払ったものが何でも経費になる訳ではない。事業に必要で使った分だけが経費【足利市相続税専門税理士】

領収書があるだけでは不十分

個人事業者の場合、事業者としての側面と、消費者(一個人)としての側面と、2つの顔を持っていますよね。

税務調査官も、当然それはちゃんと分っています。

領収書があっても、それが全部経費になる訳ではありません。

物を買ったり、サービスを受けた場合、それが事業に必要なものなのかの判断が必要です。

(ちなみに個人事業者ではなく法人の場合でも、社長が個人的に支出すべきものを会社に支払わせている場合には、その支払いは会社の経費になりません。)

自宅兼事務所の場合には経費を合理的に按分すること

自宅の一部で事業をしている場合、事業者としての支出と、消費者としての支出が混在します。

例えば、電気代です。

電力会社に対する支払いを全額経費にしていると、税務調査で指摘されます。

事業者として使っている電気代を個別に計算することは難しいですから、「事業者として使っている電気」「消費者として使っている電気」が何対何なのかの割合を、「床面積」や「時間」などから合理的に算出し、総額に事業者分の割合を掛けることにより計算しましょう。

また、自宅の一部でどのような仕事をしているのかも具体的に説明できるようにしておきましょう。

家に事務所を構えていたとしても、事業の性質上、家にいることがほとんどないのであれば、事業者分の割合は高くならないはずです。

お金を払っていなくても経費

物を買ったり、サービスを受けたけれども、まだ支払いをしていない、というものでも経費になります。

逆に、お金は払ったけれども、まだ物が届いていない、サービスを受けていないという場合には、経費になりません(継続的にサービスを受けるものについては例外がありますが)。

物を買っても使わなければ経費にならない

物を買っても、使わずにため込んでいたら、それは経費になりません。

年末ギリギリになって、「利益が100万円出ているから、材料を100万円仕入れて税金を0にしよう」としても、使わなければ「棚卸資産」となり、経費になりません。

消耗品についても同様で、使わなければ「貯蔵品」です。

経費にはなりません。

固定資産は1年で使えないから全部経費にならない

物を買って、使っても、全額経費にならない場合があります。

例えば、500万円の新車を買った場合、その500万円は、何年かにわたり、経費にしていくことになります。

固定資産を修理した場合にも、注意が必要です。

その修理により固定資産の価値が上がり、固定資産を購入したのと同じような場合には、上記の新車と同じように、その支出を、何年かにわたり経費にしていきます。