税務調査にならないように生産性向上設備投資促進税制で気をつけるべきポイントをリストアップしてみた!

生産性向上設備投資促進税制・B類型の「取得前」の「取得」とは?(とにかく早く「経済産業局の確認」を!)

経済産業省から生産性向上設備投資促進税制のQ&A集が発表されています。

その中で、B類型を適用する際に、一番注意しなければならない「経済産業局の確認書の取得は、設備を取得する前に行う必要があります」(「利用の手引き」より)という点について、若干の説明がありました。

「取得」とは、
「機械等の所有権を得たこと」つまり「機械等を購入等したこと」
「請負契約に基づく建物については、一般的には引渡しを受けたこと」
「検収が終わっていない設備については、引渡しが住んでいないので未取得」

B類型の最大の目玉である建物については、一般的に「引渡し」ということなのですが、この「引渡しの日」については、収益を計上する側(建設会社の売上)の話ではありますが、法人税法基本通達に次のように書かれています。

(建設工事等の引渡しの日の判定)
2-1-6 2-1-5の場合において、請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下2-1-9までにおいて「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。(昭55年直法2-8「六」により追加)

即時償却や税額控除を適用するためには、上記の「取得」だけでなく、「事業の用に供すること」も要件となってきます。

この点についても説明がありました。

「事業の用に供する」とは、
「本来の目的のために使用を開始するに至ったこと」
「機械を購入した場合には、機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日」

経済産業局の確認の前に取得してしまうと、適用が受けられません。

だからと言って、取得が遅ければいいかというと、そうではありません。

取得の時期が遅いとなると、当然その後の事業供用も遅くなってしまい、事業供用が当期に間に合わないと、当期に適用が受けられなくなってしまうからです。

では、確認を早めに受ければいいのかというと、確認には時間がかかります。

とにかく早く「経済産業局の確認」を!

生産性向上設備投資促進税制の適用対象資産

生産性向上設備投資促進税制の適用を受けるためには、
〇A類型であれば、工業会等の証明書
〇B類型であれば、経済産業局の確認書
が必要です。

「証明書や確認書が必要」というのは、「証明書や確認書があれば大丈夫」という意味ではありません。

経済産業省の資料によれば、工業会等や経済産業局の確認のほか、「その他満たすべき要件」として、
①生産等設備を構成するものであること
②最低取得価額要件を満たしていること
③国内への投資であること
④中古資産・貸付資産でないこと、等
が挙げられています。

①については、 「生産、販売、役務提供といった付加価値の生成による収益の獲得に直接関係しない、業務遂行上いわば間接的に必要とされる設備は対象外」「例えば、本店の機能しかない建物、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は、経営統括、従業員の利便、従業員の確保といった目的のものであり、生産等設備には該当しないものと考えられる」と記載されています。

証明書等があっても、これらに該当したらアウトです。

つまり、工業会等においては、実際にその資産が①②③④に該当するかどうかは分からないので、最新モデルであることしか証明しませんよ、ということなのです。

証明書が出ていても、①~④の要件を満たしていなければ、この税制の適用を受けることはできません。

①~④については、こちら側できちんと確認し、要件を満たすよう留意する必要があるということです(B類型については、経済産業局に確認を受ける段階で、①~④の要件を満たしていない場合には指摘してもらえるかもしれませんが、必ず指摘してもらえるという保証はありません)。

証明書や確認書をもらっただけで、安心しないように、ご注意を。

心配だった人も多いはず!生産性向上設備投資促進税制と補助金の関係は?

太陽光発電設備が適用対象となるグリーン投資減税は、国又は地方公共団体の補助金をもらった場合には、適用を受けることができません。

生産性向上設備投資促進税制はどうなんだろう?とお思いだったあなた!

昨日、経済産業省から発表された生産性向上設備投資促進税制のQ&A集には、補助金を受けた場合でも「対象になります」とはっきり書かれていますよ!

ただし、「『圧縮記帳』の適用を受けた場合には、圧縮記帳後の金額が税務上の取得価額」という記述があります。

特に税額控除を選択した場合、圧縮記帳を適用して、最低取得価額要件を満たさなくなるようなことがないように、ご注意を!

生産性向上設備投資促進税制における共用資産の取扱い

相続税の「小規模宅地等の特例」の適用については、配偶者が10%、長男が90%の共有で相続した特定居住用宅地等について、配偶者の持分を10%絡ませることで(配偶者が相続すれば要件を満たします)、要件を満たさない長男が相続した持分90%部分も、要件を満たすものとして評価減の適用を受けることができました(今は税制改正によりできなくなっています)。

生産性向上設備投資促進税制の下記の関係法令を読んだ時に、上記の取扱いを思い出しました。

一棟の建物が本店用と店舗用に供されている場合など、減価償却資産の一部が法人の生産等活動の用に直接供されているものについては、その全てが生産等設備となることに留意する(租税特別措置法関係通達42の12の5-1 生産等設備の範囲)

工場などは本店(本社)と一体で建築する方が有利です。

本店部分まで税制の適用対象となります。

組み合わせで生産性向上設備投資促進税制・B類型の確認を得られれば、後は分解して、「ノーマルB類型」と「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」の個別適用可!

生産性向上設備投資促進税制・B類型適用のために、機械装置、昇降機設備(建物附属設備)、ロール(工具)を組み合わせて投資利益率5%以上向上を計画上達成した場合、その中から機械装置だけを取り出して、中小企業投資促進税制の上乗せ措置を適用することが可能です。

1つの投資計画だったとしても、設備等ごとに、バラバラに「ノーマルB類型」・「上乗せ措置」を適用することが可能ということです(もちろん、それぞれの適用対象資産であることが前提です)。

資本金や対象資産に留意して、有利な選択をしてください!

生産性向上設備投資促進税制・A類型は、資産の個数だけ証明書が必要?生産性指標1%向上は各指標の合計で計算?

経済産業省から発表された「生産性向上設備投資促進税制Q&A」の内容のうち、A類型に関するものから、注意すべきと思われるものを取り上げます。

①「同時に複数の同じ設備を導入する場合には、証明書に導入予定の個数を記載すれば1枚の証明書でOK」

→型番ごとに必要という感じでしょうか。

②「単一の生産性指標について年平均1%以上向上することが要件となるので、エネルギー効率が0.5%、単位時間当たり生産量が0.5%向上していて、合計で1%向上していても、適用対象とはならない」

→「『生産性向上』の基準となる指標については、『単位時間当たりの生産量』、『精度』、『エネルギー効率』などが代表例として挙げられます。ただし、あくまで代表例であり、実際の指標は、様々な機能に対する設備メーカーの創意工夫を促す観点から、設備メーカーにおいて、その指標が生産性の向上を図るための基準としてふさわしいものであるかどうか判断、『選択』することになります(「ご利用の手引き」)。」とありますので、きちんとした基準を選択し、その基準だけで1%以上向上していることが要件となります。

生産性向上設備投資促進税制・B類型は、圧縮記帳の適用前と適用後のどちらの金額も使用!

以前の記事でも触れましたが、生産性向上設備投資促進税制・B類型の最低取得価額要件は圧縮記帳適用後の金額で判断します。

圧縮後の方が金額が小さくなりますから、納税者不利な感じですよね。

B類型の投資利益率を計算する際の算式は、
「営業利益+減価償却費」の増加額 / 設備投資額
です。

この分母の「設備投資額」は圧縮記帳適用前でしょうか?適用後でしょうか?

圧縮記帳適用後だと、金額が小さくなる分、投資利益率が上がって要件を達成しやすくなるのですが、ここの部分は、圧縮記帳適用前の金額となりますので、ご注意を(投資効果を見るためですから、当然、圧縮記帳なんか関係ないですもんね)。

「生産性向上設備」の「上乗せ措置」を適用すれば繰越控除が可能!

法人税の「生産性向上設備投資促進税制」についてのお話です。

「生産性向上設備投資促進税制」の適用対象となる機械装置について、「即時償却」(初年度全額償却)ではなく、「税額控除」を選んだ場合、控除率は5%です。

例えば、1,000万円の機械装置を購入し、事業の用に使った場合、1,000万円×5%=「50万円」を法人税から控除することができます。

その会社が「中小企業者等」に該当するのであれば、の適用を受けることもできます。

この機械装置が、「生産性向上設備投資促進税制」の適用対象ではない場合(つまり「中小企業等投資促進税制」の適用しか受けられない場合)、資本金3,000万円以下の中小企業者等であれば税額控除の適用を受けることができ、控除率は「7%」です。

それに対し、資本金3,000万円超の中小企業者等は、税額控除の適用を「受けることができません」。

ところが、この「7%」「受けられない」という関係が、機械装置が「生産性向上設備投資促進税制」の適用対象となることにより、「中小企業者等に対する上乗せ措置」の適用により、「10%」「7%」という関係になります。

つまり、資本金3,000万円以下の中小企業者等であれば、「生産性向上設備投資促進税制」の「5%」よりも高く、「中小企業等投資促進税制」の「7%」よりも高い「10%」の税額控除が認められ、資本金3,000万円超の中小企業者等については、「中小企業等投資促進税制」では「受けられない」のに、生産性向上設備投資促進税制の「5%」よりも高い、「7%」の税額控除が認められるということになります。

つまり、生産性向上設備に該当する機械装置について税額控除を受けるのであれば、「生産性向上設備投資促進税制」の適用を受けるのではなく、「上乗せ措置」を適用した方が良いということになります。

ところが、「上乗せ措置」の適用を受けるメリットは、この「控除率」だけではありません。

「生産性向上設備投資促進税制」については、税額控除限度額の翌期繰越が認められていません。

単純に「生産性向上設備投資促進税制」の適用を受けた場合、上記で1,000万円の機械装置を購入した場合、50万円の控除が可能とお話しましたが、仮に法人税が40万円だった場合には、引ききれない10万円が出てきます。

その引ききれない10万円については、切り捨てられて(引けないで)終わりです。

ところが、「上乗せ措置」の適用を受ければ、例えばその会社が資本金3,000万円以下の中小企業者等に該当する場合、「10%」の税額控除が認められ、1,000万円の機械であれば、「50万円」ではなく、「100万円」の控除が可能です。

同じように法人税が40万円だった場合には、60万円が引ききれなくなりますが、「上乗せ措置」の場合には、その60万円を翌期の法人税額から引くことができるのです。

「中小企業等投資促進税制」については、「1年間の繰越」が認められているからです。

税務メリットを全額享受することができるのです。

「機械装置」については、「生産性向上設備」に該当すると、税務メリットがかなり大きいということが、お分かりいただけたでしょうか?

生産性向上設備投資促進税制の即時償却の本当の最終期限とは?

特別償却と言えば、取得価額の30%が通常の減価償却費に上乗せできる「中小企業投資促進税制」が一般的ですが、「生産性向上設備投資促進税制」は、通常の減価償却費に、「取得価額△通常の減価償却費」を上乗せできる、つまり、
(通常の減価償却費)+取得価額△(通常の減価償却費)=取得価額
ということですから、取得価額を丸々経費にすることができます。

これを瞬時に取得価額を経費にすることができることから、「即時償却」と言います。

この「生産性向上設備投資促進税制」の「即時償却」、平静28年3月までに取得し事業の用に使ったものが対象となります。つまり今月が期限ということですね。

しかし、裏技的なものが存在します。

それが、「特定機械装置等が特定生産性向上設備等に該当する場合の上乗せ措置」と言われるもの。

始めに一般的と言った「中小企業投資促進税制」に「生産性向上設備投資促進税制」をミックスるするものです。

「生産性向上設備投資促進税制」の適用要件を満たしながら、「中小企業投資促進税制」の適用を満たす、という感じです。

ですから「生産性向上設備投資促進税制」の目玉である「建物」はダメ。

なぜなら「中小企業投資促進税制」は「建物」は適用対象外だからです。

また、中小企業者等に該当しない場合もダメ。

これも同じく「中小企業投資促進税制」の適用対象法人ではないからです。

きちんと要件を満たせば、この「特定機械装置等が特定生産性向上設備等に該当する場合の上乗せ措置」は、平成29年3月までに取得し事業の用に使ったものが対象となるので、後1年期限が延びます。

まだあきらめるの早いですね!