青色事業専従者に退職金を払っても経費にならない。それは法人成りした後にまで影響する【足利市相続税専門税理士メモ】

長年働いた奥さんでもダメ【足利市相続税専門税理士メモ】

個人事業者の元で働いていた従業員が退職した場合、退職金を支給すれば、その個人事業者の経費になる

その個人事業者の奥さんが退職した場合には、退職金を支給しても、その個人事業者の経費にならない

法人成りした後の役員退職給与に連動する【足利市相続税専門税理士メモ】

その個人事業者の元で働いていた従業員や奥さんが退職せず、その個人事業者が法人成り(法人化)し、その後、法人の役員になってから退職した場合について考えてみる

法人成りした時に退職金をもらっていないとすれば、法人の役員を退職する場合にその分の退職金をもらうしか(チャンスが)ない

この場合でも、個人事業者時代の在職期間に対応する部分は、法人の経費にならず、個人の経費として、法人成りした年の個人の確定申告において経費になる(手続きとしてはさかのぼって「更正の請求」をする)というのが原則的な考え方

とはいえ、時間が経ってしまっては、それもできない(更正の請求にも期間制限がある)ため、法人の経費にしてよいことになっている

法人の経費にする場合でも、退職金については、「従業員分」(個人事業者時代分+法人化後分)と「役員分」を分ける

奥さんについては、法人成りした後に支給するものであっても、個人事業者時代分の従業員分退職金は経費にならない

個人事業者時代分を法人の経費にしてよいことについては、こちらに書かれています。

法人税法基本通達
(個人事業当時の在職期間に対応する退職給与の損金算入)
9-2-39 個人事業を引き継いで設立された法人が個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を支給した場合において、その退職が設立後相当期間経過後に行われたものであるときは、その支給した退職給与の額を損金の額に算入する。(平19年課法2-3「二十二」により改正)

ただし、個人事業者時代を含められるかどうかは、その法人の退職給与規定の書きぶりによりますので、ご注意を。

所得税法基本通達
(前に勤務した期間を通算して支払われる退職手当等に係る勤続年数の計算規定を適用する場合)
30-10 令第69条第1項第1号ロ及びハただし書の規定は、法律若しくは条例の規定により、又は令第153条《退職給与規程の範囲》若しくは旧法人税法施行令第105条《退職給与規程の範囲》に規定する退職給与規程において、他の者の下において勤務した期間又は前に支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間(以下30-11においてこれらの期間を「前に勤務した期間」という。)を含めた期間により退職手当等の支払金額の計算をする旨が明らかに定められている場合に限り、適用するものとする。(昭63直法6-1、直所3-1、平15課個2-23、課資3-7、課法8-11、課審4-37改正)