ガソリンスタンドの領収書。仕訳を2本に分けなければならない場合がある【館林市相続税専門税理士】

ガソリン代の勘定科目は?

ガソリンスタンドで給油した場合、「車両費」「旅費交通費」「燃料費」などの勘定科目で仕訳を切ることが多いと思います。

消費税の課税事業者なら、この給油取引を「課税仕入」(消費税が含まれている仕入)として、経理処理するでしょう。

しかし、それでは間違いになる時があるのです。

軽油を給油していない?

ガソリンと軽油は性質も違いますが、税金も違います。

ガソリンには、「石油税」「ガソリン税」が課税され、さらに「消費税」が課税されています。

軽油には、「石油税」「軽油引取税」が課税され、さらに「消費税」が課税されています。

しかし、この消費税の課税に違いがあります。

ガソリンスタンドが仕入れるガソリンの原価(仕入値)には、すでに「石油税」「ガソリン税」が含まれています。

つまり、ガソリンスタンドにガソリンを運んでくる石油元売会社(「○○興産」とか「○○石油」)が「石油税」「ガソリン税」を既に払って、それを上乗せして、ガソリンをガソリンスタンドに売っているのです。

それに対し、「軽油引取税」は、「納税義務者」「給油を受ける人」で、「特別徴収義務者(税金を預かった後、納税義務者に代わって都道府県に納付する人)」「ガソリンスタンド」なのです。

「給油を受ける人」=「ガソリンスタンドで領収書をもらう人(会社)」「給油」という取引が行われて初めて負担する軽油引取税に、消費税が課税されるのはおかしいですよね?

消費税は、事業者間での「買って・・・売って・・・買って・・・売って」の多段階取引に、どんどん上乗せされていくものです。

(B商店)「100円+消費税8円」で仕入れて「300円+消費税24円」で売る・・・(C商店)「300円+消費税24円」で仕入れて「500円+消費税40円」で売る・・・

(B商店)は、24円△8円=16円を納付する・(C商店)は、40円△24円=16円を納付する

最初8円だった消費税が、取引を重ねるうちに、40円になり、これを最終消費者が負担する訳です。

軽油引取税は、石油元売会社も、ガソリンスタンドも払っていません。

車の「給油口」にノズルが差し込まれた瞬間に、初めて「給油を受ける人」に課税されるのです。

これに消費税が課税されたらオカシイですよね。

軽油引取税は別扱い

つまり、軽油引取税には、消費税が課税されていないため、軽油引取税は別扱いをしなければならないのです。

ガソリンスタンドの税抜売値×108%(8%の消費税を上乗せ)+軽油引取税=販売価格

「給油を受ける人」に売られています。

消費税率は8%ですから、100に対して8課税して108になります。

逆に言うと、全体108のうち8が消費税です。

「この取引に含まれている消費税はいくらかな?」と計算する際、軽油引取税を含めた販売価格について、その全体を108と考えてそのうち8が消費税と考えると間違いということになります。

そうではなく、軽油引取税を含めた販売価格から、まず軽油引取税を除いたものが108で、そのうち8が消費税、と計算しなければ、正しい消費税の申告書は作成できない、ということです。

結局仕訳はどうなるの?

軽油引取税が30なら、

車両費138(100+8+30)(課税仕入)/現金138

ではなく、

車両費108(課税仕入)/現金108
車両費30(不課税仕入)/現金30

と仕訳を切る必要がありますので、ご注意を。