明確な時価が分かっていればその金額で取引。安く売ると寄附金になる

法人税法施行令
(有価証券の取得価額)
第百十九条1
四 有価証券と引換えに払込みをした金銭の額及び給付をした金銭以外の資産の価額の合計額が払い込むべき金銭の額又は給付すべき金銭以外の資産の価額を定める時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額に比して有利な金額である場合における当該払込み又は当該給付(以下この号において「払込み等」という。)により取得をした有価証券(新たな払込み等をせずに取得をした有価証券を含むものとし、法人の株主等が当該株主等として金銭その他の資産の払込み等又は株式等無償交付により取得をした当該法人の株式又は新株予約権(当該法人の他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合における当該株式又は新株予約権に限る。)、第二十号に掲げる有価証券に該当するもの及び適格現物出資により取得をしたものを除く。) その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額

法人税基本通達
(通常要する価額に比して有利な金額)
2-3-7 令第119条第1項第4号《有利発行により取得した有価証券の取得価額》に規定する「払い込むべき金銭の額又は給付すべき金銭以外の資産の価額を定める時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額に比して有利な金額」とは、当該株式の払込み又は給付の金額(以下2-3-7において「払込金額等」という。)を決定する日の現況における当該発行法人の株式の価額に比して社会通念上相当と認められる価額を下回る価額をいうものとする。(平12年課法2-7「四」により追加、平19年課法2-3「十」、平19年課法2-17「五」により改正)
(注)
1 社会通念上相当と認められる価額を下回るかどうかは、当該株式の価額と払込金額等の差額が当該株式の価額のおおむね10%相当額以上であるかどうかにより判定する。
2 払込金額等を決定する日の現況における当該株式の価額とは、決定日の価額のみをいうのではなく、決定日前1月間の平均株価等、払込金額等を決定するための基礎として相当と認められる価額をいう。

安く売って損しても経費にならない場合がある

親会社が100万円の上場株式を子会社に95万円で売ると、子会社は5万円得をし、親会社が5万円損する

この親会社の10万円の損は、子会社に対する寄附金として取扱われる

寄附金は、経費になる枠があり、その枠を超えた分は経費にならない(枠が0の場合もある)

グループ会社間取引を使った利益操作のようになっていないか

上記通達を見ると、差額が10%未満であれば、寄附金にならず、安く売った分が親会社の経費になる(結果として親会社の税金が減る)ように見えてしまうが、上場株式には明確な時価(証券取引所の終値)がある

何の根拠もなく差額を10%未満に抑えて安く子会社に売り、親会社側で経費を作り出すことは認められない

子会社側も、得をした分が収入(儲け=所得)になりますので、ご注意を。