場合には、110万円まで贈与したら、残りは来年以降まで待たなければならない、ということです。

110万円は「もらう人1人当たり」の金額ですから、2人に110万円ずつ贈与すれば、合計220万円まで無税で贈与することができます。

「そうか!もらう人を複数に増やせば、人数を増やした分だけ財産をどんどん無税で贈与することができるじゃないか!」とお思いになったあなた。

現金や預貯金ならともかく、会社の株式についてはもらう人を増やしてはいけません。

1人にあげるのが鉄則です。

1人でないとすれば、夫婦にあげるか、親子(例えば贈与する人から見れば子供と孫)にあげるようにしましょう。

その場合には、その後の相続で株式が分散しないように注意しなければなりません(夫婦にあげた場合、夫の分の会社の株式を長男に相続させて、妻の分を次男に相続させるというようなことがないように)。

会社の株式をもらうことにより株主になれば、会社の経営に口を出すことができるようになってしまいます。

税法上の株式の評価額・価値だけに焦点がいかないようにご注意を。

株を贈与する、相続させるということは、「経営」上の問題なのです。

自社株対策(大会社化)

一般的な中小企業の株式の評価については、その会社が「大会社」に分類されることにより、株式の評価額が安くなる場合があると書いたことがあります。

下記のどれかの要件を満たせば、「大会社」に分類されます。

<例:卸売業>
①従業員数が70人以上
②総資産価額が20億円以上で従業員数が35人超
③直前期末以前1年間の取引金額が30億円以上

①にある通り、従業員数を70人以上にすれば、一発で「大会社」ですが、そう簡単には70人にできないですよね。

※ちなみに、この「従業員数」の計算の仕方は、下記のように定められています。

…直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員を除く。以下「継続勤務従業員」という。)の数に、直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は、1,800時間とする。

③の取引金額を増加させる、というのも簡単ではないですよね(そんな簡単に売上が伸ばせたら苦労しません)。

そうなると、②を狙う、というのが現実的には最初のアプローチになります。

従業員数を35人超に増やし、それとともに事業規模を大きくします。

借入や増資による機械の設備投資により、総資産価額を20億円以上にします。

何の対策もせずに会社の株を息子に渡そうとしていませんか?

事業承継で頭を悩ませるのは、会社の株式の異動(「移動」ではありません)です。

儲かっている会社の株式は、相続税や贈与税も多額になります。

事業承継をスムーズに行うためには、株価(評価額)を下げることがポイントになります。

評価の方法

税法上の株式の評価額は、①類似業種比準価額(以下「類似」)と②純資産価額(以下「純資産」)を一定の割合で混ぜて計算します。

類似は、業種が似ている上場企業の株価と比較して計算します。 純資産は、資産から負債を引いて計算します。

評価額の引下げ例

類似を下げる

類似の計算において、上場企業と何を比較するかというと、「配当」「利益」「純資産」を比較します。

この中の「利益」を減らします。

費用を計上します。

法人税の節税対策を思い浮かべてください。

役員退職金の支払などが一般的です。

純資産を下げる

会社の財産を減らすということです。

個人の相続対策を思い浮かべてください。

例えば不動産投資です。

借入で賃貸用の不動産を購入して、借入金額(例えば1億円)よりも購入した不動産の評価額が低ければ(例えば4,000万円)、純資産は減ります(△1億円+4,000万円=△6,000万円分だけ下がります)。

また、敷地の土地の評価額も下がります。

上には他人が入居している建物がある訳ですから。

何もない土地と違って、すぐには売れないですからね。

類似と純資産を混ぜる割合を変える

規模の大きい会社(以下「大会社」)になると、類似だけで評価することができます。

儲かっている会社は、内部にお金を貯め込んでいることが多く、類似よりも純資産の方が高いのが一般的です。

高い純資産を混ぜないで株価を計算するというのがポイントです。

会社の規模は、「従業員数」「総資産価額」「売上高」により区分されます。

これらを引き上げるのです。

例えば合併をします。

こういったものを引き上げると、株価も上がりそうな気がしますが、大会社に区分されることにより、純資産を排除し、株価が下がるのです。

これらは、事業承継対策の入口の、さらにその入口のような話です。

その会社の状況や株主構成などにより、打つべき手は違います。

自社株対策(大会社化の落とし穴)

「大会社」に分類されるために総資産価額を増やす方法として、機械の設備投資を提案する記事を書いたことがあります。

ここでのポイントは、「機械」であるということです。

単純に総資産価額を増やそうとして、「土地」や「株式」を購入し過ぎて、下記の会社に該当すると、類似業種比準価額で計算することができなくなってしまいますので、ご注意を。

①株式保有特定会社……総資産価額に占める株式及び出資の割合が50%以上

②土地保有特定会社……総資産に占める土地や借地権等の割合が(大会社の場合には)70%以上

逆に、最初からこの①②に該当する場合には、株式や土地の保有比率を下げれば良い、ということになるのですが、株式を移転する際にその会社が①②に該当するからといって、 その直前に株式や土地の保有比率を下げるのは認められません(①②に該当するものとして評価額を計算しなければならない)ので、ご注意を。

貸付金対策(株式化-概要)

会社の資金繰りが悪いため、社長が自分のお金を会社に貸し込む場合が良くあります。

会社としては、銀行から借りるよりも手間がかからず、利息を支払わなくても済むからです。

ただし、貸し込んだまま返済を受けないで、社長に万が一のことがあると、その貸し込んだ金額は会社に対する債権(貸付金)となりますので、その社長の相続財産となります。

「会社を存続させるためにやむを得ずお金を入れているんだ!」と税務署に涙ながらに訴えても、会社に入れたお金には丸々、相続税が課税されます。

会社の資金繰りがずっと悪いままだと会社はお金を返してくれません(返せません)。

相続税はかかるけど換金性がない、そんな財産は誰も欲しくありません。

相続の前に対処する必要があります。

その方法の1つとして、デッド・エクイティ・スワップ(DES)というものがあります。

これは、会社に対する「貸付金」を、会社に対する「投資」(株式)に振り替える、というものです。

お金の貸主から、会社への投資家に変わるということです。

「貸付金」が「株式」になっても、相続財産であることには変わりないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃると思います。

そうです。相続財産であることには変わりありません。

ただし、例えば1,000万円の貸付金をDESした場合、株式の価値が1,000万円上がるかというと、そうはなりません。

自社株対策(相続時精算課税制度)

今後、順調に業績が伸びる会社の株式は、評価額もどんどん高くなります。

相続の時までほったらかしにすると、大変なことになるかもしれません。

その対策として、相続時精算課税制度を使うという方法があります。

以前の記事にもある通り、相続の時までに値上がりする財産について、相続時精算課税制度を適用した贈与をすると、値上がりした分は相続税の課税対象とはならないので、値上がり分に対応した相続税の節税を図ることができます。

相続時精算課税制度は、この制度を適用して贈与した財産を、一般の相続財産に足し戻して相続税を計算しなおす制度(相続時に相続税を課税して精算する制度)ですが、株式の所有権は、もらった人のままです。

この制度を適用すれば、通常の贈与では贈与税が多額にかかってしまう場合でも、2,500万円までは贈与税がかかりません。

評価額が高くなりやすい自社株の贈与に適していると言えます。

「2,500万円しか非課税枠がないのか。自社株の評価額は1億円なんだけどな。」という方がいらっしゃったら、1億円の相続時精算課税制度を適用するのも手です(キャッシュに余裕があるのが前提です)。

この場合、2,500万円を超えた7,500万円について、20%の贈与税(1,500万円)が課税されます。

この1,500万円は、相続の時に精算されますので、仮に相続税が1,000万円だったとしたら、500万円は還付してもらえます。

相続でもめることが予想される場合に、相続の前に株式を後継者に贈与でき、贈与税が払いっぱなしにならずに済むという点で、大変メリットがあります。

また、贈与するのであれば、自社株の評価額が低い時に贈与するようにしましょう。

事業承継は、株式の問題!

メモ魔税理士のメモ
事業承継における最大のネックは、業績の良い会社ほど株式の評価額が高く、移転税コスト(相続税、贈与税)の負担が大きくなってしまうこと。まずは、評価額が高くなっている要因を特定し、その要因解消のために、効果的でかつ実行可能な対策を探っていく。


結局、株ですよね、問題は。

税務を無視したスキームで移転しようとすると、後々大変な目に遭いますので、ご注意を!

このテクニックを知っているか?ずっと住まなくても小規模宅地等の特例の適用は受けられる!それなら特例の適用を受けつつ売却して相続人間でお金を分けっこしよう!

お亡くなりになった方が住んでいた自宅の敷地は、相続の仕方によっては、評価額が安くなります。

でも、それにこだわると、遺産分けがうまくいかなかったりします。

ところが、評価額を下げつつ、平等に分ける方法があります。

亡くなった方が住んでいた自宅敷地は配偶者が取得すれば、いつ売却しても100坪まで8割引評価!

配偶者が自宅の敷地を相続した場合には、すぐに売却しても8割引の特例の適用(「特定居住用宅地等の小規模宅地等の特例」)が受けられます。

とは言っても、売却してしまうと配偶者の方が住むところがなくなってしまいますから、考えられるパターンとしては、相続を機に、お子さんの家に同居するような場合でしょうか。

計算してみると、損しそうな場合がある!

ただし、この場合には、お金で分けっこすると、評価減の効果が薄れるのでは?という事態が生じます。

相続財産が
○自宅敷地:3,000万円(100坪)
○自宅建物:3,000万円

の合計6,000万円だったとします。

そして、相続人が
配偶者・長男・次男
の3人だとします。

配偶者が全財産を取得すれば、特例の適用により
○自宅敷地:600万円
○自宅建物:3,000万円

合計3,600万円になります。

ここで、6,000万円の財産を三等分しようという話になったとします。
全財産を相続した配偶者が、二人の息子に2,000万円ずつお金であげます(これを「代償分割金」と言います)。

そうすると、特例の適用後の評価額が、
配偶者:3,600万円△2,000万円△2,000万円=△400万円→0円(切捨て)
長男:2,000万円
次男:2,000万円

合計4,000万円になります。

あれっ?財産の合計額が400万円増えちゃった!

ところがどっこい、動いた現金を調整計算できる規定がある!

このような事態にならないように、動いた現金をストレートに計算に影響させない仕組みがあります。

ご興味のある方は相続税基本通達11の2-10(代償財産の価額)をご覧ください。

亡くなった方に同居親族がいなければ、持ち家無しの相続人が自宅敷地を相続すれば、申告期限まで持っているだけで同じく100坪まで8割引評価!

同じように相続財産が
○自宅敷地:3,000万円(100坪)
○自宅建物:3,000万円

の合計6,000万円だったとします。

相続人が
長男・次男
だったとします。

そして、
○長男:持ち家有り
○次男:持ち家無し
○亡くなった方が1人暮らしだった

とします。

この場合、次男が自宅敷地を相続し、申告期限まで保有していれば、8割引の特例の適用が受けられます。

後々売るにしても、長男が相続しないところがミソです。

お金の分けっこは申告期限内に遺産分割協議の枠内でやらないとダメ!でも持ち家無しの相続人が相続する場合には申告期限まで自宅敷地を持っていないとダメ!

でも、長男が「全財産を次男が相続するのは納得いかない」という場合もあるでしょう。

次男が3,000万円持っていればOK

次男が自己資金で3,000万円持っていれば、「全財産を次男が相続する代わりに、その代償として次男が長男に3,000万円の代償分割金を支払う」という遺産分割でOKです。

長男は全財産の1/2相当額の現金をもらえるし、次男の相続した土地は特例の適用を受けることができます。

次男が3,000万円持っていない場合は?

次男は、申告期限前に土地を売却して、長男に渡す代償分割金を捻出する、という方法を取れません。

そうすると、申告期限まで保有していないので、特例の適用を受けることができなくなってしまうからです。

そこで、次のステップを踏みます。

遺産未分割として申告する

法定相続分で相続したものとして、特例の適用を受けずに相続税の申告をします。

90万円ずつ、計180万円の納税です。

ここは何とか資金をかき集めてください!

自宅売却の交渉をし、売却金額を確定する

売却金額が5,000万円で決まったとします。

譲渡所得税を支払った後の手残りが4,000万円だったとします(説明上、切りのいい数字に合わせました)。

次男が長男にこの金額の半分の2,000万円を支払うことで納得したとします。

「全財産次男相続、代償分割金次男→長男2,000万円」の遺産分割協議をし、それを元に相続税の申告をする

申告期限前に売却していないので、次男は特例の適用を受けることができます。

特例適用後の全財産の評価額は3,600万円となり、相続人2人の場合の基礎控除額4,200万円を下回るので、相続税0、未分割で申告した相続税180万円は全額還付されます。

未分割でも小規模宅地等の特例の適用をあきらめないこと!

未分割の土地については、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。

ただし、後から分割されれば、受けられる可能性があります(もちろん、その土地が小規模宅地等の特例の適用を受けられる土地であることが前提ですよ)。

ですから、例え土地が未分割だったとしても、申告期限内に未分割としてきちんと申告をし、その際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付しましょう。

そうすれば、実際に3年以内に分割された場合には、未分割で申告したことにより納め過ぎになった税金を還付してもらう、更正の請求を行うことができます。

もし、3年以内に分割されなかったら、もうダメなのかというと、そうではなく、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出しておきましょう。

この承認申請書の提出期限は、相続税の法定申告期限から3年を経過する日の翌日から2月を経過する日です。

そして、分割ができることとなった日とされる日の翌日から4ヶ月以内に実際に分割が行われれば、特例の適用を受けることができます。

遺留分の減殺請求があっても小規模宅地等の特例が適用できる?

今回の結論
★小規模宅地等の特例の適用対象地を、遺言で全部自分が取得すれば、どんなにモメていても、いったんは小規模宅地等の特例を適用することができる。

小規模宅地等の特例の適用を誰が受けるかは、実はすごく重要かつデリケートな問題!

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、小規模宅地等の特例の適用が受けられる土地を取得したすべての相続人の同意が必要です。

適用を受けるかどうかにより、相続人間で税負担の違いが出てくるからです。

例えば、自宅の敷地を相続したAさんと、工場の敷地を相続したBさんがいるとします。

Aさんが相続した自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用するAパターンの方が、相続税の総額が安くなるとしても、Bさんの相続税だけのことを考えると、工場の敷地に小規模宅地等の特例を適用するBパターンの方が、Bさんの相続税はAパターンに比べ、格段に安くなる、ということもあります。

ですから、「相続人間で、どの土地に小規模宅地等の特例を適用するのか、ちゃんと決めてね」ということで、相続税の申告書には同意書の添付が要件となります。

未分割の場合は当然ですが小規模宅地等の特例の適用は受けられません!

遺産分割協議における相続人間の話し合いがまとまらない場合、どの土地(誰が相続した土地)に小規模宅地等の特例を適用するかなんて、遺産自体が分けられていないので、決めようがありません。

このような場合には、法定相続分で各相続人が相続したものとして、特例の適用を受けずに、高めの相続税をいったん納めることになります。

遺言があるけどもめている場合はどうなるの?

「相続人Aに全財産を相続させる」という遺言があれば、全不動産の相続人Aさんへの名義書換は可能です。

遺産分割ができているものとして、小規模宅地等の特例の適用を受けて、相続税の申告書を提出することができます。

しかし、遺言により財産をもらえなかった相続人Bさんにも、財産をもらう権利が認められる場合があります。

その場合、そのBさんは遺留分の減殺請求を家庭裁判所に行い、遺留分相当の財産を取得することができます。

つまり、土地の取得者が変わってしまう可能性があるのです。

「それじゃあ、小規模宅地等の特例の適用はできないんじゃない?」とお思いになるかもしれませんが、きちんとした遺言があり、それに基づいて申告することには、何ら不備がありませんし、遺留分の減殺請求をされるかどうかは、申告の時点ではまだ分かりません

相続税の申告期限は、10ヶ月ですが、遺留分の減殺請求の期限は1年だからです。

ですから、その後、遺産分割の内容が変わる可能性があっても、Aさんは小規模宅地等の特例の適用を使い、相続税の申告をすることができるのです。

長期入院していた場合の小規模宅地等の特例の適用は?

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

私の父は、亡くなる前の2年間、病気治療のため病院に入院して、そのまま病院で亡くなりました。

相続税の申告では、自宅の敷地については最大で8割引きの安い評価ができると聞きました。

私の父の場合には、自宅と言っても、2年間ずっと空家になっていた訳ですが、このような場合にも小規模宅地等の特例は適用できるのでしょうか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

小規模宅地等の特例は、お亡くなりになった方や相続人の方が「住んでいた」土地や、「事業に使っていた」土地などについて、評価額を下げて申告できる、という制度です。

ご自宅の敷地とはいえ、ずっと空家になっていたため、「住んでいた」ことにならないのではないか、ということですね?

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

はい、一度も家には戻れませんでした。

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

入院について考えてみると、結果的にはずっとご自宅に帰れなかったとしても、治療して回復したら、また家に帰ろうと思っていらっしゃった訳です。

つまり、一時的に空家になっていた、と見ることができます。

もし、お父様が入院した後に、そのご自宅を他の用途に使っていた、ということであると、住むところを病院の方に移した、ということになりますが、そのようなことがなければ、生活の拠点はご自宅のまま、と言えますので、たとえ2年間空家だったとしても、ご自宅について、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

可能性がある、ということは、適用できない場合もあるのですか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

小規模宅地等の特例は、その土地の「取得者の要件」があります。

お母様は御健在ですか?

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

母は、父よりも先に亡くなっています。

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

お亡くなりになった方の配偶者の方がいらっしゃらず、同居されていた親族の方もいらっしゃらなかったということは、相続人の方は、お亡くなりになった方と同居していない方のみ、ということですね?

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

そうなります。

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

そのような場合、例えばあなたがお父様のご自宅の敷地を相続するとしたら、あなたやあなたの旦那さんが、お亡くなりになる日前3年以内の間に、マイホームをお持ちでなく、アパートなどにお住まいであれば、適用できる可能性がかなり高いです。同居されていなかった親族の方が相続した場合の、お亡くなりになった方のご自宅の敷地についての小規模宅地等の特例の取得者の要件は、下記のようになっています。

<①から③の全てに該当する場合で、かつ、次の④及び⑤の要件を満たす人>
①相続開始の時において、被相続人(お亡くなりになった方)若しくは相続人が日本国内に住所を有していること、又は、相続人が日本国内に住所を有しない場合で日本国籍を有していること
②被相続人に配偶者がいないこと
③被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと
④相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
⑤その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

小規模宅地等の特例には遺産分割協議書の他に同意書が必要!

今回の結論
★相続人間で話し合うのは、財産の分け方だけじゃない!誰が取得した土地に小規模宅地等の特例を適用するかも決めること!


遺産分割協議で、どの財産を、誰が相続するか、ということを決め、相続人全員で納得の上、署名押印まで完了していたとしても、相続税の申告を考えると、それだけでは不十分です。相続税の申告で、誰が相続したどの土地に小規模宅地等の特例を適用するかの話し合いは、まだ終わっていないからです。

「えっ?そんなことも話し合わなくちゃいけないの?」と思うかもしれませんが、自分が相続した土地に小規模宅地等の特例を適用した相続人は相続税が安くなり、特例の適用メリットをダイレクトに享受できますが、他の適用を受けられる土地を相続したけど適用をしなかった相続人にとっては、その特例の適用メリットをダイレクトには享受できません

相続人間で有利不利が出る訳ですから、どちらの土地について特例の適用を受けるか、話し合って明確に決める必要があります。

税務署側も、「相続人全員で話し合って、(例えば)長男が相続した自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用するということで、相続人全員が同意しました」という同意書がないと、小規模宅地等の特例の適用は認めてくれません。

同意書がなくてもよいということになると、どうなると思いますか?

これは、相続人が別々に相続税の申告書を提出する場合を想像すれば、簡単にご理解いただけます(通常は共同提出です)。

長男が提出した相続税の申告書では、長男が相続した自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用している、次男が提出した相続税の申告書では、次男が相続した賃貸アパートの敷地に小規模宅地等の特例を適用している、というような事態が発生します。

結局どちらに小規模宅地等の特例を適用するの?という話になるので、同意書が必要なのです。

「その『同意書』の書式は決まっているの?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

実は、相続税の申告書の中に、「小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」(第11・11の2表の付表1)というものがあるのですが、ここに、小規模宅地等の特例の適用について、同意した相続人の氏名を書く欄があります

実務上は、これをもって同意書としています。

小規模宅地等の特例は不公平!

今回の結論
★自分が取得した土地に小規模宅地等の特例を適用できた相続人は、他の相続人に比べて税負担が低くなる!

ほとんどの申告書に登場します!

相続税の申告には、税金が安くなる様々な特例がありますが、その中でも代表的なものが「小規模宅地等の特例」です。

これは、「相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、お亡くなりになる直前において、お亡くなりになった方や相続人の方の事業の用に供されていた宅地等又は居住の用に供されていた宅地等については、一定の面積まで8割引、又は、5割引で評価してもいい」という規定です。

不動産が自宅しかない場合でも、自宅の敷地を配偶者の方が相続すれば、100坪(330㎡)まで8割引になりますので、ほとんどの申告でこの小規模宅地等の特例を適用することになると言っても過言ではないでしょう。

有利な分、不公平感がある小規模宅地等の特例

土地が自宅の敷地しかない場合には、その自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用すればいいので、特に問題はないのですが、小規模宅地等の特例の適用を受けることができる土地が複数ある場合にはどうなるでしょうか?

相続人の立場で考えてみると、自分が相続した土地に小規模宅地等の特例を適用すれば、その分、自分の相続財産としての土地の評価額が下がり、自分の納める相続税も安くなります。

ただし、小規模宅地等の特例には、面積の限度と、2段階の割引率(8割引・5割引)があります。

例えば、土地が自宅の敷地と賃貸アパートの敷地の場合、どちらも一定の要件を満たせば、
A 長男が相続した自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用する場合には、330㎡までの部分を8割引評価
B 次男が相続した賃貸アパートの敷地に小規模宅地等の特例を適用する場合には、200㎡までの部分を5割引評価

のどちらかを選択することになります(限度面積まで達しなかったら、もう片方も一定の面積まで選択可能です)。

相続税は、いったん全体の相続財産を合計してから相続税を計算するため、AとBで評価額の引き下げ幅が大きい方を選んだ方が、全体の相続税が安くなります。

したがって、自宅と賃貸アパートが同じような場所にあれば、Aを選択した方が全体の相続税は安くなります。

しかし、Aは8割も安くなるため、自宅の敷地と賃貸アパートの敷地が同じくらいの面積で同じような価値にもかかわらず、長男と次男の相続税の負担が大きく変わってきます。

そうすると、次男の方に不公平感が生じます。

この場合、長男の方は、この点に配慮することも必要です。

二世帯住宅を建てる『あなた』へ!(過去記事ダイジェスト版)

特定居住用宅地等の要件+二世帯住宅に係る改正

特定居住用宅地等の要件

お亡くなりになった方が住んでいた宅地

イ 配偶者が相続
ロ 同居親族が相続(他の要件有)
ハ 一定の別居親族が相続(他の要件有)

お亡くなりになった方の生計一親族が住んでいた宅地

イ 配偶者が相続
ロ 生計一親族が相続(他の要件有)

※上記の「一定」とは、
(ⅰ)お亡くなりになった方に配偶者及び同居親族がいない、
(ⅱ)死亡日前3年以内に国内にある自分又は自分の配偶者が所有している自宅に住んだことがない
などの要件を満たすことをいいます

※上記の「他の要件」とは、

居住継続要件・所有継続要件
などをいいます

二世帯住宅に係る改正

①区分所有していないことを条件として、「お亡くなりになった方の親族が住んでいた宅地」をAの「お亡くなりになった方が住んでいた宅地」に含める(その親族が生計一か生計別かは関係なし)

②区分所有されている場合には、同じ区分に住んでいた親族のみが同居親族扱い、

③区分所有されていない場合には、二世帯住宅内に住んでいる親族ならば同居親族扱い

二世帯住宅と小規模宅地等の特例<基本編>

二世帯住宅に係る小規模宅地等の特例については、平成26年(今年)以降の相続から、一部改正がありました。

小規模宅地等の特例の種類について、
①特定居住用宅地等
②特定事業用宅地等
③特定同族会社事業用宅地等
④貸付事業用宅地等
⑤日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等

の5種類があり、
この中の「①特定居住用宅地等」とは、
A「お亡くなりになった方が住んでいた宅地で一定のもの」
又は
B「お亡くなりになった方と生計を一にしていた親族が住んでいた宅地で一定のもの」
です。

「①特定居住用宅地等」については、
まずA「お亡くなりになった方が住んでいた宅地」の場合、
イ配偶者
ロ同居親族
ハ一定の別居親族
が相続した場合にのみ、小規模宅地等の特例が適用できます(ロ・ハについては、他にも要件がありますが)。

次にB「お亡くなりになった方と生計を一にしていた親族が住んでいた宅地」の場合、
イ配偶者
ロ生計一親族
が相続した場合にのみ、小規模宅地等の特例が適用できます(同じくロについては、他にも要件があります)。

二世帯住宅の場合には、区分所有していないことを条件として、Aの「お亡くなりになった方が住んでいた宅地」には、「お亡くなりになった方の親族が住んでいた宅地」を含むものとされました。

つまり、二世帯住宅の1階にお亡くなりになった方が住んでいて、2階にお亡くなりになった方の親族が住んでいた場合、この二世帯住宅が区分所有されていれば、建物の敷地のうちの半分(1階に対応する部分)のみが、「お亡くなりになった方が住んでいた宅地」になりますが、この二世帯住宅が区分所有されていなければ、建物の敷地の全体(1階に対応する部分だけでなく、親族が住んでいる2階に対応する部分まで)が、Aの「お亡くなりになった方が住んでいた宅地」に該当することになります。

二世帯住宅と小規模宅地等の特例(1)

次の二世帯住宅は、小規模宅地等の特例の適用を受けられるでしょうか?

[今回の二世帯住宅の状況]
・1階に太郎花子夫婦、2階に長男の陽一が住んでいる
・1階と2階は建物内部では行き来ができない
・区分所有ではない
・太郎花子夫婦と陽一は、生計一である(生計一については、以前の記事をご参照ください)

「特定居住用宅地等の要件+二世帯住宅に係る改正」を基に考えると……。

①区分所有ではないことから、親族(陽一)が住んでいる建物に対応する土地も太郎が住んでいた土地として取扱うことができます。つまり土地全体を太郎が住んでいた土地として取扱うことができます。

②区分所有ではないことから、陽一は太郎の同居親族となります。

→【結論】[特定居住用宅地等の要件]のAロに該当し、土地全体が小規模宅地等の特例対象です(他の要件を満たせば)。

二世帯住宅と小規模宅地等の特例(2)

次の二世帯住宅は、小規模宅地等の特例の適用を受けられるでしょうか?

[今回の二世帯住宅の状況]
・1階に太郎花子夫婦、2階に長男の陽一が住んでいる
・1階と2階は建物内部では行き来ができない
・区分所有である
・太郎花子夫婦と陽一は、生計別である(生計一については、以前の記事をご参照ください)

「特定居住用宅地等の要件+二世帯住宅に係る改正」を基に考えると……。

①区分所有ですから、親族(陽一)が住んでいる建物に対応する土地は、太郎が住んでいた土地として取扱うことができません。

②陽一は、区分所有された建物の、太郎とは別の区分に住んでいたので、別居親族として取扱われます。

→【結論]太郎には花子という配偶者がいますので、陽一は「一定」の別居親族には該当しません。

したがって[特定居住用宅地等の要件]のAはアウト。陽一は生計別ですからBもアウト。つまり、小規模宅地等の特例は全く受けられません。

二世帯住宅と小規模宅地等の特例(3)

次の二世帯住宅は、小規模宅地等の特例の適用を受けられるでしょうか?

[今回の二世帯住宅の状況]
・1階に太郎花子夫婦、2階に長男の陽一が住んでいる
・1階と2階は建物内部で行き来することができる
・区分所有ではない
・太郎花子夫婦と陽一は、生計一でも生計別でも結論は同じ

「特定居住用宅地等の要件+二世帯住宅に係る改正」を基に考えると……。

①建物内部で行き来することができるので、建物の2階に対応する土地も太郎が住んでいた土地として取扱うことができます。

つまり、土地全体を太郎が住んでいた土地として取扱うことができます。

②建物内部で行き来することができるので、陽一は太郎の同居親族となります。

→【結論】[特定居住用宅地等の要件]のAロに該当し、土地全体が小規模宅地等の特例対象です(他の要件を満たせば)。

二世帯住宅と小規模宅地等の特例(4)

次の二世帯住宅は、小規模宅地等の特例の適用を受けられるでしょうか?

[今回の二世帯住宅の状況]
・1階に太郎花子夫婦、2階に長男の陽一が住んでいる
・1階と2階は建物内部では行き来ができない
・区分所有ではない
・太郎と陽一は、生計一でも生計別でも結論は同じ

「特定居住用宅地等の要件+二世帯住宅に係る改正」を基に考えると……。

①区分所有ではないことから、親族(陽一)が住んでいる建物に対応する土地も太郎が住んでいた土地として取扱うことができます。

つまり土地全体を太郎が住んでいた土地として取扱うことができます。

②区分所有ではないことから、陽一は太郎の同居親族となります。

→【結論】[特定居住用宅地等の要件]のAロに該当し、土地全体が小規模宅地等の特例対象です(他の要件を満たせば)。

二世帯住宅と小規模宅地等の特例(5)

次の二世帯住宅は、小規模宅地等の特例の適用を受けられるでしょうか?

[今回の二世帯住宅の状況]
・1階に太郎が一人で、2階に長男の陽一が住んでいる
・1階と2階は建物内部では行き来ができない
・区分所有である
・太郎と陽一は、生計一である

「特定居住用宅地等の要件+二世帯住宅に係る改正」を基に考えると……。

①区分所有ですから、親族(陽一)が住んでいる建物に対応する土地は、太郎が住んでいた土地として取扱うことができません。

②陽一は、区分所有された建物の、太郎とは別の区分に住んでいたので、別居親族として取扱われます。

→【結論]陽一は太郎の生計一親族なので、建物の2階に対応する土地のみが[特定居住用宅地等の要件]Bロに該当し、小規模宅地等の特例対象です(他の要件を満たせば)。

自宅敷地は配偶者、自宅建物は生計別の親族が相続した場合の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)は?

お亡くなりになった方の自宅について、 敷地は配偶者、建物は生計別の親族が相続した場合、小規模宅地等の特例の適用はできるでしょうか?

小規模宅地等の特例について勉強した方は、「生計別」が出てくると、適用できないとお考えになるかもしれません。

でも、この場合、住んでいたのは、あくまでもお亡くなりになった方、そして相続したのは配偶者ですから、 例え建物を生計別の親族が相続したとしても、そして、その建物に配偶者の方が住まなくても、 小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

配偶者が相続した場合には、「その宅地をずっと持っていること」や「その宅地にずっと住んでいること」という要件がないからです。

アパート建築による節税対策の話に慣れている方は、貸家建付地の評価減を適用するために、上下(建物と土地)の取得者を一緒にしなければ、と考えてしまう「クセ」が付いているかもしれません。

しかし、一次相続・二次相続をトータルで考えた場合、このパターンで相続した方が良い場合も考えられますので、ご注意を。

相続した後すぐに売却しても「小規模宅地等の特例」が適用できる場合がある!

お亡くなりになった方が住んでいた宅地について、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、通常は、相続した方がその後、申告期限まで「その宅地をずっと持っていること」や「その宅地にずっと住んでいること」が要件となります。

ところが、配偶者が取得した場合には、そのような要件が一切ないため、他の土地に住んでいようが、その宅地を売ってしまおうが、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

自宅の敷地を配偶者の方が取得した場合には、相続の後、取得した配偶者の方が子供の家に同居することになっても、小規模宅地等の特例の適用を受けることができますので、ご注意を。

配偶者がいる場合に別居の生計一親族が取得した別居宅の敷地は相続税の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用可?

配偶者や同居親族がいる場合には、別居の生計一親族が自宅の敷地を取得しても、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用が受けられないと書いたことがあります。

では、その生計一親族が、自宅ではなく、自分が住んでいた別居宅の敷地を相続した場合はどうでしょうか?

生計一親族が住んでいた宅地については、

①配偶者が取得した場合には、細かい要件がないので、適用を受けることができます。

②生計一親族が取得した場合(タイトルにあるパターンですね)には、細かい要件が出てきます。

申告期限まで「その宅地をずっと持っていること」や「その宅地にずっと住んでいること」という要件です。

それに加えて、その別居宅の建物が、お亡くなりになった方の所有でも、生計一親族の所有でも良いのですが、どちらの場合でも、地代や家賃を発生させず、タダで貸し借りしていることが要件となります。

これらの要件を満たせば、相続税の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けることができます。

自宅敷地は同居していた子供、自宅建物は配偶者が相続した場合で、子供がその建物に住み続けるときの相続税の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)は?

タイトルにあるパターンは、上下(建物と土地)の取得者が違うパターンです。

お亡くなりになった方の自宅敷地については、配偶者又は同居親族がいるかどうか、で要件が変わってきます。

配偶者又は同居親族がいる場合には、

①配偶者が自宅敷地を相続した場合には、細かい要件がないので、適用を受けることができます。

②同居親族が相続した場合(タイトルにあるパターンですね)には、細かい要件が出てきます。

申告期限まで「その宅地をずっと持っていること」や「その宅地にずっと住んでいること」という要件です。

そして、このタイトルにあるパターンの場合、土地の持ち主(子供)と建物の持ち主(土地の借り主・配偶者)、建物の持ち主(配偶者)と建物の住み主(建物の借り主・子供)がそれぞれ違う訳ですが、その違うもの同士の間で、地代や家賃を発生させず、タダで貸し借りしていることも要件となります。

これらの要件を満たせば、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けることができます。

自宅の敷地だけではありません!「小規模宅地等の特例」の適用が受けられる大まかなパターン

テレビや新聞などの報道では、自宅の敷地についての適用ばかりが話題となりますが、自宅の敷地以外でも、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができます。

①特定居住用宅地等

お亡くなりになった方か、お亡くなりになった方と生計を一にしていた親族が住んでいた宅地で一定のもの

②特定事業用宅地等

お亡くなりになった方か、お亡くなりになった方と生計を一にしていた親族の事業に使っていた宅地で一定のもの

③特定同族会社事業用宅地等

お亡くなりになった方やその親族などが過半数の株式を所有している同族会社に貸していた宅地で一定のもの

④貸付事業用宅地等

お亡くなりになった方か、お亡くなりになった方と生計を一にしていた親族の貸付事業に使っていた宅地で一定のもの

⑤日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等

郵便局の敷地のうち一定のもの

同居親族の小規模宅地等の特例の要件

イケメン税務調査苦手社長イケメン税務調査苦手社長

先日、同居していた父が亡くなりました。

自宅の建物及び敷地は父名義です。

この自宅を私が相続しようと思うのですが、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、どのような要件を満たせばよいのでしょうか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

同居されていた親族の場合、相続税の申告期限(お亡くなりになってから10ヶ月以内)まで、その敷地を継続して所有し、その敷地に継続して居住していれば、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

配偶者がいる場合に別居の生計一親族が取得した自宅の敷地は相続税の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用可?

お亡くなりになった方の自宅敷地について、相続税の小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、配偶者又は同居親族がいるかどうかが、要件に影響してきます。

配偶者又は同居親族がいる場合には、配偶者か同居親族が相続した場合しか、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)が適用できません。

ですから、タイトルにあるパターンの場合、生計一親族が取得しても、相続税の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)は適用できませんので、ご注意を。

小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等は、同居していなくても「生計一」なら適用可!

お亡くなりになった方が長男の持ち家に同居していて、その長男宅以外のところに持っていた土地を次男に貸して、次男がその土地の上に家を建てて住んでいた場合、次男が相続でその土地を取得し、申告期限までずっと所有し、居住していれば、お亡くなりになった方とその次男が生計を一にしていて、その土地の貸し付けが無償であるときには、特定居住用宅地等として、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

自宅以外の場所でも、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けられる場合がありますので、ご注意を。

老人ホーム入居と小規模宅地等の特例(2-1)

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

隣の家のZさんは、お亡くなりになった時に老人ホームに入居していました。

この場合、Zさんの自宅の敷地については、お亡くなりになる前に自宅に住んでいなかったので、小規模宅地等の特例の適用は受けられないのでしょうか?

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平成26年以降の相続については、老人ホームへの入居により、お亡くなりになった方が住まなくなった自宅敷地であっても、下記(イ)~(ハ)の要件を満たせば、お亡くなりになった直前において、その自宅敷地に住んでいたものとされることになりました。

(イ)お亡くなりになった方が、介護保険法に規定する要介護認定又は要支援認定を受けていたことにより、下記①~⑦に入居されていたこと、若しくは、お亡くなりになった方が、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援区分の認定を受けていたことにより、この法律に規定する障害者支援施設(施設入所支援が行われるものに限ります)又は共同生活支援を行う住居に入所等をしていたこと
①認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居
②養護老人ホーム
③特別養護老人ホーム
④軽費老人ホーム
⑤有料老人ホーム
⑥介護老人保健施設
⑦サービス付き高齢者向け住宅

(ロ)その自宅家屋が貸付を含む事業の用(貸付けを含みます)に供されていないこと

(ハ)「(お亡くなりになった方)又は(そのお亡くなりになった方と生計を一にし、かつ、その自宅家屋に引き続き居住している親族)」以外の方の居住の用に供されていないこと

老人ホーム入居と小規模宅地等の特例(2-2)

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

隣の家のZさんは、昨日もお話しした通り、老人ホームに入居したままお亡くなりになってしまいましたが、老人ホームに入居した時には、要介護認定を受けていませんでした。

この場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けられないのでしょうか?

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「要介護認定又は要支援認定を受けていた」という要件は、老人ホームに入居した時点で判断するのではなく、お亡くなりになった直前で判断します。

小規模宅地等の特例の改正

特定居住用宅地等:240㎡→330㎡
特定居住用宅地等+特定事業用宅地等:400㎡→730㎡

平成27年から基礎控除額の縮小などにより、相続税が増税となります。

それと合わせて、小規模宅地等の特例に改正があります。

特定居住用宅地等の適用限度面積の拡大

従来は240㎡までしか適用できませんでしたが、平成27年からは330㎡まで適用することができます。

相続税の増税が都心に住む方に与える影響を緩和するためのものと言われています。

しかし、自宅の敷地が240㎡以下の方にとっては何の意味もありません。

むしろ自宅の敷地が広い地方での相続に恩恵がありそうです。

特定居住用と特定事業用の併用時の適用限度面積の拡大

従来は特定居住用宅地等が240㎡まで、特定事業用宅地等が400㎡までしかそれぞれ適用できず、例えば自宅の敷地が240㎡あり、個人で経営する商店の敷地が400㎡ある場合、どちらも適用対象になっても、結局は合計で400㎡の頭打ちがあることにより、特定事業用宅地等の面積分しか適用が受けられないような感じでした。

平成27年からは、特定居住用宅地等の適用限度面積の拡大(330㎡)とともに、合計適用限度面積が拡大され、730㎡となります。

特定居住用宅地等が330㎡までであり、特定事業用宅地等が400㎡までであれば、どちらも丸々適用が受けられる形です。

お亡くなりになった方がずっと入院していたら、「自宅に住んでいた」ことにならない?

「小規模宅地等の特例」の対象の1つである「特定居住用宅地等」は、

Aお亡くなりになった方が住んでいた宅地
か、又は
Bお亡くなりになった方と生計を一にしていた親族が住んでいた宅地

であることが、まず1つ目の要件となります。

Aを採用しようとする場合、お亡くなりになった方が、お亡くなりになる前にずっと入院していたとしたら、その方のご自宅は空き家になっている訳ですが、その敷地は「住んでいた」宅地と言えるでしょうか?

入院するのは、病気を治して、また元のように、ご自宅で生活するためです。

自宅にずっといなかったとしても、それは一時的なものであり、あくまでも生活の拠点はご自宅である、と考えることができます。

例え、入院先の病院でお亡くなりになったとしても、それをもって、病院が生活の拠点だったと考えるのは、いかがなものかと思われます。

入院を機に、ご自宅を他の人に貸していたりした場合は別ですが、住める状態に保たれているのであれば、その敷地は、Aの「お亡くなりになった方が住んでいた宅地」に該当します。

遺言により取得した宅地でも小規模宅地等の特例の適用を受けられる?

遺言がない場合には、法定相続人(自分の子供や連れ合いの方など)だけが財産を取得できます。

相続人以外の方に財産を取得させたい場合には、遺言を書けば取得させることができます(「遺贈」と言います)。

小規模宅地等の特例は、「被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの」が対象です。

つまり、「遺贈」でも対象となりますが、「被相続人の親族」であることが要件です。

「配偶者、六親等内の血族及び三親等内の姻族」が「親族」です。

したがって、
①子供や連れ合いの方などの法定相続人が遺言により取得した場合→親族なので適用できる(〇)
②法定相続人以外の親族(例えば「イトコ(従兄等)」)が遺言により取得した場合→親族なので適用できる(〇)
③親族以外(友人や近所の他人の方)が遺言により取得した場合→親族ではないので適用できない(×)
となります。

今話題の相続宅地最大8割引特例(「小規模宅地等の特例」)って、結局何なの?

相続税の計算においては、「基礎控除額」という非課税枠があり、相続財産の金額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。

この基礎控除額が平成27年から縮小され、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
となります。

法定相続人が2人であれば、今年までは
5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円
だったものが、
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
となります。

相続税を払う人が増大する、とテレビや新聞などで報道されているのは、このためです。

この時、必ずと言って良いほど話題になり解説されるのが、「小規模宅地等の特例」です。

要件を満たせば、宅地のうち、一定の面積部分について、最大8割引で評価をすることができます。

例えば、来年相続人が子供2人の相続があった場合、
相続財産が通常の計算で
○70坪の自宅敷地2,000万円
○自宅建物1,000万円
○その他の財産2,000万円
(合計5,000万円)
だとすると、基礎控除額4,200万円を超えていますので、相続税がかかります。

自宅敷地について小規模宅地等の特例の適用が受けられれば、1,600万円(=2,000万円×80%)評価額が減少しますので、相続財産の合計が5,000万円-1,600万円=3,400万円となり、4,200万円以下となりますので、相続税がかからなくなります。

だからといって、相続税の申告もしなくて良いわけではありません。

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、相続税の申告が要件となっていますので、ご注意を。

また、小規模宅地等の特例の適用パターンは、それぞれ「取得者」が決まっています。

ということは、「取得者」が決まっていない「未分割」の状態では、適用を受けることができませんので、こちらもご注意を。

「生計一」とは?

昨日の記事で、「生計を一」にしていた次男の自宅の敷地が、特定居住用宅地等として、小規模宅地等の特例の適用を受けられる場合があると書きました。

この「生計を一」についての裁決事例や通達の記述は以下の通りです。

(平20.6.26、裁決事例集No.75 645頁)
①「生計を一にしていた」とは、同一の生活単位に属し、相助けて共同の生活を営み、ないしは日常生活の資を共通にしている場合をいい、「生計」とは、暮らしを立てるための手立てであって、通常、日常生活の経済的側面を指すものと解される。したがって、被相続人と同居していた親族は、明らかにお互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、一般に「生計を一にしていた」ものと推認されるが、別居していた親族が「生計を一にしていた」ものとされるためには、その親族が被相続人と日常生活の資を共通にしていたことを要し、その判断は社会通念に照らして個々になされるところ、少なくとも居住費、食費、光熱費その他日常の生活に係る費用の全部又は主要な部分を共通にしていた関係にあったことを要すると解される。
②生計を一にしていた親族とは、被相続人と同一の生活共同体に属し、必ずしも同一の家屋内で起居を共にする必要はないが、少なくとも日常生活に係る費用やその他生活の糧を支弁し合うような親族を指す。

(所得税基本通達)
2-47 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1)勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2)親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

老人ホームに入っていて自宅が空家状態になっていた場合の小規模宅地等の特例の適用

メモ魔税理士のメモ
お亡くなりになった方が住んでいた土地(要は自宅の敷地)については、100坪までなら8割引の評価でいいという特例がある

しかし、お亡くなりになった方が老人ホームにずっと入所されていて、そのまま自宅に戻らずにお亡くなりになった場合には、自宅の敷地には住んでいなかったということになるので、その特例を受けると税務調査で否認されてしまうのではないかという心配が出てくる

こういった場合、下記の要件を満たせば、住んでいた土地として認められる

お亡くなりになった方が、
A介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと
B老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」といいます。)に入居又は入所(以下「入居等」といいます。)していたこと

ただし、下記の場合にはダメ

a自分が住む代わりに事業に使っていた
b自分が住む代わりに他の人に貸していた(生計を一にしていた親族に貸していた場合は大丈夫)


教育資金の非課税一括贈与の流れを整理!

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「おじいちゃん」から「孫」に、「銀行」で手続きした場合のパターンでお話します。

おじいちゃんの間で贈与契約を結ぶ

銀行が非課税口座を開設し、税務署に申告書を提出するここで税務署が非課税贈与があることを把握

おじいちゃん孫名義の非課税口座にお金を入れるこれが贈与。1,500万円まで非課税

は銀行の非課税口座からお金を引き出す

は教育費を学校などに支払う

教育費の領収書などを銀行に提出するちゃんと引き出されたお金が教育費に使われているかをここでチェック

銀行はその領収書などを保存しておく

銀行は契約が終了したら、調書を税務署に提出するお金を使い切っていなければ課税される贈与になるが、それがここで税務署にバレる
→この段階で、「引き出したけど教育費以外に使った贈与資金」と「使い切らなかった贈与資金」の合計額の贈与があったものとして贈与税の申告が必要(0なら不要)

相続はタイミングを選べないが、贈与はタイミングを選べる!だからこうする

相続税対策の定番は生前贈与です。

皆さんがよくやっているのが、現預金の贈与です。

あなたも110万円の非課税枠の範囲内で毎年贈与をしていらっしゃるかもしれません。

でも、100万円の札束は、贈与の時も100万円の評価ですし、相続の時も100万円の評価です

現金ではなく、あなたが持っている他の財産の方が、贈与すべきかも。

評価額が低い時に贈与する

あなたが上場株式を持っていたとします。

その上場企業が不祥事を起こしたり、決算の内容が悪かったりして、株価が急落していませんか?

贈与のチャンスです。

下がったらすぐに贈与しなくても大丈夫です。

上場株式の評価は、

①贈与日の株価
②贈与月の平均株価
③贈与月の前月の平均株価
④贈与月の前々月の平均株価

のうち、最も低い株価で計算するからです。

株価がどんどん下がっていたら、様子を見ます。

株価の上昇傾向が見られたら、贈与です。

株価が上がった後でも大丈夫です。

④の前々月の平均株価が採用できます。

相続の時に株価が何倍になっていたとしても、急落した時の株価で既に相続人の手に渡っているということになります。

評価額を下げて贈与する

あなたが中小企業の経営者である場合、あなたの相続で、財産に占める割合が最も高くなりがちなのは、自社株式です。

同族会社の株式などの非上場株式の場合には、「株主」かつ「経営者」であるあなた自身が、株価の変動に影響を与えることができます。

会社がどういう決算を組むか、会社がどういう資産を保有するか、で株価が変わるからです。

株価を下げて贈与するのです。

ちなみに、非上場株式の場合には、「類似業種比準価額」と「純資産価額」をベースに株価を計算します。

この「類似業種比準価額」は、御社の経営状態や財務内容だけでなく、それと比較する類似業種の「上場株式の株価」も絡ませるため、自社株式の計算に影響を及ぼす株式市場の動向も忘れずにチェックする必要がありますから、ご注意を!

小さな子供に贈与して税務署に認めてもらう方法

メモ魔税理士のメモ
★幼児への贈与は、幼児が財産の「価値」を認識できないし、「もらった」ことも認識できない、もらった後に財産を安全に管理する能力もないから、ある程度大きくなってからでないと贈与が成立し得ない、というのは間違い。
★幼児の法定代理人として親(親権者)がその代わりの役を引き受けられる。


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「孫が何歳になれば贈与できるの?」という質問を良く受けます。

「贈与が成立するのはどちらも○歳以上になった場合である」といった法律はありません。

つまり、「何歳でも大丈夫」というのが答えです。

贈与が成立するためには、「もらった」という認識が必要な訳ですが、実は、小さな子供どころか、「未成年者」の場合(つまり19歳まで)、親権者(通常は親)が代わりに「もらう」ということを意思表示できるのです。

未成年者への贈与の場合には、「贈与契約書」を作成しておきましょう。

親権者が財産をもらうことに同意した、という内容のものです。

また、親権者は子供の代わりに財産を管理することができます

ですから、通帳や印鑑を親が保管していたとしても、贈与が成立しない、ということにはなりません

子や孫にお金の贈与をするときに気を付けるべき3つのこと

メモ魔税理士のメモ
★親族間取引はいくらでも口裏合わせができると税務署は思っている。
★税務は形式ではなく実態で課税するが実態をより明らかにするためにも形式を整えることが重要。
★金銭贈与であれば「通帳振込で資金移動の記録を残す」「贈与者の印鑑で通帳を作らない」「もらう者が通帳・カード・印鑑を管理」


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人と人の間で物(今回はお金)が見返りを求めず動けば、それは贈与なんですが、その前提として、あげる方ともらう方に、それぞれ「あげるよ」「もらうよ」という意思がないとダメなんです。

だから、親が子供名義の口座を内緒で作って、そこにお金を振り込んだって、贈与にはなりません。

子供がもらったんだったら、子供が自由に使えないと。

無駄遣いしないように教育的配慮から通帳を預かっていた、というのは通用しませんよ!

だったらあげなきゃいいんじゃない?って話になっちゃいますからね。

子の配偶者や孫への生前贈与もおススメ!

今回の結論
★子供への贈与と同じ効果がありながら、3年以内の贈与財産の相続税加算も回避し、相続税の一代飛ばし効果もある!


メモ魔税理士のメモ
相続税がいっぱいかからないように、生前に贈与をしておこうと思いつく人はいっぱいいる

旦那さんや奥さんなどの、自分の配偶者に贈与しようとはしない
年齢的に相続が近い人に贈与すると、今回相続税がかからなくても、その時に相続税がかかるから

お子さんに毎年110万円ずつ、非課税の枠内で贈与しようとする

この方法のデメリットは2つ
お子さんの人数が限られているので、1年間に贈与する金額に限りがある
○毎年110万円ずつ贈与して贈与税が非課税になったとしても、相続の日からさかのぼって3年以内にした贈与による贈与財産については、そのお子さんが相続で財産を取得した場合には、その3年以内の贈与財産に対しても相続税がかかる(相続税の負担を下げるために生前に贈与したのに相続税がかかる)

このデメリットの解消方法は2つ
110万円を超えて贈与する
あまり金額が大きいと贈与税率が高くなってしまうので、想定される相続税の実効税率と比較して低い実効税率ならOKとして、お子さんに贈与税を払ってもらって贈与する
非課税限度額にとらわれない
お子さんの配偶者や孫にも贈与する
お子さんの配偶者や孫は相続人ではないので、3年以内の贈与に該当しても、相続税はかからない
お子さんとお子さんの配偶者や孫は財布が一緒なので、お子さんに贈与したのと同じ効果がある
(お子さんの配偶者や孫が遺言で財産を相続すると、3年以内の贈与財産に相続税がかかってくるので注意)
お子さんへの贈与の場合、
『祖父母(ご自分)→子→孫』
という財産の移転が、
『祖父母(ご自分)→孫』
になるので、相続税の課税回数が1回減る


押さえておきたい消費税率アップと住宅取得等資金の非課税贈与枠の大幅アップの関係!

今回の結論
★消費税率が10%にアップすると、住宅取得等資金の非課税贈与枠が、700万円から2,500万円と一気に3倍以上になる!
★省エネ等住宅なら、1,200万円から3,000万円に!(説明では割愛します)

家を建てるならもうちょっと待った方がいい?

元旦の日経新聞の広告にも出ていますが、再来年の平成31年(2019年)10月1日に、消費税率が10%にアップする予定です。

それに合わせて、住宅取得等資金の非課税贈与枠が、平成31年4月1日から平成32年3月31日の1年間だけ、2,500万円に引き上げられます

平成28年1月1日から平成31年3月31日までの非課税贈与枠が700万円ですので、この1年間だけは、メチャクチャな大盤振る舞いです。

そして、その次の平成32年4月1日から平成33年3月31日までの1年間は1,000万円、その後の平成33年4月1日から平成33年12月31日までは700万円と、徐々に非課税枠が縮小していきます。

非課税贈与枠は契約日で判断?それとも引渡日で判断?

非課税贈与枠がいくらになるかは、「契約の締結日」が上記のどの期間に含まれるか、により判定します。

ですから、2,500万円の非課税贈与枠の適用を受けようとする場合、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に完成引渡しを受ける必要はなく、その期間に契約を締結すればいいのです。

誰でも非課税贈与の特例を受けられるの?

主な「人」(受贈者)の要件について見ていきましょう(「家」の要件もありますからね)。

贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること

この特例の基本となる要件ですね。

自分の父母又は、祖父母からの贈与であることが要件です。

奥さん(又は旦那さん)の親などからの贈与には適用がありませんが、養子縁組をしていればOKです。

贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること

1月1日判定であることに注意しましょう。

贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること

ここは特に注意が必要です。

親子で同族会社の役員になっているような場合で、子供の役員報酬が高過ぎるような場合には、適用が受けられなくならないように注意しましょう。

平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと

税務署のパンフレットなどを見ると、平成26年までの贈与と、平成27年以降の贈与を区分していて、平成27年以降の非課税贈与制度を「新非課税制度」と言っています。

「新」に対する、ある意味「旧」の平成26年までの非課税贈与の適用を受けた場合には、「新非課税制度」の適用はありません。

逆に言うと、「新非課税制度」で、例えば平成27年中に非課税贈与の適用を受けた場合で、1,000万円の枠を使い切らなかった場合には、その残額が平成29年中などの贈与で適用することができます

つまり、「新非課税制度」であれば、残額があれば、後でさらに使えるよ、ということです。

残額が使えるだけでもスゴいな、と思うんですが、何と平成31年4月1日から平成33年12月31日までの贈与であれば、残額を適用するという考え方をする必要がなく、新規で非課税枠を使うことができちゃうんです

自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと

お兄さんが大工さんだから、お兄さんに建ててもらう、といった場合には適用が受けられない、ということです。

贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をし、所有すること

自分で買って所有するということです。

贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること

自分で住む、ということです。

あんまり工期が延びると、特例の適用が受けられなくなってしまいます。

贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していない場合には、この非課税贈与の適用を受けることはできません。

中古住宅の個人間売買の場合に注意!

非課税贈与枠2,500万円という大盤振る舞いは、消費税率が10%にアップして大変でしょ、という配慮が根底にあります。

個人の一般の方から、中古住宅を購入する場合には、住宅を手放す方から見ると、事業としてあなたに家を売る訳ではありませんから、実は消費税がかかりません

この場合には、消費税率が10%にアップしても影響がない、ということになるので、非課税贈与枠2,500万円は使えません

その贈与、本当に必要?ちょっと待って!贈与税の配偶者控除の注意点

贈与の種類は2種類

贈与を「税金がどうかかるか」で2つに分けるとすると、どう分けられると思いますか?

1つは、「暦年課税贈与」です。言わば、通常の贈与ですね。

毎年、もらった人ベースで110万円の非課税枠があります。

110万円以内の贈与なら、贈与税もかからず、その移転した財産はもらった人のものになるので、贈与税もかかりません。

もう1つの贈与は、「相続時精算課税贈与」です。

この贈与は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与です。

こちらの贈与税の非課税枠は、何と「2,500万円」です。

「なんだ!じゃあ、相続時精算課税贈与の方が断然お得じゃん!」とお思いのあなた。

実は、この相続時精算課税贈与、2,500万円までなら「贈与税は非課税」なんですが、「相続税は必ず課税」なんです。

要は、生前に贈与した財産について、税務署口調で言うと、「今は贈与税を払わなくてもいいけど、亡くなった時に相続税を払ってもらうからね」というものなんです。

じゃあ、やっぱり暦年課税の方が断然いいのか。

実は、暦年贈与の場合でも、相続税がかかる場合があるんです。

それは、お亡くなりになる前3年以内の贈与です。

「亡くなる直前に駆け込みで110万円の非課税贈与をしても、3年間はさかのぼって、相続税の対象としますよ」というものです。

何だ、相続時精算課税贈与じゃなくても、3年以内の贈与なら相続税「必ず」かかっちゃうのか…。

というと、実は、3年以内の贈与でも、相続税がかからない贈与があります。

そのうちの1つが、「贈与税の配偶者控除」です。

これは、「婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円の他に最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる」という特例です。

別枠の非課税金額も用意され、3年以内の贈与の適用もない。

これは、使わない手はない!

と、思うところに罠があります。

そもそも相続税がかからないのであれば、相続でもらえばいい!

実は、自宅の土地の場合、「小規模宅地等の特例」というものを適用して配偶者が相続すれば、330㎡まで8割引で評価(評価額を大幅に減らすことが)できるんです。

また、配偶者には、「配偶者の税額軽減」という特典まで用意されています。

これは、配偶者が取得した財産については、少なくとも1億6,000万円までは非課税、というものです。

これにより、相続税がかからなくなるのであれば、たとえ贈与税がかからなかったとしても、相続税の節税という意味で言えば、贈与をする必要はないですよね!(相続税がかからなくても、申告自体は必要な場合があります。)

贈与による財産の移転は、実はコスト高!

「相続」による財産の移転と、「贈与」による財産の移転では、コストが大幅に違います。

まず、「相続」であれば、不動産取得税が無税になります。

また、登録免許税が、「贈与」の20%で済んでしまいます。

「避けられない」人の死に起因する「相続」は「カワイソウ」、当事者間の合意による、言わば「任意」の「贈与」は「アナタタチガカッテニヤッタンデショ」、という感じで、課税のスタンスが違うんですね。

ですから、「贈与税の配偶者控除」を使った方が得なのか、は、相続税・贈与税・不動産取得税・登録免許税の試算をしないと分からない、ということです。

ただし、税金以外の側面、例えば、遺産分けがモメそうだから、生前に自宅だけは配偶者に移しておきたい、というような場合には有効です。

2,110万円の非課税枠があるんですから。

親や祖父母からお金をもらって贈与税を心配している『あなた』へ!

親御さんや祖父母の方からお金をもらったり、物を買ってもらったりした場合、「これって税金かかっちゃうのかな?」と心配になった経験がある方もいらっしゃると思います。

平成25年12月に国税庁から発表された『扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A』について、ポイントを再確認してみたいと思います。

相続税法第21条の3<贈与税の非課税財産>において、
“次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの“
と規定されています。

この規定についてのQ&Aです。

[Q1-1]
「扶養義務者」とは、
①配偶者
②直系血族及び兄弟姉妹
③三親等内の親族で生計を一にする者
などが挙げられています。
親御さんや祖父母は、②の直系血族に該当します。その他、配偶者や兄弟姉妹なども含まれます。

[Q1-2]
「通常必要と認められるもの」とは、「贈与を受けた者の需要と贈与をした者の資力その他一切の事情を勘案」する、としています。
つまり、全く違った環境のA-a親子とB-b親子がいた場合、子aと子bでは生活や勉強に必要な金額は違って当然ですし、親Aと親Bも裕福度合いが違ってくる訳で、一律に「こういう場合にはこの金額まではOK!」とは言えないということです。

[Q2-1]
結婚にあたり、結婚後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与受けた場合、又はその購入費用に充てるための金銭の贈与を受け、実際に購入した場合には、非課税としています。
新しい生活を始める時というのは、非課税贈与のチャンスです。

[Q2-2]
結婚式や披露宴の費用を親が負担した場合については、その内容や招待客との関係、人数や地域の慣習などの事情に応じて、負担すべき人が負担しているのなら非課税としています。
まず、「結婚の費用は生活費ではないから、親がお金を出したら絶対贈与!」という訳ではないというのは分かっていただけると思います。
結婚式は当人同士だけのイベントという訳ではありません。そういう見地からは、親がお金を負担する合理的理由が見えてきます。
また、結婚式や披露宴にどれくらいお金をかけるかというのは、地域によっても違います。

[Q3-1]
出産に要する費用で、検査・検診代、分娩・入院費(保険等により後から補填される金額はダメ)に充てるための金銭の贈与や、赤ちゃんのための寝具、産着等ベビー用品の購入に充てるための金銭の贈与は、非課税としています。

[Q4-1]
非課税となる「教育費」とは、教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限らない、としています。

[Q5-1]
子供がアパートの家賃を払えない場合に、親が代わりに払っている場合には、非課税としています。
ただし、「社会通念上適当と認められる範囲の家賃」とされていますので、豪華なマンションなどに住んでいる場合には、非課税とはなりません。
また子供の「資力」がなくて払えない、ということが前提です。
払えるのに自分で払わない、というのはダメです。

「教育資金」と「結婚・子育て資金」の両非課税贈与に興味がある『あなた』へ!

「教育資金」と「結婚・子育て資金」の両非課税贈与制度は、親や祖父母が信託銀行などの金融機関にまずお金を預けます。

そして子や孫が制度に合致した支払いをした場合に、そのお金を引き出すことができる、という流れです。

これだけ聞いて勘違いしないでください。

「教育」や「結婚・子育て」にかかるお金の贈与は、この制度を使わなければ非課税にならないという訳ではありません。

その都度、必要な金額を贈与するのであれば、贈与税はかからないのです。

両非課税贈与制度を使うのであれば、無理に贈与をし過ぎないことです。

見栄を張ってはいけません。

父母や祖父母の方にも、今後の生活があります。

確かに信託銀行などを介して一発であげた方がスマートな感じはしますが、その都度あげた方が、結果的にトータルで贈与する金額が少なくなっても、喜ばれる回数が増えるかもしれません。

また、両非課税贈与制度の色合い(意味合い)についても良く考えましょう。

「教育資金の非課税贈与」は、親や祖父母が「(極端に言うと)自分が亡くなった後に、子や孫が自分のお金を使って勉強に精を出して欲しい」から贈与するのです。

「孫が学校に通う年代になった時に『その都度贈与』をすれば贈与税はかからないが、『その時』に生きている分からないから、先に渡しておきたい。でも今まとめて渡すと税金がかかってしまうなあ」という悩みを解消してくれる点で優れているものなのです。

それに対し、「結婚・子育て資金の非課税贈与」は、(子や孫が先にお亡くなりにならないことを前提とすれば)親や祖父母がお亡くなりになるまでに使い切らないと税金がかかってしまいます。

非課税贈与を達成するためには、親や祖父母が長生きすることが前提なのです。

長生きした上での「前もって贈与の非課税制度」なのです。

「教育資金」と「結婚・子育て資金」の両非課税贈与の違いが分からない『あなた』へ!

「教育資金の非課税贈与」は、親や祖父母がお亡くなりになった時に、まだ資金を使い切っていない場合であっても、その残額に対して相続税はかかりません。

それに対し、新設される「結婚・子育て資金の非課税贈与」は、その使い切っていない残額に対して、相続税がかかります。

「教育資金」は、とりあえず贈与してしまえば、親や祖父母の相続税を減らすことができます。

仮に、贈与した後にすぐ親や祖父母がお亡くなりになったとしても、相続税はかからないのです。

ただし、子や孫が30歳になった時点で使い切っていない残額があれば、相続税はかからなくても、贈与税がかかります。

「結婚・子育て資金」は、上記の通り、早め(親や祖父母がお亡くなりになる前)に使わないと、相続税が課税されてしまいます。

もらった方は税金を払いたくなければ、まず「結婚」しなくてはなりません!

そして、結婚式や引っ越しなどの費用に資金を充ててもまだ残額がある場合には、「子育て」に突入です(「妊娠に要する費用」も対象です)。

もらった方は、結構プレッシャーになる?

ただし、親や祖父母が長生きしてくれれば、自分が50歳になるまでに使い切れば非課税です。

タイムリミットが教育資金に比べると長いのが救いですね。

住宅取得等資金の非課税贈与と棟上げ(上棟)

父母や祖父母から自宅の新築や取得、増改築等に充てるためのお金をもらった場合に、一定金額まで非課税となる制度があります。

色々な要件がありますが、
①贈与を受けた年の翌年3月15日までに、新築等をすること
②贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
という要件があります。

今年平成26年にもらった場合には、平成27年3月15日までに「新築等」をし、「住んでいる」又は「遅れずに住むことが確実である」ことが要件ということになります。

それでは、平成27年3月15日までに新築に係る工事が終わっていない場合には、非課税の適用が受けられないのでしょうか?

実は、このような場合でも、一定の「住宅用家屋の新築工事の状態が棟上げの状態にあることを証する書類」を提出することにより、非課税贈与の適用を受けられる場合があります。

建築工事が遅れてしまい、3月15日までに住めない場合でも、適用が受けられる場合がありますので、ご注意を。

妻の両親からの住宅購入資金の贈与

イケメン税務調査苦手社長イケメン税務調査苦手社長

妻の両親が、少し資金援助するので自宅を建てたらどうかと言ってくれています。

家は私の名義で建てるつもりですが、父母や祖父母から住宅購入資金の贈与を受けた場合の非課税制度があると人から聞きました。

私が妻の両親からお金をもらった場合でも、この非課税制度の適用はありますか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

その非課税制度は、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の制度だと思われます。

この言葉にもある通り、「直系尊属」からもらうことが要件となっていますので、お客様ご自身の直系尊属(お客様のご両親など)以外の方からもらった場合には、非課税の適用を受けることはできません。

仕送りは一度に送るな!

親元を離れて学校に通うお子さんに、親御さんが仕送りをしていたとします。

アパート代などの生活費や学費を含めると、年間の仕送り額が贈与税の非課税枠である110万円を超えてしまうこともあるかもしれません。

毎月10万円かかるからといって、まとめて1年分120万円を仕送りすると、非課税枠突破ということで、贈与税がかかります。

毎月10万円ずつ送れば、贈与税は非課税です。

扶養義務のある親が子に対して、生活費や学費を贈与した場合、通常必要な金額であれば、贈与税はかからないことになっています。

ただし、これには「必要な都度」もらうんだったら非課税でいいよ、という要件があるのです。

また、毎月送金したとしても、必要額を超えて送金している場合には、その超える部分の金額には贈与税がかかります(合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません)。

多額の仕送りにはご注意を。

住宅ローン返済のためのお金の贈与は非課税になる?

税務調査におびえるネコ社長税務調査におびえるネコ社長

私は住宅ローンで家を建てたニャンが、毎月の返済が大変ニャ。

先日、父と会った時にちょっとそんな話をしたところ、「親から住宅購入資金の贈与を受けた場合の非課税制度があるらしいが、それが使えるのなら資金援助しても良いぞ」と言われたニャン。

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

お話に出た「親から住宅購入資金の贈与を受けた場合の非課税制度」は、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の制度だと思われます。

この制度は、「家を建てたり買ったりするため」のお金の贈与を受けた場合の非課税制度です。

「住宅ローンを返済するための」お金の贈与については、非課税の適用を受けることはできません。

非課税の制度を適用しなくても、通常の贈与(「暦年課税」)であれば、毎年110万円までは非課税となります。

もし、お金を出してもらえるのであれば、毎年贈与を受けることも検討してみてはいかがでしょうか?

「毎年110万円までは非課税」なのですが、万が一お父様がお亡くなりになった場合には、お亡くなりになった日からさかのぼって3年以内の暦年贈与については、相続税がかかります。

この点は、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の制度とは取扱いが異なりますので、ご注意を。

住宅取得等資金の非課税限度額は渡す方の金額?もらう方の金額?

税務調査に動じない美人社長税務調査に動じない美人社長

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の制度について教えてください。

平成26年中に省エネ住宅等を取得するための資金の贈与を受けた場合には、1,000万円まで非課税になると聞きました。

父から1,000万円、祖父から1,000万円もらった場合には、合計で2,000万円が非課税となるのでしょうか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

合計で1,000万円です。

「もらう人1人についての非課税限度額」が、平成26年の省エネ等住宅については1,000万円となっています。

生前贈与の注意点

マスコミ報道によると、来年から相続税が増税となるため、生前贈与により相続財産を減らす動きが活発になるようです。

注意すべき点は次の2つです。

①相続税が全然かからない人は、「生前贈与」しても相続税は安くならない(というかもともと0だから、節税のしようがない)。

税金とは全く別の視点で、例えば、相続まで待たずに早めに次世代に財産(住宅取得資金や事業用資産など)を移転したい、などという場合もあるでしょうから、そういう場合には、生前贈与を検討されてもいいと思います。

②相続税がかかる人でも、相続税がかかる場合には、どのくらいの「税負担率」で相続税がかかるかをチェック。

相続税は、「超過累進税率」なので、財産が極めて多い場合には、税金も高くなりますが、そうでない場合には、「税負担率」は低めになります。

なぜかというと、来年から縮小されるとはいえ、「基礎控除額」が多額であるということ、また、財産全体の金額を見てそれに対する相続税の税率をかけるのではなく、財産全体を法定相続分に分けた後の金額を見て、それぞれの金額に対する相続税の税率をかけるので、高い税率が適用されにくい計算構造になっているためです。

≪例1≫ 財産1億円 相続人:妻・長男・長女
1億円-4,800万円(基礎控除額)=5,200万円
(5,200万円を計算上法定相続分で分けて税率をかける)
妻  2,600万円 2,600万円×15%-50万円=340万円
長男 1,300万円 1,300万円×15%-50万円=145万円
長女 1,300万円 1,300万円×15%-50万円=145万円
(合計)340万円+145万円+145万円=630万円
1億円の財産に対して、630万円の税金なので、税負担率は6.3%

それに対して、贈与税は「基礎控除額」が少額(110万円)であり、「基礎控除額」を引いた後の金額にダイレクトに税率をかけていくので、税金が高くなる傾向にあります(贈与税も「超過累進税率」です)。

≪例2≫ ≪例1≫で長男や長女が法定相続分(1/4)の財産をもらうとすると2,500万円の財産をもらうことになるので、この金額を元に贈与税を計算
2,500万円-110万円(基礎控除額)=2,390万円
2,390万円×50%-225万円=970万円
2,500万円の財産に対して、970万円の税金なので、税負担率は38.8%

夫婦間の自宅贈与は何が得なのか?

婚姻期間が20年以上の夫婦間での自宅や自宅購入資金の贈与については、通常贈与の年間非課税金額110万円の他に、2,000万円の非課税枠があります。

非課税の範囲であれば、贈与税が無税で
①相続が起こる前に確実に相続財産を減らせる
②相続が起こる前に連れ合いの方に自宅を渡せる
というメリットがあります。

贈与税が無税だとしても、
相続→「不動産取得税がかからない・登録免許税が低率である」のに対し、
贈与→「不動産取得税がかかる・登録免許税が相続の5倍かかる」のでご注意を。

他の税金については相続で動かした方が安く済みます。

確実にとはどういうことかと言うと、通常贈与の場合、110万円以内の贈与であれば、非課税枠内ですので贈与税がかかりませんが、その贈与がお亡くなりになった日前3年以内に行われたものである場合には、相続財産にその贈与財産が合計されて相続税が計算されてしまいます。

ところが、この夫婦間の贈与の特例を使うと、相続財産に合計されずに済むため、相続税の課税対象から完全に除外することができるのです。

最後になりますが、贈与した途端に自宅から追い出されないよう、夫婦円満であることが、この特例の最大の要件です。

自宅用の土地の贈与を受けた場合は非課税?

イケメン税務調査苦手社長イケメン税務調査苦手社長

父が、「土地を贈与するから、そろそろ家を建てたらどうだ」と言ってくれています。

私の友達は、親から資金援助をしてもらい、建売住宅を購入したのですが、その資金援助については、贈与税が非課税だった、と言っています。

自宅を建てるために私が父から土地をもらった場合にも、その非課税の制度は適用されるのでしょうか?

転ばぬ先のメモ魔税理士転ばぬ先のメモ魔税理士

ご友人が「贈与税が非課税だった」というのは、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の適用を受けたためだと思われます。

これは、家を建てたり買ったりするための「お金の贈与を受けた場合」の非課税制度です。

土地や建物の贈与については、非課税の適用を受けることはできません。

相続時精算課税制度の改正

財産をもらう側:孫を追加
財産を贈与する側:60歳以上に引下げ+祖父母を追加

平成27年から基礎控除額の縮小などにより、相続税が増税となります。

それと合わせて、相続時精算課税制度に改正があります。

相続時精算課税制度の概要

従来は、「65歳以上の親」から、「20歳以上の推定相続人である子供など」への贈与なら、2,500万円までは贈与税を課税しない代わりに、相続税を計算する際に、贈与時の価額で相続財産に加算するというものでした。

対象者の拡大

これが、平成27年からは、「60歳以上の父母又は祖父母」から、「20歳以上の直系卑属である相続人(養子や代襲相続人も対象)や孫」への贈与に、対象者が拡大します。

孫への贈与の注意点

相続時精算課税制度により孫に贈与した場合、上記「相続時精算課税制度の概要」にある通り、最終的には相続税が課税されます。

「代襲相続人ではない孫」の相続税は、通常の2割増しとなりますので、ご注意を。

逆に、通常の贈与(暦年贈与)においては、孫への贈与は「特例贈与財産」として、「一般贈与財産」(その他の贈与)に比べ、低税率で優遇されます。

まとめると、孫への贈与は、相続時精算課税制度を適用した場合には、出口(相続税)で2割増し、暦年贈与を適用した場合には、一般に比べ低税率で優遇される、ということになります。

財産が多い方が相続対策として生前贈与をする場合、110万円の基礎控除額にとらわれて毎年110万円の贈与をしていては、なかなか財産が移転しません。

そういう場合には、財産の移転を優先させるため、贈与税が課税されてもいいので、基礎控除額を超えた贈与をしても良いと思います。

贈与税がかかっても、贈与税の税率が相続税の税率よりも低ければ、相続よりも低い税負担で財産を移転することができるため、結果としてお得だからです。

それでも孫への贈与は相続時精算課税制度の方がいい場合が!

これだけを見ると、孫に贈与するなら暦年贈与(「特例贈与財産」)の方がいいように感じられるかもしれませんが、ポイントは、「相続税がかかるかどうか」です。

孫への贈与は、一般的な財産の「①祖父母→②父母→③子」の流れの、「②」を通り越して、「①→③」で移転してしまうということです。

つまり、一般的な流れであれば、2回課税されるところを、1回で済ませてしまう、ということです。

財産が多くて相続税がかかるのであれば、この「一代飛ばし効果」と「2割増し」を天秤にかけ、どちらが有利かを検討しましょう。

もし、上記①の方の財産が少なくて相続税がかからず、②の方の財産が多い場合には、①→②と相続や贈与で財産を移転すると、②→③の時に相続税が多額になる可能性があります。

相続税の税率は、財産が多ければ多いほど、高くなるようになっているからです。

そういう場合には、①→③で多額の財産を相続時精算課税制度で贈与すれば、①の相続で「2割増し」になろうが、元々の相続税が「ゼロ」ですので、「2割増し」しても「ゼロ」です。

そして、②の相続での相続財産を構成しないことにより、②の相続税の税率を抑える効果が期待できます。

平成27年からは、相続税と贈与税は今までにない世界に突入します(ちょっと大げさでしょうか?)。

贈与税の110万円の非課税枠を多用して株式を分散すると失敗します!

今回の結論
★株式を分散すると、経営に口出しする人が増える!

贈与税の非課税枠

相続税の申告の際に、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)という非課税枠があるのと同様に、贈与税にも非課税枠がります。

相続時精算課税制度による贈与の非課税枠

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

特別控除額(2,500万円)があり、これが一般的に、相続時精算課税制度の非課税枠と言われています。

生前に、例えば、子がお父様から、この制度の適用を受けて贈与を受けた場合、2,500万円までは、贈与税がかかりません。

ただし、この相続時精算課税制度、「贈与税は非課税でも、相続税は課税」という仕組みになっています。

つまり、この制度を適用して、生前に子の名義にしたとしても、お亡くなりになった時の相続税の申告においては、あたかも、まだお父様がお持ちの財産の如く、相続財産として申告しなければならないのです。

暦年課税贈与の非課税枠

暦年課税贈与、こちらについては、相続時精算課税制度のような、親から子などへの贈与にしか適用できない、というような、あげる人(贈与者)やもらう人(受贈者)の限定はなく、どんな人同士の贈与でも適用が受けられます。

そして、「もらう人」ベースで年間110万円の非課税枠があります。

例えばあなたが、Aさんから110万円の財産をもらった、Bさんからも110万円の財産をもらった、という場合、もらう人(あなた)のもらった財産は110万円+110万円=220万円となり、非課税枠の110万円を超えますから、贈与税を払う必要があります。

逆に、あなたがAさんに110万円を贈与し、同じようにBさんにも110万円の贈与をした場合には、もらう人(Aさん)(Bさん)で考えると、それぞれ非課税枠の110万円以下ですから、AさんもBさんも贈与税を払う必要がなく、結果として無税で、あなたの財産をAさんとBさんに移転できるということになります(AさんとBさんが、あなた以外から財産をもらっていない、という前提です)。

会社の株式の贈与の注意点

「そっか!1人に110万円をあげるのではなく、もらう人を増やして110万円の贈与をすれば、どんどん無税で財産を減らすことができるな!」と思うかもしれません。

その通りです。

「相続税の試算をしてみたら、会社の株式の評価があまりにも高い。相続対策として、暦年贈与でいろんな親族にどんどん株式を贈与しよう。」と思うかもしれません。

それはダメです。

もらった方は全然うれしくない

簡単に現金化できない、でも、相続税がかかる、そんな財産いりません。

後継社長にはメチャクチャ迷惑

株主は会社の経営に口出しできます。

株主に相続があると、会社の株式は、その株主の相続人の手に渡ります。

一度も会ったことがないような人の手元に。

もらう人を後継者か、後継者の家族にするのが大原則です。

警告!「負担付贈与」を知らずにアパートの贈与をするな!

相続税対策で、賃貸アパートを贈与するっていう方法があります。

この場合に気を付けなければならないのが、「負担付贈与」に該当するかどうかという点です。

負担付贈与の話の前に、どうしてアパートの贈与が相続税対策になるの?

賃貸アパートって、家賃収入がどんどん生まれるじゃないですか。

家賃収入が生まれるってことは、もらった家賃分の現金が手元にどんどん増えるっていうことです。

例えば、お父さんがアパートを所有している場合、賃貸アパートがあることにより、今現在から、お父さんの相続の時まで、現金という相続財産が増え続けていく、ということになります。

そこで、お父さんの相続まで待たずに、現金がどんどん増える前に、生前贈与により財産を子供に移しちゃえ、そうすれば、今後、家賃収入という現金が増えても、その現金は、新たな所有者である子供のものなので、お父さんの相続財産から除外できる、という訳です。

負担付贈与の話の前ですが、アパートの贈与は納税資金対策にもなるんです!

さらに、相続人である子供は、手元に自分の現金が増えますので、お父さんの相続の際には納税に困らない、ということで、相続税の納税資金対策にもつながる、という別の面でのメリットもあります。

まっ、通常の賃貸アパートは、そんなにどんどん現金が増え続けるっていうような、高収益の物件はないでしょうけどね。

それに、実際には、固定資産税や修繕費なんかもかかりますから、家賃丸々儲け、という訳にはいきませんよ。

意識しなくても「負担付贈与」になる!

それで、このアパートの贈与なんですけど、銀行から借金して建築している場合がほとんどだと思います。

「1億円の借金で1億円のアパートを建築しても、アパートの相続税評価額が大体4,000万円なるから、アパート4,000万円△借入金1億円=△6,000万円の『財産減らし相続税対策効果』がある」っていう感じで、アパートの節税効果については言われますね。

その後、借入金の返済が進んで、アパートの相続税評価額が1,000万円、借入金の残高が1,000万円になったとします。

借入金の負担もセット(付)で贈与→「負担付贈与」

通常は、アパートと借入金の負担をセットで(付で)贈与します。

「セットで(付で)贈与する」というのは、「アパートをもらう」というプラスの側面だけでなく、「借入金を負担する義務付でセットで背負う」ということです。

これが、「負担付贈与」の「負担付」に該当します。

アパートの借入金の負担も付けて一緒に引き継ぐ、このような、もらう人に一定の債務を財産に付けて負担させること(負担義務付)を条件にした財産の贈与を「負担付贈与」と言います。

贈与する側は、借入金だけ残っても返済できませんからね。

家賃で返すのが普通ですから。

「負担付贈与」だと何が問題なのか?

このアパートの相続税評価額「1,000万円」っていうのは、相続税を計算する際の基準にもなるし、生前に贈与をした場合の贈与税の計算をする場合の財産評価にもそのまま使います。

この場合、「アパート」1,000万円△「付された借入金」1,000万円=0円の贈与となり、贈与税はかからない、と思うかもしれません。

ところが贈与は贈与でも、アパート単品ではない、借入金の負担付のセット贈与の場合には、様子が違ってきます。

借入金の負担付でセット贈与する場合、アパートは時価で評価する必要があります。

アパートの時価が1,500万円の場合、「アパート」1,500万円△「付された借入金」1,000万円=500万円の贈与になりますから、贈与税が発生します。

負担付贈与の場合には、時価での財産の評価額の算定が必要ですので、ご注意を。

お金を動かせば、贈与になると思ったら、大間違い!

メモ魔税理士のメモ
生前にお金を贈与する場合、単に子供名義の口座にお金を移すだけではダメ。贈与の意思(あげた+もらった)があったということを、後で説明できるか検討すること。できないと、せっかく動かしたお金も、税務調査で、子供の名義を借りた親の預金とみなされてしまう可能性あり。


過去の贈与の「意思」を、調査官に口答で納得してもらうのは、難しいですよね!
何とでも言えちゃいますからね、昔のことなんて。

贈与契約書がないと、贈与と認められない?!

メモ魔税理士のメモ
生前に預金の贈与をした場合、当事者間で贈与の意思(あげた+もらった)があったということを、きちんと説明できないと、名義預金(家族の名前を借りた預金)とみなされて、相続税の課税対象になってしまう可能性がある。贈与契約書の作成も一法。公証人役場で確定日付をもらうのも良し。


贈与契約書がないと、贈与が認められないという訳ではありません。税務上大切なのは、「実態」です。

「名義」が変わっているだけでは、贈与とは言えない?!

メモ魔税理士のメモ
お金を贈与したという場合、単にもらう子供の名義の口座にお金を入金するだけではダメ。例えば、通帳や印鑑、キャッシュカードなどを親が管理しているようでは、子供はそのお金を自由に使えないから、その預金は子供のものとは言えない。その結果、その預金は相続財産としてカウントされる。


相続税の節税のために、いろいろ工夫されるのは結構なのですが、税はあくまでも「実態」に課税します。「実態」を伴った節税対策を!

生前贈与対策と遺産分割対策

メモ魔税理士のメモ
生前贈与による対策は、相続財産を少なくすることによる節税対策だけでなく、相続まで待たずに、財産の取得者を決めることができるという、遺産分割対策効果もある。単純に贈与するのもいいし、売却により現金化して、その現金を渡す方法もある。また、遺言書の作成も、遺産分割対策の一環。


同族会社株式の生前贈与

メモ魔税理士のメモ
生前贈与による対策として、まず同族会社の株式を選択するのは賢明。「手放すわけにはいかない」+「誰も買ってくれない(市場価値がない)」+「でも評価額が高い」から。株式の移転をする先は後継者。子供が2人いる場合などで後継者が決まっていない場合には、対策開始前に後継者決定要。


生前贈与対策

メモ魔税理士のメモ
生前贈与による節税対策は、期間的な余裕がない場合には、財産の移転スピードを上げることが重要。金額をアップし、もらう人の数を増やす。ただし、同族会社の株式については、もらう人の数を増やしてはダメ。株式が分散してしまうと、後継者の経営権が弱まってしまう。


3年以内贈与の活用

メモ魔税理士のメモ
お亡くなりになった日前3年以内の贈与財産は、相続財産に加算されて、相続税が課税され、その過程で贈与税が精算される。でもこれは相続により財産を取得した人の場合。たとえ財産の贈与を受けたのが子供であっても、相続により財産を取得しなければ、相続財産に加算されず、贈与税の納税で完結。だから、3年以内(3年以内なんてその時には分からないので、実際のところはお亡くなりになりそうだと分かった時から)の相続税対策として、相続人以外の人に財産を贈与するのも手。非課税枠(年間110万円)内であれば、贈与税の課税も、相続税の課税もない。


110万円超贈与

メモ魔税理士のメモ
相続税対策として、生前贈与を実行する場合には、非課税枠の110万円にこだわらない方がよい。年間110万円だと、財産の移転スピードが遅くなる。思ったほど移転できなかったという結果を招きやすい。相続税の実効税率よりも低い実効税率で贈与することを基本スタンスとする。不動産を移転する場合には、相続と贈与の違いに注意。まず、相続による財産の移転には、不動産取得税は課税されないが、贈与には課税される。また、登録免許税も、相続より贈与の方がかなり税負担が高くなっている。贈与税+不動産取得税+登録免許税+司法書士手数料の見積り要。


贈与税の配偶者控除

メモ魔税理士のメモ
「贈与税の配偶者控除」という制度がある。婚姻期間が20年以上の夫婦間での、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与については、基礎控除110万円の他に、最高2,000万円まで贈与税がかからない。相続税の実効税率が高そうな人は、是非ご検討を。


購入不動産の贈与

メモ魔税理士のメモ
相続税対策として、お金を子供に贈与して、子供がそのお金で不動産を購入するのであれば、お金を贈与する代わりにそのお金で不動産を購入し、不動産を子供に贈与すれば、購入金額よりも税法上の評価額の方が低くなるので、贈与税が安く済む。でも子供は、自分でお金を払って家を建てたがる。


贈与に抵抗感がある『あなた』へ!

会社の株式の評価が高く、相続が心配な場合、早めに贈与で次世代に移転することも検討しましょう。

贈与税は、年間110万円の「非課税枠」があります。

この範囲であれば、贈与税はかかりません。

また、この「非課税枠」にこだわらないという考え方もあります。

贈与税は「超過累進税率」ですので、贈与する財産の評価額が高くなればなるほど、贈与税も割高になります。

逆に、評価額が低ければ、贈与税は安いということです。

将来の相続税の実効税率をシミュレーションし、それより低い税率で贈与できれば、その差額分を節税できるということになります。

株価が将来値上がりする場合には、今贈与することで、その値上がり分も節税できるということになります。

贈与は相続税節税の王道です。