社員の私用による自動車事故。損害賠償金を肩代わりしたら給与になる?【太田市相続税専門税理士メモ】

代わりに払ってあげてもあくまでも立替払い【太田市相続税専門税理士メモ】

社員が会社の業務と関係なく私用で自動車事故を起こした場合、その責任を取るのは当然その社員

社員が負担すべき損害賠償金の金額が大きいため、会社が代わりに支払った場合、会社はその金額を社員に請求しなければならない

法人税法基本通達
(法人が支出した役員等の損害賠償金)
9-7-16 法人の役員又は使用人がした行為等によって他人に与えた損害につき法人がその損害賠償金を支出した場合には、次による。
(2) その損害賠償金の対象となった行為等が、(中略)法人の業務の遂行に関連しないものである場合には、その支出した損害賠償金に相当する金額は当該役員又は使用人に対する債権とする。

社員に対して「貸倒れ」処理してもOK【太田市相続税専門税理士メモ】

会社が立て替えた損害賠償金を社員に請求しても、現実的には払ってもらうのが難しい場合には、その立て替えた金額を経費に計上してOK(貸倒損失について規定している法人税法基本通達9-6-1~3ではなく、下記9-7-17により経費OK)

ただし、社員に支払能力があるのに経費にしたら、それは給与扱い(実際には会社が損害賠償金を支払っていても、社員が給与をもらって、それで損害賠償金を支払った、と考える)となり、社員に対しては源泉所得税の課税が生じる

法人税法基本通達
(損害賠償金に係る債権の処理)
9-7-17 法人が、9-7-16(2)に定める債権につき、その役員又は使用人の支払能力等からみて求償できない事情にあるため、その全部又は一部に相当する金額を貸倒れとして損金経理をした場合(9-7-16(2)の損害賠償金相当額を債権として計上しないで損金の額に算入した場合を含む。)には、これを認める。ただし、当該貸倒れ等とした金額のうちその役員又は使用人の支払能力等からみて回収が確実であると認められる部分の金額については、これを当該役員又は使用人に対する給与とする。

最終的に社員に支払能力がない、という判断になるとしても、代わりに会社が支払った時に、会社が立て替えたものとして(社員に対する)「損害賠償金求償権」という債権を計上していないと、経費OKにはならないので、ご注意を。

最初から経費にしていたらダメで、まずは「損害賠償金求償権」として資産計上する必要があるということです!