「所得拡大促進税制」の「給与等支給額」って、『支給額』だから、当期に現金や預金などで実際に支払った金額を合計すればいいのかなあ?
所得拡大促進税制の要件判定や控除額の計算で使用する「給与等支給額」(正式には「雇用者給与等支給額」)は、次のように定義されていますよ!
……国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該適用事業年度において「損金算入される金額」
「損金算入される金額」とは、簡単に言うと「法人税の計算において経費になっている金額」です。
その期に「払った金額」ではありません。
基本的には、「会社の損益計算書や製造原価報告書において費用として計上されている金額」と言えます。
えっ?税務と会計はいろいろと計上基準が異なるから、決算書の給与がそのまま経費にならないのでは?
「(収益・原価・費用・損失の額は)一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする」(法人税法第22条第4項)と規定されています。
会計処理がきちんとされていれば、税務はそれを尊重する姿勢を取っているんですよ!
では、会計においては給与の計上時期をどのように考えるかというと、簡単に言えば「従業員が働いた分は費用」になります。
企業会計において、給与などの費用については、「発生主義」の考え方が採られています。
「発生主義」?
これは、当期に支出した金額を当期の費用とするのではなく、当期に支払の原因となる事実(給与に関しては、労働の提供)が発生していれば、当期に費用計上するという考え方なんです。
例えば、給与が15日締め当月25日支払の会社の場合、つまり、前月の26日から当月15日まで働いた分の給与を当月の25日に支払う会社の場合、払った金額ベースで給与を費用計上していると、決算月(最後の月)の16日から期末日までの給与が費用に計上されなくなってしまいます。
そうだよね。
そこで一般的には、その分の給与について
給与/未払費用
という仕訳をきり、働いたけれども未払となっている部分も費用に計上します。
前述したように、税務はそれを尊重しますので、この仕訳を切った分の未払の給与も税金の計算上は経費となり(損金算入)、給与等支給額に含まれることになりますからね!