棚卸すべきなのは商品や製品だけではない。外注費や労務費も仕掛品として棚卸の対象【大泉町相続税専門税理士メモ】

「棚卸」の意味

「棚卸」と言うと、期末に店頭や倉庫の棚に残っている商品や製品の数をカウントし、その分、仕入(原価)を減らす、と考えがちだが、棚卸の対象になるのは、商品や製品などの完成品だけではない
ちなみに、「棚卸は仕入(原価)を減らす」とはどういうことかと言うと、1個10万円の商品を5個仕入れると、10万円×5=50万円の仕入が期中計上されている
期末に2個売れ残っている場合には、この50万円から「10万円×2=20万円」を減らすことにより、仕入が「50万円△20万円=30万円」となり、売れた3個分の原価だけが計上されるようになるということ
例えばこの商品の売値が1個12万円だとすると、2個売れ残っているということは、5-2=3個売れたということだから、12万円×3=36万円の売上が計上されている
仕入(原価)が30万円となることにより、36万円△30万円=「6万円の利益」が計上される
これは、1個10万円のものを12万円で売るんだから、1個当たり12万円△10万円=2万円の儲け、それが3個売れたのだから、2万円×3個=「6万円の利益」と一致する
棚卸をきちんとしないと、正確な利益が計算できない
この例で棚卸を無視すると、売上36万円△仕入50万円=△14万円(14万円の損失)と計算されてしまう
3個売れて儲けが出ているのに
この商品の例と同じように、物として目に見えない「外注費」や「労務費(社内の人件費)」も、上の例でいうところの36万円である売上と対応させるべく、売上に結びついていない分については、棚卸(仕掛品)を計上することにより、原価(製造原価)を減らす必要がある
完成した工事がなく、完成工事高(売上)が計上されていないにもかかわらず、外注費や労務費が計上されているのはおかしい
基本的にそれらは全額仕掛品(未成工事支出金)に計上し、原価(完成工事原価)が計上されないようにする必要がある

棚卸は翌期の経費

棚卸した分は、翌期に売れたり、(工事が)完成したりすれば、その売上(完成工事高)と対応させて儲けを計算する必要があるので、その翌期の仕入(原価)に加算して、翌期の経費にする

売れる(完成して引き渡す)までは、かかった金額は経費にならないので棚卸が必要、ということです。