期末に残っている棚卸資産(在庫)を評価するときに、税務署に届出書を提出していないので、「最終仕入原価法」で評価しているんですが、それって得なんでしょうか?
本当は損しているんじゃないでしょうか?
まずは、「棚卸資産の評価方法」が税金にどのように影響するかを超々ザックリ解説するよ!
メモ魔税理士のメモ
法人税は儲けに対して課税される
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儲けは売上から仕入れた金額(売上原価)を引いて計算する
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でも仕入れたのに売れなかったものは売上原価からマイナスする
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10個売れなかったら仕入れた金額から10個分をマイナスする
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いっぱい仕入れていると「個数は分かるけどいくらで買ったか(単価)ゴチャゴチャになっていて分からん!」ということがある
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「じゃあ最後に仕入れた単価で10個分計算していいよ」というのが「最終仕入原価法」
売上原価は、
①期首の在庫+②当期中の仕入-③期末に残った在庫
で計算されるよ。
この「③期末に残った在庫」が上で言う10個部分ね。
①元々あった資産に、②当期に新たに買った資産を加え、③売れずに残った資産を引くことにより、当期中に売った資産(売上原価)を計算するっていう訳。
ということは、
③で引く金額が少なければ
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売上原価が多くなる
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儲けが少なくなる
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税金が少なくなる
ということ。
③の期末に残っていた資産が、いくらで買った資産なのかを把握するために、1つ1つ資産を管理するのは大変なので、多くの中小企業は、③の単価を計算する際に、「最終仕入原価法」を採用しているのが現実だよ。
これは、その名の通り、その期の「最終」に「仕入」た単価で、期末在庫を計算し、売上「原価」を算出する方「法」。
期末に残っている在庫を実際にいくらで買ったか把握することなく、期末の数量に最後に買った時の単価を掛けて③を計算する。
おっしゃるように、税務署に届出をしなければ、この最終仕入原価法により計算することになるんだよね。
この方法は計算が楽なんだけど、難点もあるんだよね。
ど、どんな難点ですか?
最後に買った値段が異常に高かったらどうなると思う?
例えば、期首に100円の在庫が1個あり、期の前半に100円で5個仕入れ、期の後半に300円で1個仕入れ、期末に3個の在庫が残っていたとするよ。
最終仕入原価法だと売上原価は次のようになるんだ。
100円×1個+(100円×5個+300円×1個)-300円×3個=0
0?売上原価0?!
実際は4個(=1個+5個+1個-3個)売っているのに、売上原価は0になっちゃうんだよね。
だから、事業の性格上、在庫を大量にかかえる場合や、棚卸資産の値段の変動が激しい場合には、注意してね!